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我が「未知」をいく高齢者


定年退職して、いきなり自由の大海に投げ出された正信にとって「夢」とは…

「夢なき者に成功なし」

そもそも残りの人生において成功とはなんなのか。


正信は65年間、そんなことを考えたことも無かった。

ある意味、幸せだったのかもしれない。

考える間を与えないほど、今までの日々が仕事と子育てで充実していたのだ。

それに、考えず愚直になにかに一生懸命になることも激動の時代を生き抜くには必要であった。


今はどうだろうか。無限の時間と、ほどほどの貯蓄と退職金もある。良き妻にも恵まれ、子供も2人、自立しておる。なんら不満は出てこない。

私は幸せ者だ。それだけで十分ではないか。もう十分頑張った。もういい。


「ワシにとっての夢はもう…叶えられたようなもんだ。今まで支えてくれてさちへ、感謝しとるよ。」

正信の思う、人生の成功とは、素晴らしい家族とほどほどのお金を子供に残すことであると結論づけた。


さちへは、少し戸惑いながらこう返す。

「確かに過去のあなたは素晴らしい男だった。良く働き、子育ても家族サービスもしてくれて、誰もが羨むような世界No1の夫だと思っているわ。」

さちへの言葉に少しずつ熱が入る。

「だから…私は、あなたに新しい夢の形を見つけ出してほしいの。常に誰かのために生きてきたあなたの、本当にあなた自身がやりたいことを探すための時間をやっと…考える時なんじゃないのかしら?過去の栄光にいつまでも浸っていたら人間としての魅力はそこで止まってしまうもの。」


誰かのためじゃなくて、自分のための夢、目標…

考えたこともなかった。私自身のために生きるとはなんだろうか。

正信はあまりにも哲学的な問答に少し笑ってしまった。

そして、さちへにこう返した。


「相変わらず手厳しいなぁ。よしわかった、これからは自分の道を突き進もうじゃないか。誰かのためじゃない、自分自身のための老後を探すことからはじめよう。」

「人生を映画に例えると、老後はクライマックス。さちへの言うように、最後くらい自分の人生を歩んで花を飾るのものも重要なのかもしれないな。」


「夢なき者に成功なし」この言葉を正信は「老後の夢なき者にワンダフルな人生の成功なし!」と手帳に書き変えて残したのであった。


正信の老後の夢とはすなわち、自分のやりたいようにすること。

自分のやりたいことはなんなのか、正信のセカンドライフはまだ目標が定まらない!

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