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その花 第四章 : 天開の刻 1



 職業通知を受けた翌日の八月二日、月曜日の朝八時――。



 花は通勤用に手配された自動運転車に乗り込み、まだ見ぬ職場へとまっすぐ向かった。そしておよそ十分後――。湾岸エリアで車を降りた花は、目の前のビルを見上げて息を一つ吐き出した。


「移住管理局、湾岸支部――。今日からここが、わたしの職場になるのね」


 季節は夏の真っ盛りだが、就業初日ということで、花は久しぶりにスーツを着てきた。もちろん通気性の高いサマースーツだが――しかしそれでも、やはり暑い。まだ朝の八時過ぎだというのに、気温は既に三十度を突破している。今日の予想最高気温はなんと三十九度だそうだ。


(くそぅ……。自宅勤務がよかったなぁ……)


 花はため息を吐きながら、うっそりと周囲を見渡した。横幅のある移住管理局のビルの周りには見事なくらいに何もない。右も左も、きれいな道路がどこまでもまっすぐ伸びているだけで、あとは延々と芝生の広場だ。


 海側のツーブロックほど先を眺めると、ようやく何か大きな建物がかすかに見える。どうやら巨大な体育館みたいなビルがいくつか並んでいるようだ。


「……まあ、通勤は送迎の車がついて、片道十分。仕事の拘束時間は八時半から十六時半の八時間。三日働いたら二日休みの三勤二休制で、年棒は一千万円――。無職だった身としては、これで文句言ったらバチが当たるわね……」


 花はもう一度息を吐き出した。それから脇の匂いを素早くチェックし、ビルの中に足を踏み入れた。


 入ってすぐのセキュリティーで手荷物検査を受けて、左手首の電子ブレスレットをゲートにかざして通過する。そのまま案内カウンターの女性に配属先の部署を確認し、近くの階段にまっすぐ向かう。そして二階のオフィス前に立った花は襟を正し、腕輪を見た。時刻は八時十八分――。勤務初日としてはちょうどいい時間のはずだ。


「ぃよーしっ! 今日から新しい人生の始まりよ!」


 花は体中に気合いをみなぎらせ、自動ドアを颯爽と通り抜ける。しかしその直後、受付に座っていた女性を見たとたん、あんぐりと口を開けた。


「あ、ハナミーじゃん。おっはよぉ~」


 オレンジ色のジャージ姿で受付に座っていたのは、なんと椎菜映美だった。映美は背もたれによりかかってくつろぎながら、携帯端末でゲームをしている。


「エ……エミシー? あなた、なんでこんなところにいるの?」


「え? そりゃあもちろん、あたしも今日からここで働くからだよ~ん。そういうわけで、よろしくにゃん。はい、ハート」


 映美は座ったままアイドル風のポーズをキラリと決めた。そしてすぐにゲーム画面に目を落とす。花は呆れ顔で映美を見つめ、それから肩をすくめて奥へと向かう。


(ぬぅ……。まさかエミシーと同じ職場になるとは思いもしなかったわね……。まあ、あの子のことは嫌いじゃないから別にいいけど……)


 花は軽く脱力しながら短い通路を進み、パーテーションの角を曲がる。すると、少し広めの空間が目に飛び込んできた。しかしそのオフィスを見たとたん、花は再び驚いた。デスクが四つしかなかったからだ。


(え? たったこれだけ?)


 花は呆然と足を止めて室内を見渡した。部屋の左右にコンピューターデスクが二台ずつ壁に向かって並び、中央には大きなテーブル型のフラットモニターが置かれている。それぞれがじゅうぶんな間隔を空けて設置されているので狭い感じはしないが、まさか四人だけの小さな部署だとは思ってもいなかった――なんてことを考えていたら、いきなり男性の声が飛んできた。


