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異世界料理アカデミー ~掃除人の俺、謎スキル「異次元デパ地下」で料理革命~  作者: 武野あんず


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第29話 やばい! 漁師たちが来る!

「ドラゴンフィッシュ……こいつが貴重な禁足地(きんそくち)の魚なのか?」


俺はポレットに急いで聞いた。


「……ええ。これは正式にはウナギという超高級魚よ……」


ウナギ……今まで聞いたこともねぇ魚だぞ。


そもそもこんな長細い魚なんて、この世に存在したのか?


だが……そのとき!


「誰だ! 誰かそこにいるのか!」


うおっ!


神殿の裏口から三人、屈強な男たち……恐らく地元の漁師たちが飛び出してきた。


「か、隠れろ!」


俺とニコル、ポレットは素早く川の岩場へ隠れた。


で、でかい岩があって助かった……。


だが、音を立てたら絶対に捕まる!


「おいっ! 誰かいるんだろう!」


一番背の高い漁師は声を上げた。


漁師たちはザシュザシュと足音を立てて歩き回り、岩場を見て回っている。


こ、こっちにきたらアウトだぞ!


「超ヤバい……マジヤバい……」


ニコルが半泣きで頭を抱えている。


ズザッ


漁師たちの足音が、俺たちのいる岩場の前で聞こえる!


「ここだ!」


やばい――!


「……いない。話し声が聞こえたようだったが」


長髪の漁師は舌打ちして、周囲を見回している。


う、運良く、俺たちの隠れている岩場の裏には回ってこなかった……!


「見つけたらタダじゃおかねえ……ガキどもが……!」

「ここは聖域なんだ。地元民以外、入ることはゆるされねえ」

「『あれ』が見つかったら大変だ。隠し通さねえとな」


三人の漁師たちはそう話しつつ、冷たい足音を響かせて、また神殿内の闇の中に入っていった。


『あれ』が見つかったら……? 意味不明だな。


だが、俺たちは胸をなでおろした。


「……よ、ようやくウナギを捕獲できるわね」


ポレットがホッとした表情を見せた。


お、おお! やはり捕獲するのか、よーし!


◇ ◇ ◇


「あたしがやるよっ!」


ニコルが元気よく川に両手を突っ込んだが……。


「あん、だ、ダメッ」


彼女は手づかみでウナギを掴まえようとしたが、スルリと逃げられてしまった。


「……待って。ウナギの血液には毒があるから、なるべく素手で触らないで」


ポレットは神に祈るように両手を組んだ。


「……『異次元デパ地下』、適切な捕獲道具を準備して!」


な、何いっ?


い、いきなりポレットの両手に軍手と三つの竹筒(たけづつ)、そして魚籠(びく)が現れた!


魚籠は竹で編まれたつぼ型の魚入れだ。


異次元デパ地下がポレットの要求に応えて、道具を出現させたのか!


「異次元デパ地下は、食材捕獲の道具も出してくれることがあるわ……」


三つの竹筒はそれぞれ長さが60センチ、直径8センチの円筒形だ。


ポレットは竹筒に、自分の持ってきた昼食用のパンのソーセージをちぎって入れた。


「……ウナギは動物性の匂いに反応する嗅覚があるの。今あるものだと、ソーセージが一番ね……」


ソーセージで魚を捕獲……! 俺は目を丸くした。


ポレットは三つの竹筒を川に沈めて、石で川底に固定した。


ニコルは首を傾げている。


「こ、こんなんで捕獲できるの? 上手くいったら最高じゃん!」


そんなこんな言っている間に……!


た、大量のウナギが竹筒に近寄ってきたぞ!


「……はい、来た……リクト、もう竹筒を取り出していいわよ」


俺が急いで竹筒を取り上げると、な、中に太いウナギが入っている……!


しかも三つ全部だ!


つまり計三匹も捕獲できた!


「すげえ!」


俺は素早くウナギを魚籠に入れた。


「ここはウナギの生息地のようね……取り放題よ」

「でも、ここでは調理できないな。すぐに外に出よう」


俺の提案で、俺たちはすぐに神殿から出ることにした。


だが……しかし!


◇ ◇ ◇


「まあ、ここで待ってりゃ、必ず出くわすと思っていたぜ! ガキども!」


長髪の漁師がニヤニヤ笑って俺たちを見ていた。


ううっ……!


神殿を出ると、さっきの漁師三人が腕組みをして待ち構えていたのだ!


「一ヶ月の停学処分だっけ? まあ、それを覚悟で禁足地に入ったんだ。しょうがねえよな~」

「お、俺は禁足地に行かなきゃならなかったんだ」


俺はニコルとポレットの前に出た。


「こいつらは関係ない。俺が禁足地に行く提案をした」

「おお、そうかい! じゃあ、お前一人の責任だな!」


背の高い漁師は、俺の頬を思い切り殴りつけた!


鈍い音がして、目の前がぐらついた。


ほ、骨に響くような痛みが、俺の(ほお)を貫いた。


「や……やめて!」


ポレットは叫んだが、俺はポレットとニコルに耳打ちした。


「い、いいから、保養所に戻ってろ」


ち、ちきしょう。


頬がズキズキ痛むぜ……。


俺は痛みを感じながら聞いた。


「だ、だが聞かせろよ。な、なんでこんな古くさい神殿をありがたがっている?」

「あ、ああ? 古代からの神聖な場所だから当然だろ!」


長髪の漁師は面倒くさそうに怒鳴った。


「ガキに聞かせる理由なんてねぇなあ! 神聖な土地に入ったら、バチがあたって呪われるんだよ!」

「なんかウソくせえ。本当に呪いなんて信じてんのか?」

「だ、黙れっ! 生意気な!」


今度は背の高い漁師が俺の腹を蹴った。


ぐ、ぐへっ……。


み、みぞおちに入った……。


「いちいち聞くんじゃねえよ!」

「う、うう……」


俺が痛みをこらえて地面にひざまづいていると――。


「おやめなさい!」


そんな聞き覚えのある声が聞こえた。


「生徒に暴力を振るうのはゆるしませんよ!」


グ、グレゴリー校長!


い、いつの間にここに来たんだ?


「漁師さんたちねえ……あんたたちの悪事は全部、知っているのよ」


グレゴリー校長は何かをポケットから取り出した。


真っ黒いビンだ。


『難病に効くドラゴンフィッシュエキス』と書いてある。


「禁足地はこのインチキ詐欺(さぎ)エキスを量産するための、工場がたくさんある場所よ!」


グレゴリー校長が声を上げると、漁師たちは一歩たじろいだ。


「価格は一個10万ルピー! 結構なお値段だこと!」


き、禁足地にそんな秘密が……?


俺は驚いていたが、漁師たちの顔はもっとあわてて青白くなっていた!

【作者・武野あんず からのお知らせ】

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

もし少しでも「面白かったよ!」「この先が気になるな~」と感じていただけたら、☆や「ブックマークに追加」で応援していただけると、とても嬉しいです。それが作者の元気の源になります(笑)

次回もぜひお楽しみに♪

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