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世界の終わりの狂想曲  作者: 206941144
悪意の花
6/43

種まき~5~

微エロ&微グロ注意

「くそっ、頭に血が登っちまった。」


ヴァンジェアンスは、死屍累々といったリビングに1人立っていた。

盗賊は、誰一人として死んではいない。


「まぁ、ミミカに渡したお守りが効果を発揮したのは良かったか。」


何故、最後ミミカに振り下ろされた剣が防がれたのか。

それは、ヴァンジェアンスがプレゼントとして渡したネックレスの効果だ。


効果は『1度だけ外部からの攻撃を防ぐ』というもの。

盗賊の襲撃が分かっていたヴァンジェアンスだからこそ、用意できたプレゼントなわけだが。


「まぁ、諸々大変だったけどそれは後にして。さっさと、やらなきゃならねぇことやるか。」


ヴァンジェアンスはミミカの母親の元へと行く。当然死んでいるが、


「よし、これならまだ大丈夫だ。ヒール」


ヴァンジェアンスが、ヒールの魔法を唱える。

死者にヒールは効くことはない。

しかし、


「よし、これで見てくれはどうにかなった。」


ミミカの母親の千切れていた首が、体にくっついた。

それは、体が動かないことを除けば、生きているのと変わらないかのような姿であった。


そして、ヴァンジェアンスはシラーの方へと行く。


「──っ!」


ヴァンジェアンスが初めて驚きの表情を浮かべる。

何故なら


「生きているのか!」


「あぁ、そうだよ。まぁ、もうじき死ぬだろうけどな。」


シラーは生きていた。べリスの剣はシラーを貫いたが、偶然臓器をすり抜けていたのだ。

とはいえ、出血量が多すぎるのかシラーの顔は白く今にも死にそうだったが。


「聞け、ガキ。俺はリリーのように、てめぇを信じちゃいない。上っ面は子供みてぇだけど目の奥底が淀みきってたからな。これでも、俺は銀行の頭取なんだ。そのぐらいは分かる。」


「……」


「なんか言えよ。…まぁ、いい。それでだ、俺はもう死ぬだろう。いや、確実に死ぬ。だから、極めて不本意だが、ミミカをお前に任せる。頼んだぞ。」


シラーが唐突にミミカのことをヴァンジェアンスに預けようとする。


「…何でなんだ?」


「あぁ?」


「何で俺がまともなやつじゃねぇって分かってんのに、ミミカを俺に任せようとすんだ?」


シラーは一瞬沈黙して。





「ミミカが幸せそうだからだ」





「……は?」


ヴァンジェアンスは訳が分からないという、表情を浮かべる。


「あぁ、お前はやばい。絶対にミミカに何かしてるし、これからも何かをするだろう。はっきりいって、お前はミミカのことを何とも思っていないし、それどころか嫌い、いや憎らしく思っているだろうこともわかる。ミミカがお前に付いていったって、絶対に幸せにはなれないだろう。」


「それが分かってるなら何故──」


「それでも!」


シラーが血を口の端から垂らしながら、力を込めて話す。

その気迫にヴァンジェアンスも、何を言うことも出来ない。


「それでも、ミミカが幸せだと思っているならそれでいいんだ。幸せってのはなぁ、周りが決めることじゃねぇんだ、自分が納得してればいい。自分以外の全ての人間が、お前は不幸だといったとしても、自分が納得してりゃあいいんだ。独りよがりの独善的な妄想のことを、人は幸福って呼ぶんだからよ。」


その言葉には、銀行家として数多くの人生を見てきたシラーの重みがあった。


「分かったか!」


シラーの本当の意味で死ぬ気で、発した言葉に


「……分かったよ。」


ヴァンジェアンスは諦めたかのように、シラーを見つめる。

その瞳には憐れみとも悲しさとも言えない、何とも言えない色が浮かんでいた。


「よし。…がはっ、げほっげほっ」


シラーが血を吐いた。


「あぁ、もうダメだなこりゃ。…最後にお願いがあるんだが聞いてくれるか?」


「あぁ、聞いてやるよ」


「ミミカとリリーを見せてくれ」


ヴァンジェアンスはミミカとリリーを、シラーの元へと連れてくる。


2人とも死んだように静かだったが。


シラーは2人の顔を見て、


「……ありがとうなぁ。」


シラーの瞳から涙が1滴こぼれ落ちる。

その涙は、頬を伝い床へと落ちる。


「333333だ。」


「あ?」


「金庫の暗証番号だよ。簡単だろ?」


シラーがヴァンジェアンスに金庫の暗証番号を教える。

ヴァンジェアンスはそれがさっきの依頼の報酬だったと気づき、


「…ふっ、ありがとなお義父さん(・・・・・)


