自由な世界へ
ゲームに意識を移すと
《ニューライフゲーム》
~自由な世界へようこそ~
●このゲームにはチュートリアルはありません。
●自分で自分の道を切り開いてください。
●全てのステータスはステータスボードに表示さ
れます。
●このゲームは自由です。
~それでは良きゲームライフを~
俺はそっと目を開けた。
するとそこはすでに大勢の人で賑わっていた。
人の形をとった緑の光が発光しそして人をつくる。おそらくNLGプレイヤーだろう。続々とプレイヤーがログインしてくるのが分かる。
どうやらここは巨大なホールで、ホールには1つの扉しかないようで俺はぞろぞろと人が歩いていく流れに沿って歩いていった。
扉から出るとそこには中世ヨーロッパ風の建物が並んでいた。
「おぉすごいな、これは」
他のプレイヤーも同じ気持ちだったようで周りからも「すげぇ」や「なんて景色だ」などの言葉が飛び交っていた。
「色々と観光したい気もするが、直輝との約束が先だな。とりあえずオートラス草原に向かうとするか。」
そうは言ったもののどっちに行けばオートラス草原に行けるのか分からないことに気づいた。
「町の人に聞いたら分かるだろう」
と考え町の人に聞き込みをした。
町を歩く御老人が目にとまったので聞いてみた。
「すみません、オートラス草原に行くにはどちらに行けばいいですか?」
「お?儂か?すまんのぉ儂も[ぷれいやあ]というやつじゃからよくわからんのじゃよ。」
俺はその言葉を聞いて衝撃を受けた。
(こんな御老人でもこのゲームをしているのか。このゲームは本当に誰がやってもいいゲームなんだな。年齢層広すぎるな)
プレイヤーの御老人軽く挨拶を交わし別れたあと今度は露店商の40代ぐらいの男の人に聞いてみることにした。
「すみません、オートラス草原に行くにはどちらに行けばいいですか?」
「あーオートラス草原ねオートラス草原ならあっちに真っ直ぐ行けばいいさ、だがオートラス草原にはラビットとかウルフがいるから気をつけろよ」
と露店商の男の人は指を指しながら教えてくれた。
「ありがとうございます。ちなみにプレイヤーの方ではないですよね?」
「プレイヤーじゃないよ俺は現地民さ」
俺はまたもや衝撃を受けた。
(嘘だろ喋り方も表情も動作も人間的すぎる。説明書にNPCはAIであると書かれていたけどここまで凄いとは。
しかもラビットにウルフだと!やはりこの世界にはモンスターが存在しているのか)
露店商の男の人と挨拶を交わし別れたあと早速オートラス草原に行くことにした。
オートラス草原に着くとそこは本当に広大な草原だった。
初めて見た景色だったのでしばらく立ち尽くしていると
「……い………おい…………おい蓮弥」
と横から声を掛けられた。
本名を呼ばれたのもあり少し驚きつつ、声の主の方を向くと直輝が立っていた。
「なんだ直輝か、驚かすなよ。」
「何回も声を掛けたのに反応しなかったから蓮弥じゃないかと思ったよ。」
「わるい、この草原に見とれてた」
「まぁ気持ちはわかる。しかし蓮弥来るの遅かったな、なにかあったのか?」
「いや、オートラス草原への方向が分からなかった」
「方位針を見てないのか?」
「方位針?」
「あぁ、ステータスボードの左上に東西南北の標されたのがあるだろ」
「あっ、あるわ」
「オートラス草原は西なんだからそれ見ながら来たらすぐに着いたよ?ったく蓮弥しっかりしてくれよ」
「すまんな」
「まぁそれはさておき、蓮弥早く職業教えてくれよ、楽しみにしてたんだからさ」
「わかったわかった」
俺は頭の中で職業チェンジと唱えた。
すると俺の今まで着ていた村人風の服装から一瞬にして侍の服装になった。当然腰には刀があった。
「うぉぉ、侍か!侍なのか!カッケーな蓮弥」
小学生みたいな感想を言われたが、満更でもない気持ちになった。俺はその気持ちを隠すため
「次は直輝の番だぞ、早く職業変えろ」
と直輝に行動を促した。
「おっけー、じゃあ(職業チェンジ)」
村人風だった直輝の服装が一瞬にして狩人の服装に変わった。
「あんまり服装変わってなくね?」
「いやいやいや、靴とか見てみろよ長いブーツだぜ、それにこの肩から背中に吊るしてる弓と矢、どう?格好いいだろ?」
「なかなか似合ってるな、さすが弓道少年」
直輝の祖父の家が弓道場をやっていることもあって直輝は幼い頃から弓道を続けている。俺も一時直輝と一緒に弓道をやっていた。今もたまに二人でやることもある。
「しかし弓やってるってよく身体スキャンするだけで分かったよな、弓使ってるの分かったから狩人になったんだろ?予想だけど」
と直輝が呟いた
「ん?あーそれなら説明書に書いてあったぞ、脳波と体の筋肉のつき方をスキャンするからわかるんだとさ。だから性別とかは変えたりできないらしい。」
「ふーん。なるほどねー、じゃあなんで蓮弥は侍になってるんだ?」
確かに俺も身体スキャンで侍が選ばれたとき疑問に思ったことだ。
「なぜ侍なんだ?」
「いや、俺が質問してるんだけど、まぁなんとなく分かった気がするわ。」
俺はその解答を促すため顎をしゃくった。
「ほら、蓮弥って昔っから剣術とか色々やってたよね?だからでしょ。」
「ふむ、俺も弓道やってたが?」
「剣術の方がやってる時間長かったからじゃないかな?」
確かに弓道よりも剣術を長時間やっていた気がする。
「まぁこれ以上考えていても仕方ない、これからどうする?直輝」
「チッチッチNLGの中では俺のことは一と呼んでくれ」
どうやら直輝はユーザーネームを【一】にしたようだ。
「分かった。俺のことは零と呼んでくれ」
「おっけー零。これからどうする?」
「町の観光をしたいところだが、やっぱりステータス上げだな。」
「ステータス上げか、筋トレするのか?」
どうやら一はバカだったらしい。
「こういうゲームのステータス上げと言えばモンスターを倒すことだろ普通」
「え?モンスターっているのか?」
「当たり前だろ、というか、なんのための狩人だよ。それから聞いた話によるとここにはラビットとウルフがいるらしい。」
「そうなのか!じゃあ、早速狩りにいこう」
それから二人はステータス上げに行った。
蓮弥のステータス
名前【零】Lv1
職業【町人】【侍】
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体力:100
魔力:100
攻撃力:10
防御力:10
敏捷力:10
スキル なし
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