ごぼうかかりちょう、しげーと出会う
今日は日曜日。緑がいっぱいの森の池で魚釣りをしているごぼうさんが居ました。ごぼうさんの名前はごぼうかかりちょうといって、この世界ではお給料のいいゴミを捨てる会社で働いています。
「はぁ、パンツ一丁でジャングルを駆け回りたいな」
つんつん……グイッ、バシャバシャバシャッ!! ごぼうかかりちょうが呟いた瞬間、魚がつれました。
実はここの池は心から思ったことを呟くと魚がつれる不思議な池なのでした。
「お給料が出たらやっぱり水虫を治すのに使いたいな」
つんつん……グイッ、バシャバシャバシャバシャッ!! さっきからたくさん釣っているはずなのに、バケツの中身が増えませんでした。いつの間にか一時間かけて釣った激レアな金のいかつい魚が消えていました。
クッチャクッチャミュッチャクッチャチャッチャハゲノアタマハピカリンコォ~クッチャミュッチャイエイイエイ!! 何かものを食べている効果音がなぜかラップ風にアレンジされている音が聞こえてきたので、ごぼうかかりちょうは音のするほうへ歩いていきました。どうやら怪しく動く草むらから聞こえるようです。
「ピエェーーーーーーーッ!!」
突然左右に動く草むらから変なのが飛び出してきました。うろこに覆われたからだ、にょっきり生えた手足、零れ落ちる寸前の目ん玉。そして何よりも『しげー』とマジックペンでかかれた薄汚い小学生の体操服を着ている。
「……半魚人、なのか!?」
「ピエェ! ピエェエ!」
変なのは嬉しそうに『そうなんだぜ! 俺はんぎょじん!』とでも言うように叫びまくりました。あまりにも興奮しすぎたのか、半魚人の口から何かが飛び出してきました。
……べちょっ!! それは腐敗することを知らない金ぴかりんでいかついケツアゴの……。
「私のつったおしゃかなっ!!」
ごぼうかかりちょうは驚きすぎて赤ちゃん言葉になってしまいました。この魚の彫の深いケツアゴを見て『これならふんどしをしめられそうだ! それにしてもいかつい!』と感動したのを今でも忘れていません。
「ちょっといいかな? えっと、名前は何だっけ?」
「ピエェー!」
「そうか、シゲーか。ウォッホン! ちょっといいかな? シゲー君、この魚盗んだでしょ?」
ごぼうかかりちょうが冷酷な目でシゲーを見ると、かなり動揺して口をパクパクさせました。まさにワンターンキル!! ……そう思ったのもつかの間、とんでもない答えが返ってきました。
「ピエェーーーーッ!」
「何? この魚は自分でとっただと! それは疑って悪かった。でも一体どうやって……」
「ピエーー!」
シゲーは誇らしげに二、三メートル先にあるバケツめがけて走り、慣れた手つきでバケツの中に入っていた魚をすくいあげ、ひょいっと口の中に魚を放り込みました。バケツには『ごぼうかかりちょう』と書いてありました。
「あ、あのねえ」
ごぼうかかりちょうはあきれはててしまいました。するとシゲーはうるうると目に涙をためて訴えてきました。
「ピエェ! ピエェー!!」
「神に誓っても嘘をついていません……って、君はわかっているのかい?さっきのシゲー君の行為は盗みなんだよ? 嘘をつく以上にいけないことなんだ」
シゲーはしゃがみこんで砂いじりを始めました。
「ピエェーッ、ピエェー」
ごぼうかかりちょうは話を聴いてくれないシゲーに怒りを抱き始めました。
「こらっ! 人の話はちゃんと聞きなさいっ!」
少し強くしかると、シゲーはおびえたように振る古視ながら振り向きました。そしてその姿を見て、ごぼうかかりちょうは強く心を打たれました。
何故なら、シゲーは涙目だったのです。そして、涙目のシゲーはえも知れぬ色気をかもしだしていました。
「ピ……ピエェ……(訳:そんなに怒らないでください……なんでもするから許して……)」
今にも泣き出しそうなシゲーの体は、半魚人とは思えぬほどに肉感的です。あまりにも魅惑的なシゲーを見ていると、ごぼうかかりちょうのいちもつはごぼうよりも長く、ごぼうよりも太く、ごぼうよりもたくましくなってしまいました。
「そうか……なんでもするんだね……?」
ごぼうかかりちょうはごぼうよりも黒く灰汁のにじみ出た笑みを浮かべ、シゲーの肩を抱いたのでした――。




