一話 昔の話
目の前に映るのは闇夜で燃える我が家。
聞こえるのは周りが助けを求める声。
「おい!! できる限り水持ってこい!!」
「いや、今からじゃ遅いでしょ!?」
お隣の家に住むおじさんが声をあげた後、そのおじさんの奥さんがそう返した。
「あ……ぁぁ……!」
声にもならない声を十才の少年、ルル・セラクークは出し、この状況に絶望する。
──本当に少しの間の事だった。
母からおつかいを頼まれ家を出て帰ってきたらこうなっていた。
(……なんで……まだ奪うの……?)
どうして奪われなければいけないのか?
普通に暮らせればそれで満足なのに。
「…………もしかして……魔法?」
魔法──それは魔力が生み出す説明不要の人工の奇跡。
こんな一瞬で一つの建物を炎で包むなんて正直、魔法を誰か使った可能性が浮かぶ。
兵器なども可能性としてあるが、それらしき音とか普通するはず。
もし、音をたてずに攻撃できるものがあっても、こんな普通の一軒家に使うのは贅沢過ぎる。
いや、もしかしてどこかの国が先制攻撃を成功させるために……?
(……違う。前もそうだった。音もたてず、一瞬で奪われた……)
色々と考えてみるがやはり魔法だろう。
でも昔の世の中と違い今、魔法を使えるのは十一人の魔女だけと聞く。
その中には炎乃姫と呼ばれる魔女もいるらしい。
でも……魔女がなぜ?
しかし、結局、何も分からず、五年の月日が経った。




