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海風  作者: 毛利 政宗
8/11

最後のデート

健太の余命まであと、6日・・・

誘ってみよ!!


「けーんーたっ!!」

「なんだ?」


優しげに微笑む健太。

あとちょっとでこの笑顔が見れなくなると思うと

心に釘を刺されたような感覚になる・・・


「今日さ、金曜日じゃん?」

「それぐらい知ってるよ」

「明日、デートしない?」


・・・きっとこれが・・・

最後のデートになると思う・・・


「いいよ・・・でも・・

用意があるから、夕方からでいい?」


「全然・・・OK・・・」


健太もそれを察したようで、寂しそうに、申し訳なさそうに

返事を返した。

でも・・・用意ってなんだろう・・・?

疑問をいだきながらも、私は席に戻った。


ー土曜日ー


「どこ行く?」

「うーん・・・あの場所行こ!!」


"あの場所"・・・それは、私たちが始めて出会った場所・・・


初めてキスした場所・・・







「やっぱり、きれいだね。夕方の海は」

「ああ・・・」

「聞いてないでしょ??」


「・・・俺・・・これを渡したくて・・・」


そういって、健太はおもむろに茶色のコートの

ポケットから箱を取り出した。長い、薄い紫をおびた箱。


「何?」

「後ろ向いて。」

「うん」


そういって、健太は私の首にネックレスをつけてくれた。


「これ・・・」

「そう、前、お前が欲しいって言ってたやつ。」


そして、健太は私に、太陽のような笑顔を私に見せた。


そうだ・・・


顔を真っ赤にしてる健太、

勉強をして、真剣な顔の健太、

スポーツをして笑ってる健太、

試合に負けて、友達と励ましあってる健太、

おどかして驚いている健太、

自分の余命を知って泣いている健太、

そして・・・太陽のように笑う健太・・・


そんな健太の顔を、もう二度と見ることができなくなる・・・

それを考えると、自然と涙がでてきた。


「人美・・・?」


「ごめんっ!本当は健太が1番辛いから、

 泣かないって決めてたのに・・・」


涙が溢れ出る、止まらない・・・


「健太がいなくなるって思うと・・・

 どうしても・・・止まらない・・・」


「人美・・・」


「神様、どうして健太なんですか!どうして・・・」


「人美・・・」


「どうして・・・」


「・・・泣きたい時は、思いっきり泣け。

 俺が受け止めてやる。だから、溜め込むな・・・

 お前が辛かったら、俺も辛いんだよ・・・」


そう言って、優しく抱きしめてくれる健太・・・


私は、健太の腕の中でたくさん泣いた。


たくさん・・・たくさん・・・







「大丈夫か?」

「うん、ありがと・・・」


ドタッー


「健太?嘘・・・」


「きゃああああ!!男の子が倒れたわ!早く救急車を!!」


「しっかりして!健太!!」


名前を呼んでも、健太の意識は戻らない。



このまま、帰ってこないの・・・?


「健太・・・言ったばかりじゃん・・・俺が受け止めてやるってねえ、健太っ!!」







残り












『6日』

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