カナブンとタックン
教室の自分の席に戻ると、楡木達也とアリが立っていた。
「カナブン、今日、千本プラザの公園のとこでな。俺はアリと先に行ってるよ。なつも行くかもしれないと言ってたぞ」
「OK、タックン」
達也は幼稚園から一緒だ。カナブンは、要の幼稚園時代あだ名、達也とは今も「カナブン」「タックン」と呼び合ってる。「タックン」の呼び名は、もともとは「タック」だったが、要が「カナブン」だから「ン」で終わろうということ「タックン」なった経緯がある。「タッ君」ではないのだが、もうなじんだ呼び方ゆえ今もそう呼んでいる。
達也は背が高くて、ロン毛でかっこよくて、ストリートダンスもしているいわゆるイケメン男子だ。
自分は体格がやや小さく、容貌はカッコよくないし、取り柄と言えば、勉強がちょっとできるのと将棋、そして工夫した遊びだろうか。
そんな要と達也だが、幼稚園の頃から気が合っていて、小学生になってもよく遊んでいた。1、2年はクラス一緒だったが、3,4年は別々だったので遊ぶ回数は減ったけれども、時々は遊んでいた。
小5にまた一緒のクラスになったので、放課後に遊ぶことも多かった。
達也の横に佇むのは、アリは去年の秋、インドネシアからやってきた少年だ。
 




