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1位を目指す、決意、新たに

感想や活動報告に、まるでツバを吐くようにネガティブなコメントを残していく人はなんなんでしょうね。もう、ほんと頭にくる。他の方の作品で感想、レビュー、活動報告すべてのコメントを拒絶している人もいますがその気持ちがよくわかりました。

「ネガティブコメントが嫌ならネットに発表するな」と言う人もいますが、批判と、単なる暴言は別物です。批判はいいんですよ批判は。暴言は止めなさいと。作者はもちろん、書いた本人も幸せになれませんよ。

もっとハッピーになりましょうよ。そのために、「学園騎士」の文庫版を買いましょう(唐突な宣伝)。

「ん? キールくんから?」

「はい」


 ちょっと強引なお誘いだなと思ったけど、そうか、キールくんからの用事があったのか。

 でも真顔になってもあちこちに白い毛ついてるから決まらないぞ、リエリィ?


「てか、キールくんが直接来たらいいのに……って思ったけど、なんか事情があるのか」

「はい。キルトフリューグ様も今ちょっと、大変ですもの」

「わかった。俺にできることがあったらなんでもすると伝えておいてくれないか? 直接言ってあげたいけど、俺が近寄ると困ることもあるだろうしな……」


 この学園に入ってよーくわかった。黒鋼クラスは、ゴミのように扱われている。そして黒鋼クラスの生徒たちもそれを当然のように受け入れてきた。

 俺はがんばってるけど、それくらいでこれまでの歴史が変わったりはしない。俺が近づくことでキールくんに不利益があるのなら控えようと思うくらいの分別はある。ただ、求められたらいくらでもがんばっちゃうけどな。


「なんでも、するのですか?」

「ああ」

「では毎日ネコちゃんを捕まえて欲しいのですもの」

「キールくんのためだからね? リエリィじゃないからね?」

「これはキルトフリューグ様のためですもの」

「さらっとウソ吐くの止めてね?」

「それで、キルトフリューグ様からの話ですが……」


 この子ほんと話聞かないな! いや、自分の都合のいいように話持ってくって感じか。どっちにしろダメだぞ!


「レッドアームベアの件です」

「……ああ、読んだよ、学園新聞。黄槍クラスが仕留めたんだっけ? いやー参ったよ。たまたま通りがかったらいきなりインタビューされて、黄槍クラスを持ち上げる出汁に使われるんだもんな——」

「どうして、ほんとうのことを言わないのですか?」


 おっほぉー、バレてる? バレてらっしゃる? リエリィもキールくんも俺たちが仕留めたってわかってんのか?

 そういやあの新聞記者もリエリィと同じ緋剣クラス……もしかして全部わかった上で黄槍クラスを持ち上げている、とか? なんでそんな面倒なことをしているんだか……。


「えーっとまぁ、声を上げて誰か信じる? 落ちこぼれの黒鋼クラスがレッドアームベアを倒したと言って」

「————」


 その返答は意外だったのかリエリィはどきりと目を見開いた。その瞬間、拘束が緩んだのだろう、ネコがリエリィの膝を飛び出して草むらへと逃げ込んだ。


「あっ……」


 残念そうな声を上げた彼女だったが、


「……そういう仰り方は、ソーマさんらしくありませんもの」

「ごめんごめん、ちょっと()ねた言い方だったね。正直に言ってもいいけど……ナイショにしてくれる? キールくんにもナイショにして欲しい」

「ナイショ!? も、もちろんですもの」


 なぜだかわからないが、ちょっとテンションが上がったようでじりりとリエリィが俺のほうへ近寄った。

 俺はこっそりと彼女に告げた。


「……黒鋼は落ちこぼれだと侮っていてもらいたいんだ。俺たち、7月のクラス対抗戦で1位狙ってるから」

「!? そ、それは不可能——」


 と言いかけて、リエリィは口を閉ざした。ばつが悪そうに。


「ああ、いやいや、大丈夫だよ正直に言ってくれて。誰にそう言っても同じ反応が返ってくると思うしね……でも1位になるために、できることはなんでもやる。そのために感謝のメダルが邪魔になるなら、こっちから願い下げだね」


 素材を売ったお金はもらったけどな!


