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負けず嫌いな優等生のVRMMO  作者: ふぐちゃ
9/21

ポーションからの繋り

《マラビラスのボスが討伐されました》




《ボス討伐報酬5万円が討伐プレイヤーに支払われます》



と頭上に浮かび上がっていた。



《名前を公開しますか?》


【はい】【いいえ】




俺は【いいえ】を選択した。




《討伐プレイヤー名【非公開】》




サービス開始日に

2度目となるアナウンスがあった。








零は両手をぶら下げ肩で息をしながら呟いた。


「っはぁはぁ、危なかった」


熊から謎の暴風を喰らった瞬間何が起きたのか理解できていなかった。


ただ、最悪の状況に陥っていることだけは分かった。


そして、熊が俺を仕留めようと鉤爪を振りかざした。


俺はその鉤爪を避けようとした。


だが、体が動かなかった、


(くそっ!動け!こんな時に動かなくてどうする!ジジイのしごきはこんなヤワじゃなかっただろ!)


「「うぉぉぉ!動けやぁぁぁぁ!」


そう叫び動こうとした瞬間、体はなんの痛みも感じず、今までに感じた事のない程、異常に軽かった。


そして俺が気づいた時には俺は熊の鉤爪を避け熊の目に刀を突き刺さし、そのまま熊を切り裂いていた。


「とりあえず、ドロップアイテムを拾って帰ろう。

ドロップアイテムの所有権がなぜ俺になったのか調べに来たハズなのに結局今は俺1人だから調べようにも調べられないじゃないか」


俺はそう愚痴りながら熊の鉤爪と毛皮をアイテムボックスに収納した。


「よし、帰るか」


「「「バシンッ」」」


「痛っ」


「なにが「よし、帰るか」だよ!零!」


「なんだ一か」


「レッドウルフ100匹討伐し終わったから門の所で待ってたのに、零が全然帰ってこないから捜したんだよ?」


「そうだったのか?今何時だ?」


「6時13分!」


「もうそんな時間か」


熊との闘いは結構長かったみたいだ。


「それでやっと見つけたと思ったら零はズタボロだし!大丈夫か?」


「あぁ、なんとかな」


「で?やっぱりさっきのって」


「俺だろうな」


「さすがは零だね、話は町に帰ってからにしよう、陽が暮れちゃう」


「わかった」


町に帰ると露店商はもうやっていなかった。


すると1人の男が俺に声をかけてきた。


「あんたどうしたんだ?その怪我」


「少し遊んでたら怪我をしてしまったみたいだ」


「あんた嘘下手すぎだろ!その怪我じゃ人目に付きやすい一旦俺の店に来てくれ」


俺たちは行く宛てが特になかったし、この怪我じゃ確かに目立ち過ぎる。

だからこの男に着いていくことにした。


路上裏に入り、人が迷っても入らなさそうな所にその店があった。


「さ、入って入って」


そう促された通り店に入った。


「これ、回復ポーション」


と言いながら俺に差し出して来た。


「回復ポーション!?そんなのあるんだ!」


一が興奮しながらそう言った。


「僕もこれを見つけた時、それぐらい興奮したよ。ささ、はやく飲んで」


「わかった」


少しというか普通に考えたら絶対に飲まないだろうが、俺はこの回復ポーションとやらの他に頼るものがなかったので、飲むことにした。


そして回復ポーションを飲むと体が緑の光に包まれ発光した。


緑の光が消えた後、体の傷を見てみると傷をうけたような痕跡は一切なくなっていた。


「すごいな、これ」


「でしょ?それ8万もするからね、それぐらい効かなきゃ困っちゃうよ、僕のお金はそのポーションとこの店のせいで消えちゃったんだから。トホホ」


「8万?」


「そ、高いでしょ?この町で一番格の高いポーションなんだってさ、それ売ってた薬屋の人が言ってた。」


「薬屋?薬屋あったのか?、というかあんたは、まずどこの誰で、何の為に俺を助けたんだ?」


「質問が多いね、けど、まっ、知りたいよね?」


「あぁ」


「いいよ、僕はね、プレイヤーで職業は鍛冶士だよ。」


「なるほど、プレイヤーだったのか、それに鍛冶士か」


「そうそう、それで何の為に君を助けたか?だったよね?」


「あぁ、そうだ」


「それはねぇー、君たちがボスを討伐したプレイヤーだからだよ」


「「なんでそれを!?」」


「そりゃ、マラビラスのボス討伐のアナウンスが流れて、そのすぐ後にマラビラス森林からボロボロの姿で帰ってきた人がいたら、大体は予想がつくからね。それに「なんでそれを」って言った時点でもう確定なんだよね。」


