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みかんの薄皮
みかんの話が続きます。
沼津とは違う、土肥のみかん、どんな味かな…
要は突然みかんの下部に指を突き刺して、皮を剥き始める。
「要、ここで食べちゃうの?」
由美は少しだけ驚いてた。加代は自分が私が渡したみかんに視線を向けている。
青みがかった皮を剥き終わると、要は十ぐらいの数の房を三つぐらい切り離して、加代の方を向き、
「では、いただきます!」
と口にそのまま入れた。
「薄い皮、剥かないで食べるの?あたし、剥くよ」
という由美に
「薄皮剥くのは面倒だし、食物繊維は健康にいいんだぞ〜」
と少し得意げに返す要。
要は父の隆から、みかんの薄皮にはビタミンCや食物繊維など体に良い物が入っているので剥かずに食べるのがいいんだとも聞いていた。
一方、母は薄皮は取って食べる派だった。その方がおいしく感じるということだった。
要は面倒くさがりの一面があるので、基本的に薄皮を剥かないで食する。しかし、母とみかんを味わうときは、たまに薄皮を剥がして食べることもあった。