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星キラ、乙女ゲームだったよね。

リリナが牽制したことにより、一部からリリナ王女殿下の婚約者を狙う聖女……という謎の噂が広まっていた。

しかも嫌がらせをしているというのだ。


「この淫売聖女!」

「今朝、リリナ様の頭から水を被せたそうですわね?」

「不敬ですわ!」


おかしくないか?

ルドが王子で、リリナが公爵令嬢であれば未来の王妃の座を狙うという理由が出来るのだが、王族であるのはリリナである。

わざわざ婚約者が王女であるルドを狙うより、その辺のまだ婚約者のいない貴族令息を探した方がリスクもなければ話も早い。

平民であれど聖女は子爵家くらいの地位が保証される上に、癒やしの力を始めとした聖なる力をどれだけ伸ばすか、どれだけ貢献するかで地位も上がる。

ゲームで言うところのレベリングと、ステータス値である。

本来のゲーム『星キラステップアップ』と同じシステムだ。

これを利用して階級を上げていき、攻略対象である高位貴族達と愛を育む――だったと思う。


「今朝、と申しますが……本当に?」

「ええ!リリナ様が仰っておりましたわ!」

「空き教室でと!」


リリナ、こんなに馬鹿だったか?

頑張って悪役令嬢、もとい悪役王女を演じているのかもしれないが……。

私は午後からの登校で、その理由というのが国王夫妻との謁見である。知らないはずもないだろう。

もし城で、という話ならば尚更おかしい。

終始護衛騎士だとか、侍女が付いていたので一人の時間がなかったのだ。


「空き教室で、ね」

「なんですの、お認めになりなさいな!」

「無理ですよ、登城しておりましたので。今朝から昼ごろまで――記録があるはずですが、ご覧なられますか?」


城にいた事実を伝えると、リリナの取り巻きであろう令嬢達は顔を真っ赤にして去って行った。

その背中を見送って、教室に向かう。

入学して一ヶ月も経っていないがもう既に面倒くさくなって来たのだ。

実家の金物屋を継ぎたい。

謁見の理由もそれを察した両陛下が、私を学院に留める為である。神殿でも学べないことはないが、神学に特化している分狭くなってしまう。

聖女の万能とも言える可能性を伸ばすには、国一番の王立魔術学院が最適……まあ、思うに政治的な理由もあるのだろう。

聖女が神殿に入ればその分力を持つということだ。


「……」

「ごきげんよう、王女殿下」


令嬢達が走り去った先、曲がり角から除く赤毛とエメラルド。

美しい双眸を不満げな色に染めあげ、こちらを見ている。


「私、空き教室で王女殿下に無礼を働いたそうですね」

「……事実でしょう?」


先程の件を投げかければ、隠れていた――隠れきれていなかったが――リリナが姿を現し、こちらにツカツカと歩み寄って来た。


「今朝は何もしておりませんが」

「屁理屈ね!変わらないわ、昨日も今朝も!」

「昨日、ね」

「な、何よ」

「空き教室ではなかったと記憶しておりますが」


午後の授業の始まりを告げる鐘が鳴る。

――誰も居ない、廊下に二人きり。


「陛下から貰った聖女の屋敷でしょ。

めっちゃ喘いでたじゃん、リリナ。

朝だって離れたくなーいってベッタリして来て。

キスマーク付けまくるから困ってるんだけど」

「ああ!!美鶴!!ノンデリ女!!

あんたのそういうとこ大っ嫌い!!

廊下でなんてこと言うのよ馬鹿!!」

「事実だろ」


まさか誰も信じないだろう。

元恋人同士が同じ世界に転生して、恋人関係でこそないものの――。

“そういう関係”になっているだなんて。


読んでくださってありがとうございます!

ミツルのイメージは170cm、リリナは161cmくらいです。


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