シラーはその言葉を聞き、目を見開いて


「俺はお前のお義父さんじゃねぇ!…ふふ、ふはははは、あははははは!」


そう言って笑いながら、リリーもミミカの顔を見ながらうるさく死んでいった。




~*~


ヴァンジェアンスは、眠っているかのように死んでいるリリーとシラーの遺体をソファに持っていく。

その時、雑ではあるがミミカのことも一緒に引きずって持っていっていた。


そして、盗賊達を紐で縛り上げ、


「早く、目を覚ませ!」


魔法でたたき起こす。


盗賊達は、段々と目を覚ます。

そして、


「てめぇ、おいっ!この紐解きやがれ!」


「ぶっ殺すぞ!」


「おい!聞いてんのかよ!」


喚き立てる盗賊を尻目にヴァンジェアンスは、団長。つまり、べリスの目の前に座る。


「おい、雇い主は誰だ」


「……」


「早く言わねぇと拷問するよ?」


ヴァンジェアンスはあどけない少年のような表情でべリスに語りかける。

しかし、


「……」


「そう。じゃあ、まず1人目ね」


「えっ」


ヴァンジェアンスは他の団員の元へと向かう。

拷問されるのは自分だと思っていたべリスは驚きの声を上げる。


「お、おい!拷問するんだったら私にしなさいよ!」


「えっ、なんで?ストックがあと3つもあるんだ。そっち使うに決まってんだろ?」


「……っ!」


ヴァンジェアンスの人を人と見ていない発言にべリスは、言葉に詰まる。

そして、ヴァンジェアンスは1人の団員を引っ張ってべリスの前に連れていく。


「レオン!」


そいつは、最後まで生き残りヴァンジェアンスに右腕をへし折られた男だった。


「団長。大丈夫です。拷問何かで俺はぜったいに喋りませんから。」


レオンは、その端正な顔立ちのままべリスを安心させるように、話しかける。

しかし


「?何言ってんだ?これは、べリスへ(・・・)の拷問だよ?」


ヴァンジェアンスはレオンの瞳を右手で覆う。そして


「ヒート」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!熱い!目が、目が、溶ける!ぁあがガガガががぁ、!熱い熱い熱いぃぃぃ!目が目が目が目が目がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


ヴァンジェアンスが覆う手の隙間から蒸気が立ち上る。

眼球の水分を沸騰させているのだ。

レオンは折れている右腕でヴァンジェアンスの手を引き剥がそうとする。

しかし、ヴァンジェアンスはその右腕を再度蹴りつける。



「あぁぁぁ!!熱いぃぃぃ!熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いあつ、あがっ!」


レオンがバタンと糸が切れたように倒れる。

ヴァンジェアンスがレオンの顔をべリスの方へと向ける。


「ひっ」


べリスが悲鳴を上げる。


レオンの眼球は水分が全て蒸発したのか、1回り小さくなり、さらに真っ白く、なっていた。そして、表情はまるで逃れられない地獄を見たかのように、引き攣り、皺くちゃになっており、元の顔も分からない。


「さぁ、答えるか?」


「ひっ、ひっ、」


べリスは過呼吸のようにひきった呼吸を繰り返す。

喋ろうと思っても喋れないようだ。

しかし、


「じゃあ、次だな」


「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁ!」


「助けてくれ!助けてくれよぉぉぉ!」


ヴァンジェアンスはふたりを一緒に引きずってくる。

そして、


「あが!」


「うぎゃ!」


2人の足を引きちぎる。

それは、剣を使って切るのではなく素手で無理矢理引きちぎるというようなもので、2人に激痛が走る。

しかし、ヴァンジェアンスはそこで終わらない。

2人の足の断面図をくっつけて


「スティック」


魔法を唱える。すると、


「あぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「おい!どうなってんだ!俺とゲレの足がくっついてるぞ(・・・・・・・)!」