「――ああっ! 飽海さん! おはようございます!」


 花が声の方に顔を向けると、一番奥の席でデスクトップ端末に向かっていた中年の男性が立ち上がり、あたふたと駆け寄ってくる。


「え?」


 花は一瞬キョトンとして、すぐに軽く頭を下げた。


「あ、おはようございます。飽海花と申します。今日からこちらの部署に配属となりましたので、どうぞよろしくお願い致します」


 するとスーツ姿の男は自分を指さしながら、勢い込んで花に言う。


「いや、ほら、私ですよ、飽海さん。覚えていませんか? あなたと同じ日に移住審査に合格した田川です」


「田川さん……? あっ!」


 花はすぐに思い出した。目の前のメガネの男性は五億の借金から逃げてきて、移住審査の時に他の移住希望者たちから袋叩きにされた人物だ。


「あなたはたしか……田川篤志さんでしたね」


「そうです! その田川です! あの時はかばっていただき、本当にありがとうございました!」


 田川はいきなり腰を折り曲げて頭を下げた。


「いやぁほんと! 私! あれからずっとあなたにお礼が言いたくて……お礼が言いたくて……ううっ……あの時は本当に……うう……ありがとうございましたぁ……」


 顔を上げて礼を口にした田川の目から、急に涙がボロボロと流れ出した。さらにそのままメガネを外し、手の甲で涙を拭いながら泣き続けている。


「あー、ハナミーがオッサン泣かしてる~」


 泣き声を聞きつけたのか、映美がひょっこり顔を出した。映美は意地悪そうにニヤニヤと笑いながら入口側のデスクに近づき、腰を下ろす。


 花は軽く牙を剥いて映美を指さし、無言で映美の隣の席に座る。そして泣いている田川を放置したままデスクトップ端末を起動して、業務内容の確認に取り掛かった。


「えー、それでは皆さん。改めまして、おはようございます」


 しばらくして泣き止んだ田川が、花と映美に声をかけた。三人は中央に設置されたテーブル型のフラットモニターに集まり、挨拶を交わして大きな画面に目を落とす。そこには『移住管理局・難民支援室』という部署名と、三人の名前、それと業務指示が表示されている。


 エー、オホン――と、田川がわざとらしい咳払いをして言葉を続ける。


「お二人とも既にご存知だとは思いますが、ネスクには部長や課長といった中間管理職は存在しませんので、上下関係はありません。そのため、この『難民支援室』におきましては、私が議事進行の担当に指名されましたので、僭越せんえつながら話を続けさせていただきます」


「オッサン、話長い。一行でまとめて」


 映美の突っ込みに、田川は「ぐはっ」と声を漏らして後ろによろけた。


「そ、それでは、要点だけを。先日の代表議会で可決された『特例期限付移住者保護条例』により、昨日さくじつ八月一日付で、ネスクは一時的に戦争難民を受け入れて保護することになりました。この難民支援室は、その難民たちに関するすべての業務を担当する部署になります」


「え? 難民に関する業務をたった四人で全部やるんですか?」


 花が思わず訊き返すと、田川は軽く手を横に振る。


「いえいえ。四人ではなく、三人です」


「三人って、まさかこの三人だけ?」


「はい。そのまさかです」


 呆気に取られている花に、田川は人のよさそうな笑みを浮かべて話す。


「大丈夫ですよ、飽海さん。私も最初は心配でしたが、判断支援人工知能の『シエン』が業務を全面的にサポートしてくれますので、事務処理は私一人でも簡単にこなせますから」


「へぇ、さすがオッサン。見た目通り、プロのサラリーマンなんだぁ」


 映美が軽く感心しながら田川を指さす。田川は照れくさそうに頭をかいた。


「実はこれでも私、前の会社の事務処理スキル選手権大会で、審査員特別賞をいただいたことがあるもので……」


 どんな大会よ、それ――と、花はわずかに苦笑い。それからおもむろに口を開く。


「それで田川さん。わたしと椎菜さんの仕事は何でしょうか?」


「飽海さんには、難民団代表との直接交渉をお願いします。彼らの要望をヒアリングして、可能な限りの支援をするのが私たちの業務になります。椎菜さんには飽海さんのサポートに回っていただきます」


「サポートって、ハナミーと一緒にいればいいってこと?」


「いえ。基本的にはこの事務所から、飽海さんのバックアップをお願いします。それと、私は事務処理だけで手いっぱいになると思いますので、椎菜さんにはその他すべての業務をお任せしたいと思います」


「あいあい、りょーかーい」


(なによそれ。事務処理は一人で簡単にこなせるって言ってたくせに)


 花は少し意地悪な突っ込みを飲み込んで、気になっていた疑問を田川に尋ねる。


「それよりも田川さん。ずっと気になっていたんですが、わたしたちが支援する難民というのは、やはりあの人たちのことですか?」


「ええ、そうです。あの人たちです。エイデン湾戦争で発生した難民の方々です」


 田川はフラットモニターを操作して、アフリカ大陸とアラビア半島の地図を表示した。


「ニュースなどでご存知だとは思いますが、今から一年と六か月前、アラビア半島とアフリカ大陸東部の間に位置するエイデン湾海底油田の所有権を巡り、中東側のヨビアン王国と、アフリカ側のウルビランド共和国が戦争に突入しました。そしてヨビアン側には中東諸国連合が、ウルビランド側には中国とイギタリア連合王国が軍事支援をしていますので、これはほとんど石油利権を奪い合う代理戦争です」


 ほんと、ありがちでみっともない戦争ね――と花は思った。


 人類は陸地の油田をあらかた掘り尽くしたあと、次は海底を綿密に調べ始めた。そして、陸地から近く、なおかつ原油確認埋蔵量の多い海底油田が見つかると、近隣諸国はこぞって所有権を主張。その結果、世界各地で紛争が勃発。エイデン湾戦争はその最たるもので、武力衝突に発展すること自体はそれほど珍しいことではなかった。


