表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

 終業式

 翔の通ってる高校の終業式は体育館で行われる。学年がそれぞれ2クラスしかない小さな学校だ。

 ──あちぃなぁ…

 翔は額から流れてくる汗を手の甲で拭った。

 この日差しの強い7月の下旬、そんな中ここまで全速力で走ってきたのだ。次から次へと汗が吹き出してくる。

 こんな式、早く終わらないかと翔は内心苛立ち始めてきた。

 「続きまして校長講話です。校長先生、お願いします」と司会進行の声が静かな体育館の中に響いた。

 昔ばなしに出てくるたぬきのような体型をした校長が階段を登り、ステージに上がった。

 今にもスーツのボタンがブチンと飛んでいきそうなくらい腹回りには肉がついてる。

 いつそのボタンが飛んでいくのかという方が気になり、殆どの生徒は校長の講話などに耳を傾けてはいない。

 10分ものの間、交通安全に気をつけろだとか生活のリズムを崩しすぎないようにだとかの話をされたがところどころしか覚えていない。

 教室に戻ったときにまた同じ話を担任からされると考えたら気が滅入る。

 トントンと後ろから肩を軽く叩かれ、後ろを振り向くと倉持奏多くらもち かなたがニヤニヤしながらこちらを見ていた。

 「なんだよそんなにニヤけて…。気持ち悪いぞ」

 「んなこと言うなよ。傷つくだろ。…で、どうなんよ。夏休みだろ?“彼女”とはどっか行く予定でもあんの?」

 奏多とは親同士の仲が良く、小さい頃からよく一緒に遊んだりしていた。

 小学校と中学校は地区が違うため別だったが高校で再開し、今となっては誰よりも信頼できる友だちだ。

 「誰か言うかよ…!」

 自分の顔が赤くなっていくのを感じながら、奏多から目を逸らした。

 「んなのと言うなよ。悲しくなるじゃんか」

 そう言って奏多は両頬にえくぼを作って笑う。

 奏多とは小さい頃から仲が良かった。元々親同士が仲が良かったのでお互いの家に遊びに行ったりお泊りしに行ったりしていた。

 地区が違うため、小学校と中学校は別々だったが高校の入学式で再開し、また一緒に遊んだり時々は泊まりにも行ったりする。

 今となっては一番信頼のできる友達だ。

 「まぁ、もしかしたらどっか行くかもなぁ…」

 そう言いながら自分の顔が赤くなってくのを感じ、奏多から目をそらした。

 「顔、赤いぞ」

 そう言いながら奏多がニヤけているのが顔を見なくても分かった。

 「うるせぇな。お前が彼女できたら俺も同じこと言ってやるぞ」

 「何年先になるんだろうな。いやー。彼女欲しいわ」

そんな他愛もない話をしながら教室へ戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