「でも待てよ。だけど冒険者パーティーの「山駈ける鉄靴」は俺のことを知ってるはずなんだよな……」

「え、ええ……現場から上がった報告が、ギルドの上層部でいいように変換されたのではないかと思われますもの。それこそまさかです。黒鋼クラスの生徒がレッドアームベアを倒したとは思えない……騎士が居合わせたと考えるのがふつうですもの。でも問い合わせても騎士は森に入っていない。だったら、高位クラスの生徒が倒したのだと……」

「すげーな。そこまで色眼鏡になってるんなら言うことないわ」

「……ソーマさん、貴族の全員が全員、そういうわけでは」

「わかってるって。リエリィとキールくんがいるしね。——ていうかむしろこれで対抗戦1位取ったらマジすごくね? 俄然楽しみになってきた」

「————」


 俺はにやりとして、どうやって対抗戦のチーム分けをしようか考えを巡らす。ほんっと、いまだにチーム決まってないんだよね。オリザちゃんに「女子1人ずつ男子チームに入れて」って言ってからもう2週間経ってるのに。

 今や週末はみんなで森までピクニック&ハンティングって感じだわ。だいぶまとまってきたような気がする。


「……すごい、自信ですもの……」


 ぼそりとリエリィがなにかを口にした。


「ん? どしたの、リエリィ」

「い、いいえ……なんでも、ありませんもの」


 ぽーっ、と俺を見ていたリエリィはサッと視線を外し、立ち上がった。

 顔は見えないが、なんか耳まで赤かった。


「あの、最後にひとつだけ。食肉については黒鋼クラスはツテがあるのではありませんか?」

「へ? ウチのクラスにツテ……いや、わかんないな」

「そうですか。では、そろそろ行きますもの」


 ささっとリエリィは去っていった。

 顔は、赤いままだ。


「これって、もしかして……」


 笑いをこらえてたのか!? おいおいおい! そんなにおかしいかよ、黒鋼クラスが1位を狙うって!?

 割と好意的なはずのリエリィですらこれだもんなぁ……。

 がんばんなきゃな、マジで。




   *リエルスローズ=アクシア=グランブルク *




 リエリィは早足で緋剣寮へと向かいながらひとり、ほてった頬を感じていた。

 ソーマは1位を目指している。本気で。

 それを笑うのは簡単だ。黒鋼クラスが対抗戦で1位を獲ったことなど今までないのだから——。


「でも、ソーマさんには実績があります……そのせいでどうしても、期待してしまう……」


 彼の行く末を見てみたい。そんな感情が自分の身体の中に眠っているだなんてリエリィは知らなかった。

 初めての感情に戸惑った。

 だけれどそれは、気持ちの良い戸惑いだった。

 だから、かもしれない。


「……ソーマさんに、あんな回りくどいことを言ってしまいましたもの……」


 足がゆっくりになり、やがて止まる。


「食肉ならばホーネット商会に頼めば確実に手に入るでしょうに……でも、ソーマさんのやり方がどこまで通じるのか見てみたいと、思ってしまいました……」


レビューのお礼第2弾!「かえる」さん、ありがとうございます。twitterでも返信くださるかえるさんですかね? この世界にはかえるが多くて……(謎の困惑)。

レビューで書いていただいた、ソーマの村にいたレプラとミーアも本編に登場予定ですが、どう考えてもまだまだ先なんですよね。気長に待っていただければ幸いです!


レビューはこの作品ページ上部の「レビュー」から飛んで見に行くことができます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] リエリィかわいい [一言] 鈍感系主人公がよぉ!
[一言] ネガティブコメントのことが書かれてましたが、本当に人のことを悪く言うのやめようよって言いたい時がいっぱいありますよね。気持ちお察しします。お話面白くて、あまりに笑うので、子供たちが何読んでる…
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