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恋に堕ちました2

今日も今日とて私はルゥに虜。


そして今日は特別な日なのです。

本日はコーエン様に猫好きさんたちの会合に特別に招待されているのだ。


だから朝早くから念入りに身だしなみを整えて、持ち物の準備も忘れもののないようにしっかりと行った。

ルゥ専用の櫛に猫じゃらし、毛糸の玉を持っていかなければなるまい。

また出会って一ヶ月記念に特製に作られた首輪もプレゼントしないと!


こんなにウキウキするのは久しぶり…まだ旦那様を追いかけていたころのようだ。

ふと昔を思い出してしまい落ち込みかけたが、すぐにルゥを思って立ち直った。


――今の私にはルゥがいる。もう私は苦しみたくない…ふたをしてもう振り返らない。

旦那さまからの愛を、見返りを期待しても無駄なのだから…


「さぁ、愛しいルゥのもとに行きますか」


よいしょと声をだし重くなったバックをもって、立ち上がったその時私の背後から声がした。


「どこにいくんだい?メルディアナ」


久々に聞く旦那様の声にドキリと胸が高鳴った。

最近は避けてばかりでほとんど言葉を交わしていなかったのだ。

恐る恐る振り返ればいつもの通り素敵な旦那様が扉に背を預けてこちらをじっと見つめていた。


「ええ、今から出かけます。友人と待ち合わせをしていますので」


ニコリと笑って旦那様の背後の扉を開けようと試みるが旦那様に阻まれた。


「最近君がコーエン子爵と仲がいいと噂になっているが、君の恋人なのか?」


その言葉に私は首をかしげた。

そりゃあ、ルゥの飼い主であるコーエン様とはずいぶんと仲良くなった。

だからといって私の恋人はルゥであって、コーエン子爵ではない。

なんと言ったらいいのか…


「コーエン様とはそのような関係ではありません。まぁ私の恋人の大切な方なので懇意にさせていただいていますが」


私の発言に言葉通り旦那様は固まった。

なぜ旦那様が固まるのだろう。

まるで物語のように今更私のことが気にかかるとでもいうのだろうか?


「旦那様には関係ないでしょう?好きなように生きろと言ったのは旦那様なのですから」


「…その通りだ。まさか君が恋人を作るとは思わなかったからな。好きにすればいい。だが人目を気にしろと言いたかっただけだ」


「それはお互い様でしょうに」


にこりとわらってそう言い返すと旦那様はその優しげな顔を苦虫をかみつぶしたかのように歪め、そのまま部屋から出て行ってしまった。


…変な旦那様。

どうせ今まで金魚の糞のようにまとわりついていた私が離れたことに少しだけ気に食わなかっただけなのだ。


そんなことより早くルゥに会いたいな…


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