二人の足は元々1本だったかのようにくっついている。


「はは!前衛芸術みたいだな。ところで、知らないのか?」


「?」


「何のことだよ!早く、元に戻せ!」


「他人の血液が混じると人は、死ぬんだぜ。」


拒絶反応である。

それは、この世界でも全く変わらない法則の一つ。

他人、いや、異なる血液型の血がある一定量混ざると人は死ぬ。


「でだ、ここに剣が二本ある。相手の心臓を早く止めないと君たち死ぬよ?」


盗賊達は、剣を見て、相手を見て、直ぐに


「死ね」


「あがっ」


ゲレの方が一瞬早く行動した。

ガジドの首が飛ぶ。切断面から血が噴水のように飛び出る。


「ひひっ、ころしたころしてやった!助けてくれ!」


「はっ?なんでだ?」


「……へ?」


「誰が助けてやるなんて言ったんだ?」


ゲレが驚きと絶望が入り交じった表情をして


「だ、だって、さっきてめぇ!ぶっ殺す!ぶっ殺してやる!てめ──」


「うるさい」


ヴァンジェアンスが剣でゲレの首を落とす。


「あ、残ってんのあんただけじゃん。早く喋ってよね。」


ヴァンジェアンスの拷問というには凄惨すぎるものを、見せられていたべリスは


「ひぃぃ!言う、言う、言います!言いますから!助けてください!」


完全に戦意を失っていた。


「で、誰?」


「は、はい!隣街の貴族のファリトン家です!」


「なんで?」


「自分達より金を持っていることに、苛立ったそうです!」


「ふーん。」


ヴァンジェアンスは既に興味を失ったように、気のない返事をする。


「た、助けてくれませんか?ヴァンジェアンス様!」


べリスが媚へつらうような、笑みを浮かべて、ヴァンジェアンスに縋り付く。

ヴァンジェアンスは、べリスを一瞥して


「ふん!」


「きゃあ!」


べリスの衣服を引き裂く。

そして、べリスの整った身体が空気に晒される。


「か、体なら捧げます。だから、どうか命だけは!」


べリスは服を破かれても全く反抗的な態度は取らなかった。

しかし、


「お前の体なんかには興味はない。そんなことよりも、これからの計画のために、お前は俺の奴隷にする。」


そう言って、ヴァンジェアンスはべリスに近寄る。

そして、


「シャット」


べリスに魔法を掛ける。

すると、べリスの体から力が抜ける。


(何が、)


そして、ヴァンジェアンスが下腹部辺りを撫で回す。


(んっ!)


「ここら辺か」


ヴァンジェアンスはべリスのちょうど子宮の真上を手で触る。


そして、


ずぶずぶ


(あがっ)


べリスは痛みは感じないのだが何か違和感を腹に、いや腹の中に感じる。

しかし、体が全く動かないので何が起こってるのかが分からない。


(なに、何が起こってるの?私の体に何をしているの?)


「あぁ、そうか。お前は動けないんだったな。じゃあ、見えるようにしてやるよ。」


ヴァンジェアンスがニヤニヤと笑いながら、べリスの体を起こす。

そして、


(は?)


そこの見えるのは、自分の腹から出てきている何か丸い臓器のような物で


(私の…子宮(・・)?)


「お前の子宮だ」


(あぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘よ!嘘に決まってる!だって、あれは私の)


ヴァンジェアンスがべリスの子宮に少し力を加える


(うっ)


外にあるのに中に違和感を感じるという非常事態にべリスの頭はついて行かない。

何が起こっているのかも全くわからない。

しかし、時間は止まらない。


「ここに、奴隷紋を刻むからな。」


ヴァンジェアンスは指に魔力を宿し、べリスの子宮に紋を刻む。


(んっ!あ、あん!んあっ!)


未知の感覚に翻弄されるべリス。

当然処女ではないが、子宮を弄られる経験などあるはずもない。

そして、


「終わった。それじゃあ、寝てろ」


ヴァンジェアンスは作業のように奴隷紋を刻むと最初の命令を言い放つ。

当然子宮は体内に戻している。


べリスは、恍惚とした表情を浮かべながらぶっ倒れる。


「よし、最後の作業だ」


といって、ヴァンジェアンスは既に死んでいるシラーとリリーの元へ向かい、口元に懐から取り出した瓶をあてがい注ぎ込む。


すると──



────────────────────


翌日、街にいつも通りの日常が始まる。


「ミミカちゃん家に行ってきまーす!」


「朝帰ってきたばっかりじゃない!」


マリアの呆れた声が聞こえるが、ヴァンジェアンスは止まらない。


そして、


「アライラッシャイ、ヴァンジェアンスクン、ミミカナラマダネテルワヨ」


「……ありがとうおばさん」


そこには、いつものように(・・・・・・・)花に水やりをするリリーの姿があった。


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