「カマをかけたのか」


「一応ね」


「それで?なんで討伐したプレイヤーだと思ったから助けたんだ?」


「僕は鍛冶士だ、それにNLGをプレイしてる鍛冶士なら誰だって君たちにはお近づきになりたいと思うよ?

だって、ボスを討伐したプレイヤーだよ?そんな人が自分が造った武器を使ってくれたらどんなに嬉しいことか、それに鍛冶士としても有名になって自慢できる。ま、僕は有名になって自慢する気はないけどね。」


「なるほど、お前はお近づきになりたいから俺を助けたのか。」


「それもあるし、あんな怪我してる人のことは誰だって心配するよ」


迂闊に町に帰ってきたのはまずかったな。


「まぁ、あの時は周りに僕しか居なくて良かったね。」


「なんであんなとこにいたんだ?」


「それはね、僕にこの店を売った、くそババアを問い詰めてやろうと思ったからさ!」


「そうなのか、その話は長くなりそうだから聞かないでおく」


「聞いてくれよ、あのくそババアときたら僕がお金に困ってるのを良いことに格安の店があるとか言って僕に近づいてきたんだよ!」


「確かに、この店は建物自体は別に悪くないが、場所が店をする気あるのか?というぐらいの場所にあるからな。なんで?場所を調べなかったんだ?」


「それなんだよ!僕が場所を聞いたら、教えてくれなかった。金を払ってからだとか言ってな!

僕もその時はそうとう切羽詰まってたから仕方なく払ったんだけどね、そしたら場所を教えてくれて行ってみると、こんな迷っても人が絶対に来ないような場所だった。

それで怒った僕はあのババアに問い詰めようとババアがいた場所に戻ってみるともうそこには居なかった。そこで、気づいたよ、僕は騙されたんだって」


「アホだな」


「うん、アホだね」


「二人とも酷いよ!、それでトボトボ歩いてたら門から人が入ってくるのが見えて、君がボロボロだったし、さっきのアナウンスがあったから、もしやと思ってね声をかけてみたんだよ」


「そういうことか、だいたい分かった」


「ところでさ、アホの鍛冶士さんの名前は何て言うの?」


「あ、アホって2回も…パパにだって言われたことないのに………。冗談だけど」


「で?名前は?」


「ハァ、僕の名前はメルボル

それで?君たちは?」


「俺は零だ、こっちにいるのは」


「一だよ、よろしくねメルボル」


「零と一だね、よろしく!」


「メルボルに聞きたかったんだが、お金ってどうしてるんだ?」


「お金なら、最初からみんな10万支給されてるみたいだよ?ステータスボードの右上に数字あるでしょ?」


「ホントだ、100000ってなってるね」


「最初から貰えてたのか、それは助かるな」


「そうだね、お金があったからポーションも買えたし」


「そういえば、ポーションのお金を返さないとな」


「いや、お代はいらないよ」


「え?」


「なんでだ?」


「その替わりと言ってはなんだけど、僕を君たちの専属鍛冶士にしてくれ」


「ふむ、なるほどな」


「腕には少し自信があるんだ!

こう見えても僕のリアルは鍛冶と関わりがあるからさ」

「それは期待できそうだな、じゃあ宜しく頼む」

「そうだよねぇ、やっぱり専属鍛冶士なんてならしてくれな………えぇぇ!!!!?