 しかし、エイデン湾戦争は様々な要因が入り混じり、戦火は激しさを増すばかりだった。その一番の要因は宗教対立だと分析する学者もいる。


 ヨビアン王国とウルビランド共和国の国教はどちらもアララム教なのだが、信仰する宗派が異なり、ヨビアン王国ではシアン派が、ウルビランド共和国ではスーナ派が多数を占めている。その二つの宗派は同じ宗教でありながら、互いの存在を否定し合い、顔を合わせれば殺し合いに発展するのも日常茶飯事の関係だった。


 特にヨビアン王国においては、国民の大多数を占めるシアン派が、自国内のスーナ派を忌み嫌うあまり、スーナ派部族が暮らす地域に弾道ミサイルを撃ち込んだことさえある。そうして数百人以上をまとめて虐殺したという恐るべき事例が、過去に何度も発生している。


 さらに宗教以外にも、民族対立という根深い要因もあった。


 ヨビアン王国にはアラビア人、ウルビランド共和国にはアフリカ系黒人と、ヨーロッパのイギタリア連合王国から移住した白人が暮らしている。そして、白人に侵略された歴史を持つ両国の国民には、白人に対する強い恨みを持つ者がいまだに数多く存在する。さらに、対立の歴史を積み重ねてきたヨビアン人とウルビランド人は、互いを激しく憎み合っていた。


 そのような歴史的、民族的、宗教的な要因が複雑に絡み合った結果、エイデン湾戦争はまさに血で血を洗う凄惨な状況に突入。そうしてわずか一年ほどで、四百万人を超える戦争難民が発生する事態となった――。


「それでですね、UNHCR――国連難民高等弁務官事務所の勧告を受けた国連が、緊急特別総会を開き、戦争難民を世界各国で受け入れることを採択しました。それにより、日本政府も難民の一部を受け入れることに合意したんです」


「ええ、それはもちろん知っています」


 田川の説明に花は一つうなずき、さらに問う。


「だけど、どうしてネスクが難民を受け入れることになったんですか? ネスクが受け入れるのは日本人だけのはずですが」


「一言で言うと、どうやら日本政府に押しつけられてしまったようです」


 田川はフラットモニターを操作して、今度は日本地図を表示した。


「えー、今回受け入れることになった難民の数は、黒人、白人、アラビア人の、合わせて11万3,304名なのですが、日本国内にはその人数を受け入れる施設がないので、これから秋田と北海道に居住施設を建設するそうです。それで、その施設が完成するまでの一年間だけ、ネスクで保護してほしいという要請があったそうです」


「でも、たった11万人なんですよね? それなら数千人ずつに分散すれば、既存の施設でじゅうぶんに受け入れられると思うんですが」


「それがですね、政府は難民認定手続きを迅速化するために、難民をできるだけ一か所にまとめたいと主張したそうです」


「そんな無茶苦茶な……」


 花は思わず呆れ返った。ネスクほどの利便性はないが、日本の公的な手続きはすべて電子化されている。難民の認定手続きに物理的な距離が問題になることはあり得ない。無理に難民を一か所にまとめる必要性なんて欠片もないはずだ。


「まあ、飽海さんの疑問はもっともですが、おそらく政府の思惑は別にあるのだと思います。政府にはネスクの存在を快く思っていない政治家がかなりいるという噂ですからね。それにヨビアン王国とウルビランド共和国の人はかなり気性が荒いという話なので、厄介事はネスクに押しつけてやれ――というのが本音だと思います」


「つまり、その厄介事の対応をするのが、わたしってことね……」


 花はフラットモニターに両手をついてガックリと肩を落とした。その姿に、田川は軽く苦笑いを浮かべながら声をかける。


「大丈夫ですよ、飽海さん。難民の方と面会するときは、ちゃんとネスクガードの護衛がつきますから。それに、この仕事ができるのは飽海さん以外にはいないそうなので、特別手当が出るそうです」


「え? わたし以外にいない? それってどういう意味ですか?」


「そのままの意味です。どうやらネスクの公務員でアラビア語が堪能たんのうなのは、飽海さんだけらしいです。ヨビアン王国とウルビランド共和国の公用語はアラビア語ですからね」


「ああ……だからわたしが選ばれたのか……」


 花はその場にへなへなとへたり込んだ。クルシマ製薬に入社する切り札として必死に覚えたアラビア語が、まさかこんな仕事に活用するはめになるとは、人生なんてどう転ぶかわからないわね――とため息が出た。するとその時、不意に背後から凛とした声が飛んできた。


