表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/16

自分勝手《リリナ視点》

いつもの様に訪ねて、いつもの様にベッドに沈んで肌を重ねた。

隣でぼんやりとしている美鶴を眺めて、つい先程までの行為を思い出す。


「今日、いつもより積極的だったじゃん」


いつもが淡白な訳ではないし、求めたらキス以外であれば応えてくれる。

あたしの要求に従っているうちに、クールぶった瞳の中に欲の色が滲んで、段々と熱くなるのを指先から感じるのが大好きだ。


「別に。いつも通りでしょ」

「……なんかあった?」


でも今日は違ったのだ。

『脱がせて』と言う前に脱がされて、『おねだり』する前に全部叶えてもらって――キスだって、唇にはなかったけど額に、頬にと沢山くれた。


「まあ、あたしのせいなんだろうけど」


唇と唇が触れ合う寸前、目を見開いて離れていった。理性のブレーキを思いっきり踏んで、その後は誤魔化すように昇り詰めさせるなんて、あまりにも分かりやすくて愛しい。


「分かってるじゃん」

「嫌な女」

「それはリリナでしょ。

学校で絡んで来ないでよ、迷惑してるんだけど」

「あたしにも立場があるんですー。

それに、忘れたの?ゲームでは聖女が攻略対象と結ばれたら」

「あー、はいはい。追放ね。

一人も興味ないから安心して良いよ。

特にリリナの婚約者とかね」


愛しく思うのに、どうして素直に言えないのか。

……ともあれ、学校で何かあったらしい。一因は自分にもあることは理解しているけれど、おそらく生徒会の誰かに何か言われたのだろう。

誰かなんて考えなくても分かる。

キーリィだ。

あたしにもあの女を速やかに排除しようだとか、陛下にも進言しようだとか言って来るくらいなので、当然本人にも言うはずだ。

やりすぎないように言わないと、謝らないと――口を開こうとしたけれど。


「男好きなのも変わってないね。

逆ハーレム作りたいならもっと上手くやってよ」

「……は」


何も言えなくなってしまった。

呼吸の仕方も忘れて――どうやって自室に帰ったのかも曖昧だ。

……気付けば朝日が、カーテンの隙間から差し込んでいる。


『あの陰キャ女より、男のが良いに決まってんじゃん?

試しに寝たけど下手だし』

『やば!寝たんだ?

女同士って想像つかね〜』

『満足出来ないし、ってかさ〜!三年の先輩からまた誘われちゃった』

『この前の?』

『ん〜?別の人』

『あーしも人のこと言えないけど、まじビッチじゃん?うける』


思い出したくもない記憶が蘇って来る。

きっかけは最低でも本当に美鶴が好きだったのに、学校というコミュニティから孤立したくなくて、グループのメンバーには真逆のことばかり話してしまう。


『あたしレベルになると逆ハーレム築けるってわけ〜!』


自分ばっかり可愛い自分を見てみないふりをして、甘えきっていた醜いあの頃から『何一つ変わっていない』と突き付けられたのだ。


『嘘告信じて馬っ鹿みたい!』


馬鹿なのはあたしなのに。


「……自分を責めて反省したふり?

ちゃんとしなきゃ、今度こそ」


起き上がってカーテンを開ければ、朝の祈りを終えたであろう美鶴が歩いているのが見えた。

白で統一されたシンプルで、それでいてたっぷりと揺れるドレープが上品で美しい聖女の正装に、長い黒髪が良く映える。


「変わるんだ」


その姿に並び立てるよう、あたしも。


読んで頂きありがとうございましたー!

ここから挽回できるんですかね……

今更ですが、鳴木里々(なるきりりな)、妹は麗奈(れいな)です。どこかでルビ振らなきゃ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