今なんて?」


「ん?だから宜しく頼むって言ったんだが?」


「ほ、ほんとにいいのか!?」


「あぁ、リアルで鍛冶と関わりがあるなら信頼してもよさそうだからな」


「やったー!!!」


「一の方は?」


「そうだね、零が決めたのなら僕もそれで良いよ」


「一もいいのか!ありがとう!ほんとに!ありがとう!」


メルボルは俺たちの手を強く握りながら上下に何回も振った。


「メルボル、お前なんで8万もするポーション買ったんだ?」


「そんなの決まってるじゃん!ポーションは男のロマンだからさ!」


「アホだ、こいつ」


「うん、やっぱりアホだね」


「なんでだよ!ロマンだろポーションは!」


「いくら、ロマンだからって8万はねぇ?」


「8万のポーションの他に安いやつとか無かったのか?」


「いや、他にも1000とか1万とかあったけど、買うなら最高品質のやつだろ、やっぱ」


「残金考え無しにか?」


「うっ、いやそれはその、衝動買いってやつだよ!仕方ない、うん、仕方ないんだ」


「それで、金に困った挙げ句こんな客の1人も来ない場所に店を開いたと」


「そうなんだよ!だから鍛冶する材料とかないんだよ、道具と鍛冶場は職業で鍛冶士を選んだ時点で付いてくる特典みたいだけど」


「話、変えやがった。

まぁいいか、それで、材料が無いなら俺のアイテムを使ってくれ」


「え?いいの!?」


「ポーション貰ったお礼みたいなもんだ」


そう言うと俺はグレーダーウルフの牙をカウンターに取り出した。


「へぇ!いい牙だね」


「これでいいか?」


「充分だよ。それで?どんな武器を造って欲しい?」


「そうだなぁ、弓を造ってくれ、一の弓を」


「え?僕の弓を?」


「あぁ、その弓は初期装備の弓だからそんなに良くないだろ?」


「まぁ確かに良くないけど、でもその牙は零が討伐したモンスターの物でしょ?」


「そんなことは気にするな、俺は一にもいい武器を使ってほしい」


「僕にも?」


「そうだ、俺も武器を造ってもらおうと思う」


「まだ、アイテムあるの?」


そうメルボルが聞いてきたので俺は床に熊の鉤爪を取り出した。


「デカっ!」


「大きいね。これは?」


「マラビラスベアーの鉤爪だ」


「それってもしかしなくてもマラビラス森林のボス?」


「そうだ」


「こんな爪を持った熊と殺り合ってたのかよ!」


「さすがは零だ」


「死ぬほど強かったぞ」


「実際に死ぬぐらいの怪我してたもんね」


「で?どんな武器を造って欲しい?」


「刀を造ってくれ」


「弓と刀だね、分かった。任せといて!」


「いつぐらいに完成するんだ?」


「2日後の夜6時に取りに来てくれたらきっと渡せるよ」


「そうか、じゃあ2日後の6時にここに来る」


「あっ、そうそう、フレンド登録しとこうよ!」


「フレンド登録?」


「知らないのか?今日の1時にフレンドの登録方法見つけたってNLGの掲示板に書かれてたぞ?」


「まだ、リアルに戻ってないから知らなかった」


「そうなんだ。それなら仕方ないね、ステータスボード開いて項目を下にスクロールしていったら一番下に【フレンド】って項目があるでしょ?そこ押したら近くにいるプレイヤー名が表示されるからそのプレイヤーの名前をタップしてフレンド申請を送れるよ」


「送ったぞ」


「お、来た来た」


「僕のも送れたかな?」


「一も来てるよ」


「フレンド登録したら何の得があるんだ?」


「フレンドにメールを送れるんだよ」


「なるほどな、それはどれだけ離れていてもか?」


「うーん、それは分からない、誰も試してないから。けどシステム的に考えて距離は関係ないんじゃない?」


「そうか、分かった。また何か用があれば連絡する」


「うん、よろしく!

二人とも専属鍛冶士の件引き受けてくれてありがとう!」


「まぁ、あまり出来が悪かったらそれは無しだがな」


「はは、それはそうだね。ま、そこまで下手じゃないから気にしないで」


「じゃあ、2日後の6時に取りに来る」


「了解」


こうして俺たちはメルボルと別れた。


「そろそろ晩ご飯を食べないといけない時間だ」


「ほんとだ、もう7時前だ」


「じゃあ、俺たちも解散しよう」


「今日はもうNLGしないの?」


「いや、やるが一人で行動したい」


「おっけーじゃあ、また明日」


「またな」


そう会話を終了したあと二人はログアウトした。










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