「――皆さん、おはようございます」


 花たちが一斉に振り返ると、そこには一人の中年女性が立っていた。身長はそれほど高くないが、背すじをピンと伸ばした姿にはかなりの威厳が感じられる。


 長い栗色の髪をアップにまとめた女性は、へたり込んでいる花を見てわずかに眉を寄せながら言葉を続ける。


「初めまして。私はネスク代表議員の一人、美東真冬びとうまふゆです」


「お、おはようございます、美東議員」


 田川が慌てて頭を下げたので、花もすぐさま立ち上がり、丁寧に頭を下げる。そして高級なビジネススーツを着こなした美東を見て、心の中で首をかしげた。


(あれ? このおばさん、どっかで見たような……)


「あなたが飽海花ですね」


「あ、はい。そうです」


「今日はあなたに一言伝えるために来ました。今日からあなたが難民を管理する責任者です。難民たちに問題を起こさせないよう、しっかりと見張ってください。ご存知のとおり、ネスクの代表議会は一枚岩ではありませんから」


 ……はい? 


 花はわけがわからずパチパチとまばたいた。いったいなんの話をされているのかまるで理解できない。しかし美東は花の困惑顔には目もくれず、部屋の奥まで歩を進め、振り返ってさらに言う。


「いいですか? 難民を一年間受け入れることで、ネスク内の民間企業は今後五年に渡り、法人税の軽減措置を受けることができます。これはネスクの財政基盤を固めるために、どうしても必要な取引だったのです――」


 ああ、なるほど。そういうことか――。花はとたんに腑に落ちた。


 美東の言葉の裏を読むと、おそらくネスクは日本政府からの難民受け入れ要請を最初は突っぱねたのだ。そこで日本政府は法人税の軽減措置というカードを切った。それでネスク代表議会の意見は真っ二つに割れてしまい、難民受け入れ賛成に回った美東議員が、特例期限付移住者保護条例をなんとか可決させた。


 だから、難民たちが問題を起こすと自分の首が絞まってしまうので、わざわざ難民支援室まで念を押しに来たのだろう――と花は察した。


「特にネスクの総代表である法条知事は、今でも難民の受け入れには強硬に反対の立場を取っています」


 美東は花をまっすぐ見据えて言葉を続ける。


「つまりこれから一年間、もしも難民たちが問題を起こしたら、あの頑固で分からず屋の知事は、難民たちをネスクの外に放り出してしまうでしょう。そうなると、難民受け入れの責任者である私の面子は丸潰れになります」


(うわぁ、この人すごい……。そういうこと堂々と言えちゃうんだ……)


「そういうわけで、飽海さん」


「はっ! はいっ!」


 美東が急に花の肩に片手を置いて、わしづかみにした。


「私の面子はあなたの肩にかかっています。そのことをすべての脳細胞に刻み付けて、くれぐれも問題を起こさないようにしてください。いいですね? い・い・で・す・ね?」


「は! はいっ! わっ、わっかりましたっ!」


 肩をギリギリとつかまれてジットリとにらまれた花には、『イエス』以外の選択肢はなかった。


「よろしい」


 美東は花から手を離し、腕を組んで口を開く。


「それでは飽海さん。早速ですが難民の代表団と面会して、彼らの要望を聞いてきてください。判断支援人工知能が許可すれば、どのような要望でも私が決裁します。何か質問はありますか?」


「い! いえ! 特にありません!」


「そうですか。では最後に確認です。私が何を希望しているか、分かりますね?」


「はい! とにかくこれから一年間、難民たちには何もさせずに飼い殺しにする――ということだと認識している所存であります!」


「よろしい。どうやらあなたを選んだのは正解だったようですね」


 美東は満足そうにうなずきながら名刺を取り出し、花に手渡す。


「私の直通番号です。困ったことがあったらいつでも連絡してかまいません。それと、難民の居住区域には既にネスクガードを派遣しております。あなたは速やかに彼らと合流し、代表団と面会してください。……いいですか? 最初が肝心です。難民たちにネスクのルールを叩き込んできなさい」


「はい! 可及的速やかに職務を遂行致します!」


「よろしい。それでは」


 美東は最後に花たち三人を見渡してから、すぐに難民支援室をあとにした。


「なんだかすごいオバチャンだったねぇ~」


 映美が部屋の入口に目を向けながら、のんきな声で呟いた。


「すごいどころか、すごすぎよ。というか、なんでわたしだけ圧力かけられなきゃいけないのよ……」


「それだけ飽海さんに期待しているということですね」


 カンベンしてよ……。田川の言葉に、花は小さくかぶりを振る。


「それじゃあわたしは、とりあえず難民の代表に会ってきます。早く行かないと、あとで怒られそうだし」


「はーい。ハナミー、がんばってねぇ~」


「飽海さん。お気をつけて」


(くそ……。あんたたちは気楽でいいわね……)


 花は恨めしそうな目つきで二人を軽くにらんだ。それからトボトボと、難民居住区に足を向けた。




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