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 初恋は、実らない人がほとんどだという。美海自身、悟とこれから先があるとは思わない。ずっと幼馴染を貫くだけだ。けれど、初体験の相手が、初めて好きになった人というのは、幸せなのではと思う。

 隣で寝ている悟を見て、誰かが隣で寝ているというのは、こんな感じなのかと脳に記録する。

どうしてこんなにもぐっすりと眠れるのか、もし私が悪い女で包丁を隠し持っていたら、今頃このベッドは血の海なのにと、美海は物騒な考えに至る。そう思うことで、悟にとって自分は、そんなことをしないと安心してくれているのだと実感する。

 セックスで人生が変わる人もいれば、変わらない人もいる。だとすれば、美海は、自分は後者だなと、良くも悪くも変わらない現状に、安心と期待外れが入り混じる。

ただ、これから悟と明里が恋人として付き合い始めても、自分は自分でいることができる気がした。醜い嫉妬が沸き起こっても、一度は悟と関係を持ったのだと、そう思うことで負の感情に苛まれずに、生きていける。

「……嫌な女」

 美海はそう評価して、空が明るくなるまでの限られた時間の中で、悟の恋人気分を味わった。


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