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 不思議な夢

 目を開けると、目に映ったのは焼け野原だった。

 「なんだよ、これ…」

 驚きのあまり、次の言葉が出てこない。

 うつ伏せになっていた身体をゆっくり起こそうと動かすと左肩に突き刺すような痛みを感じた。

 「いっ…」

 痛みのせいで思うように動くことはできないが、なんとか立ち上がることができた。

 「ソウタ!大丈夫!?」

 遠くから自分を呼ぶ声が聞こえ、後ろを振り向くと綺麗なブロンドの髪をしたショートカットの少女が駆け寄ってきた。

 「ソウタ!無事で良かった…」 

 少女は胸に右手を当て、ホッとした顔でこちらを見る。

 左肩を痛めてる以外、他はほとんどかすり傷のようなもので大きな怪我は一つもない。

 「あぁ、アリアも無事でよかった」

 すんなりと彼女の名前が自分の口から出てきたことに驚いた。

 ──なんで俺、この子のこと知ってんだろう。

 そう思ったのと同時に視界がぐにゃりと曲がり、意識を失った。



─────



 気づけば見慣れた天井が目に入った。

 ムクリと身体を起こし、左肩を触ってみる。

 特に痛みや腫れなどはなかった。

 こんなこともあるのかな、と眠たい目をこすりながら浅野翔あさの かけるはそう思った。

 似たような夢を立て続けに見る。家族に相談してもストレスじゃないのかと言われて軽く流されるだけだった。

 生きてる限り、それなりにストレスは抱えているだろうとは思うが〈死にたい〉、〈辛い〉と言うようなストレスは感じていない。

 「何なんだろうなぁ…」

 そう呟きながら布団から出て学校に行く準備を始めた。

 「お兄ちゃーん!もう朝ご飯できとるよー!!」

 1階から妹、友香里ゆかりの声が聞こえた。

 「今降りるよ!」

 部屋のドアを開け、下にいる妹に負けないくらいの声で返す。

 「はよしなよー。終業式に遅刻とかマジないから!私はもう行くからね!」

  まだそんな時間じゃないだろ、と思いながら時計を見ると針は8時を指していた。

 校門が閉まるのは8時半で、今から準備を終わらせて朝ご飯を食べ、走って行ったらぎりぎり間に合うかどうか怪しいところだ。

 「あぁ。確かにやべーな…」

 そう一言呟きながら急いで一通りの準備を済ませ、牛乳を一杯飲んで家を出た。

 家を出たのが8時10分。走っていけば約20分ほどで学校には着くが、信号につかまれば別の話である。

 間に合うことを祈りながら、全速力で学校へ向かった。

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