ホワイトデー
これは以前書いた「バレンタインデー」の続編みたいなものです。
「バレンタインデー」を読んだことがない方は、ぜひ「バレンタインデー」を読んでから「ホワイトデー」をお読みください(o^^o)
宣伝みたいになってすみません(笑
「あの……さ、この前、バレンタインの時もらった時の……あれ?? とにかく! これホワイトデーの! チョコありがとう! お、お返し。あと、お、俺も好き……」
「えっ、あ、ありがとうっ」
二人の男女が照れながらチョコを受け渡している。
カップルが増えるこの季節。
そう、今日はホワイトデーなのだ。
そんな風景を横目でみながらハァーっとため息をする俺、伊藤和真。十八歳。
去年のこと。
遠野洋子という女子(同級生)にチョコをもらった。
「伊藤くん、これ、受け取って欲しいんだけど」
嬉しかった。だってずっと好きだったから。
「え、ほんと? 嬉しい。ありがとう」
俺、ぶっきらぼうすぎ……。でも、でもチョコもらっても……。
俺はその日の夜、何枚も何枚も書き直して、メモを一枚完成させた。
『チョコレート、ありがとう。
美味しくいただきました。
けど、遠野の気持ちは受け取れない。
ごめんな。
もっといいやつ見つけろよ』
部屋の床には何十枚もの紙が、くしゃくしゃに丸められた状態で落ちていた。
俺は、三ヶ月前から転校が決まっていた。
それもホワイトデーの一週間前。
渡せない、と思った。
遠野を幸せにできる自信もなかったし、苦しめるだけだと思ったから。
けど、違った。
彼女のことが気になって朝、下駄箱のところへ様子を見に行った。
すると、彼女は俺の書いた紙を握りしめて号泣していた。
俺は何も声をかけられずその場を去った。
親の転勤をこれほど恨んだことはない。
転校してなかったら今ごろ……。
しかし、転校する前の一ヶ月間、何も行動しなかった俺も悪い。
後悔だらけの恋だった。
だから、今度もし何かで遠野に会えたら、もう後悔しなくていいように行動する。
約束しよう。
あれから一年。
俺は新しい学校でもうまくやっていけている。
二回ほど告白されたが、遠野以外のヤツには何も感じない。
誰とも恋をしていない。
それはあの日の後悔と、大好きな彼女を泣かせてしまった自分への罰だと思う。
なぜ距離があるのだろう。
ホワイトデー恐怖症になった。
もし好評であったら連載化しようと考えております。
連載化の希望の方はお知らせくださぁい♪笑