迫りくる病魔
昨日、本当に病院行ってたのかな・・・
今は、放課後、私服に着替えて散歩するっていう
私たちの日課。
今日は、いつもより少し遅い5:57。
「でな!・・・がマジうけたんだよ♪」
どうなんだろ。
「・・・なんなんだよ、人の顔じっと見て・・・」
「えっ、何もないよ」
「・・・嘘・・・」
バレバレか・・・
「昨日・・・〇X病院行ってたでしょ」
「なっ、なんで!」
「智弘くんが見たって・・・」
「そうか、智弘が・・・」
「・・・なんの病気・・・」
「・・・・・。」
「言ってよ!ねえ!言ってよ・・・」
「・・・・ガンなんだよ・・・」
え。
「手術で治るんでしょ・・・」
「・・・・、無理なくらい大きいって・・・・」
「嘘・・・嘘・・・・嘘だ!!
嘘でしょ??また、からかおうとしるんでしょ、ねえ!!」
「・・・・・・。」
なんで、なにも言わないの・・・?
「なんとか・・・言ってよ!!」
「人美・・・」
「もう、いい!!」
駆け出した。後ろで健太が名前を呼んだ気がしたけど無視した。
走って走って走って・・・・
気づいたら、初めて健太と出会った海が見える場所についていた。
「神様・・・どうして・・・どうして健太なの・・・」
雨がポツリポツリと降ってきた・・・
頬に雨が流れる
目頭が熱い
ああ・・・・私・・・・
泣いてるんだ 頬に流れているのは『涙』なんだ・・・
「・・・人美・・・」
「え・・・健太・・・?」
「ごめんな、ずっと一緒にいられなくて。
でもな、これから、死ぬまでに色んな思い出を・・・
お前と一緒につくりたい。」
「・・・・私もだよ・・・」
私たちは、雨の中冷たいキスをした。
キスしているときは現実を忘れられる・・・
でも、『雨』と『二人』の『涙』が現実から
私たちを逃がしてくれない・・・
6:00 ピッ
午後6:00、これは私たちが始めて出会った・・・
『時間』