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(2) ~セレスタイトという少女~※ ―過去―

今回はセレスタイトの家族の話です。

一応残酷な描写ありにしておきます。


 セレスタイトは幼い頃に、父を亡くした。

 セレスタイトの父は、街の魔物討伐隊の一員だった。


 その日、父はいつもと同じように、街に近い森で月に二、三回現れる魔物の見回りをするため、魔物討伐隊のメンバーと森に入っていた……。


 魔物は、武器や魔法で魔物の核となるものを切ったり、砕いたりするか、もしくは、浄化魔法で浄化してしまえば簡単に砂のように崩れて消える。


 そして、いつもと同じように二回ほど、魔物に出くわし、それを仲間達と一掃して帰るところだった……帰る際、軽い冗談を言い合いながら、気分よく家路についていると、仲間の1人が落し物をしたことに気付き、少し来た道を戻る事にしたらしい……。


 それがいけなかった。


 その日、その時、油断しきっていたセレスタイトの父と仲間達が出くわしたのは、後に「悪しきモノ」と名前のつく上位の大魔物だった……。

 セレスタイトの父達は懸命に闘ったが、傷一つ付けられぬまま敗れ、大怪我を負いながらも必死に森を抜け、ほかの討伐隊の仲間達に助けられて、やっとの思いで家に帰った。


 しかし、すぐに大怪我が原因(もと)で、父は亡くなった。セレスタイトは、ようやく一人で歩けるようになってきたそんな頃だった。



 母は泣き崩れ、涙が枯れ果てるまで幼いセレスタイトを抱きながら泣いた。


 幼いセレスタイトに魔力があることが分かり、魔術を教えるために街から少し離れていて、魔物から街を守りやすいからと森がすぐ裏にある家を建て、その新しい家に引越しをした。

 その直後の出来事だった。


 涙が枯れ果て、悲しみ尽くした後、いつまでも泣いているわけにはいかないと、セレスタイトの母は何かが当たるとすぐに崩れそうになる心を立ち直らせ、娘を食べさせるために動き始めた。


 セレスタイトの母は薬作りが得意だった。

 そして、毎日、毎日、薬作りを作り、幼いセレスタイトを連れて、街の薬屋に薬を売りに行った。


 そして、セレスタイトが物心ついた頃には、母娘(おやこ)二人暮しが当たり前になっていた。その頃から、セレスタイトの母はセレスタイトに自分が持っている薬作りの知識と魔術、呪術を教えた。

 そして、いつ何時(なんどき)自分が死んでも、セレスタイトが生きていくのに困らないよう、古い手帖に持っている家事から魔術の知識までを何冊も、何冊も、書き尽くした。ある日、母は手帖を手渡しながらセレスタイトに言った。


「いいかい?セレスタイト、人は自分がいつ死ぬか、わからない、明日かもしれないし、まだ先かもしれない、母さんも同じ、いつ死ぬかわからない。だから、あなたにこれをあげる、これに書かれたことを、正しく使って、強く生きていくんだよ?わかったね?」

「はい、母さん」


 こう言われた日、セレスタイトは無邪気の答えた。本当の意味での母の言葉が分かっていなかったからだ。


 この日の母の言葉の本当の意味を知るのは、その数年後、セレスタイトの母が流行病にかかり、亡くなった後だった。


 本来、魔女や魔法使いの子供が孤児になった場合、他の魔女や魔法使いの誰かが弟子にして引き取るのが普通だった。

 そして、セレスタイトもほかの魔女達の誰かに弟子入りして過ごせる筈だった。


 しかし、セレスタイトはほかの魔女の得意な人を呪う呪術が苦手なうえ、得意な魔法は呪いとは反対の浄化魔法だった、他の魔女や魔法使いはセレスタイトから一線を引いた、そして誰もセレスタイトを弟子に欲しがらなかった。


 セレスタイトの母は、娘に魔法を教えているうちにセレスタイトを誰も弟子にしないことに気づき、セレスタイトが1人生きていけるようにしたのだった。


 セレスタイトは泣いた。

 母の優しさが、とてもありがたく、嬉しかった。


 セレスタイトは母に代わり、薬を作るようになり、母が薬を置いてもらっていた、街の薬屋に置いてもらう様になった。


 初めて、母が薬屋に交渉に行った時、魔女に怯えていた薬屋の夫婦は、いつしかセレスタイトにとって、薬屋の夫婦は親のような存在になっており、子供のいない薬屋の夫婦は、セレスタイトは娘のように可愛がった。


 こうして、セレスタイトは母のおかげで、1人ながら、飢えることなく普通の人と同じくらいの生活をすることが出来、セレスタイト自身も明るい性格に育っていった。






 ~そして、今日も出来あがった薬を持ち、セレスタイトは薬屋に向かう~

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