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 夜、お前の部屋に行くから待っとけ。

 そう言われたので、美海はベッドの上に正座をして待機する。

 夜になったからといって、美尼島の暑さは鬱陶しいままで、クーラーのない美海の部屋は扇風機だけが頼りだ。

 美空も祖母も、父親もいない。従来の、いつも通りの夜なのに、悟が来るか来ないかで、全く違う夜になる。

 正式名を知らないので、豆電球と呼んでいる常夜灯を見ながら、悟が来たらどのタイミングで消したらいいのだろうと考えていると、網戸越しに「美海」と呼ばれ、美海は緊張する。悟だ。

「…入っていい?」

 いつも勝手に入ってくる悟も、今夜ばかりは態度が違う。

「うん」

 迎い入れようと立ち上がれば、足が痺れてしまっていて、うまく歩けずゆっくり床に崩れ堕ちた。

「美海?」

 網戸を開けて入ってくる悟が、心配そうに声をかけるので「足が、痺れた」と苦笑いで伝えると「脅かすなっちょ」と安堵して、美海の足を突いた。

「やめて、死ぬっ」

「おいっ、声でかいっ」

 静かに、と人差し指を口の前に持ってきて美海を制すが「大丈夫、誰もおらん」と言うと、そうなんだと、それはそれで悟に緊張を与えた。その緊張を誤魔化すように、悟は再び美海の足の裏を触る。

「やめてって!まだ痺れてるからっ」

 痺れを堪える美海の脇を持ち上げ、ベッドへ引きずりあげる。

「ここも痺れてる?」

 悟が脹脛を摘めば、美海は笑い混じりの悲鳴を上げる。そして悟の手は、痺れを確認するふりをして、そのまま上へ上へと伸びていった。


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