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(3) 〜魔女の少女と街の薬屋のおかみさん~

 街に着くとセレスタイトは辻馬車を降り、通りの中ほどにある薬屋に向かった。


 ―――なんだか今日は人が多いなぁ

 街はいつも人で賑わい活気があるが、今日はいつにも増して人が多く街全体が陽気だ。


 疑問に思いつつ目的の薬屋に着くと、セレスタイトは店の扉に付いた鈴を鳴らし中に入る。

 店には様々な薬が棚一面に置いてあり種類や、用途別に並べられている。

 セレスタイトの家の作業部屋ほどではないものの、様々な薬があるせいでここも独自の匂いがする。

 しかし、セレスタイトは幼い頃から母に連れられて、よくここに来ていたせいか、この店独自の匂いに慣れていた。


 鈴が鳴ったのに気が付いた、恰幅の良い薬屋のおかみさんが店の奥にあるカウンターからこちらを向き、

「やあ セレスタイト、もうそろそろくるんじゃないかと思って待ってたよ」 と声をかける。


 セレスタイトはおかみさん以外人がいないのを確認して被っていたケープのフードを取り、「こんにちは、おばさん薬持って来たよ」 と笑う。


 セレスタイトはカウンターに持ってきた薬を次々と置いていく。


「えっーと、これが風邪薬で、いつもの通りティースプーン子供一杯、大人二杯飲んでって伝えてね?後は、傷薬と軟膏と湿布薬と……このくらいかな?いつもよりちょっと作り過ぎちゃった」

「はいはい、これね…また、たくさん作ったわねぇ」

「やっぱり多かったかな? 大丈夫かな?」

「このくらいなら多分大丈夫だと思うわ ストックしておいて、売れてなくなったら出していけばいいから、なにしろあんたの薬よく売れるからねぇ ついでにうちの薬も買ってくれるからありがたいわ」

「えー、私の薬のほうがついでだよ」 と二人は笑った。


 そして、セレスタイトはふと気が付いた。


「あれ?そういえばおじさんは?」

「ああ、あの人なら朝から広場で祭りの準備に行ってるよ 祭り自体は明後日からだけどもうそろそろ露店やってるんじゃないかなぁ」

「そっか、もうそんな季節なんだね」


 セレスタイトは庭先を眺めたときに咲いていた花を思い出す。

 ―――そういや、今朝見たあの花は、春告げ草だったような……


「帰りに広場に寄ってみようかな」

「ああ、行ってきたらいいよ はいこれ、前回持って来てくれた分の薬の売り上げね」

「ありがとう」


 セレスタイトはお金を受け取りすぐに鞄にしまった。


 その後、少しおかみさんと談笑していると、扉の鈴が鳴ってお客さんが入ってきた。

 セレスタイトは急いでフードを被り 「じゃあ、おばさんまた来るね」 と言って店を出た。


 そして、街の中心にある大きな時計台の広場へと向かっていった。






 ~少女の靴が楽しそうに石畳を鳴らす~

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