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ロクデナシ、聖剣を回収する

よし、俺は魔王を倒す勇者だ!」なんて言っても、正直実感は全然ない。だって、俺、ただのスリだし。だいたい、勇者ってどんなもんだか知らねぇし、魔王なんて本当に倒せるのかすら疑問だし。そもそも、俺がどうして魔王討伐を引き受けたのかも、正直よくわかんねぇんだよな。

というか、今気づいたけど聖剣返してもらってねぇ!よっしゃ、今回は聖剣を探すぜ!!

 さて、町を出てきたものの、これからどうしたものか。お金につられて魔王討伐を請け負ってみたものの、俺、勇者だなんて自覚ないしなぁ。


 ここでふと思い出した事がある。聖剣がない。おい、どうすんだ。聖剣なしで魔王討伐なんてできるのか。いや、できない。だって俺ただのスリだもん。ただのスリが魔王倒すなんて、聞いたことねぇ!!いや、聖剣持ってたらいけるんか、って話だけども。


「おい、セシリア。お前俺が牢屋に入れられた時聖剣奪われたの知ってるよな。あれどこにあるんだ?」


「え?聖剣??ななな、なんの事かしら???」


 セシリアの目があり得ないくらい泳いでいる。


「囚人の荷物は釈放の時に返すはずだから、その時にもらってなかったら」


「お前、何か知ってるだろ」


「ししし、知らないわよ!!」


そういうセシリアだが、尋常じゃないくらい汗を書き出している。こいつ、もしかして・・・


「ごめんなさい!!他の囚人の荷物とまちがっちゃいましたー!!」


 ・・・。マジか。個人情報ってどこに言ったんだ。というか、そうだとしたら他の囚人に聖剣がとられてしまっているのか。あれ、これまずくないか?


 困り果てた俺はどうしようか考えてみた。いくらなんでも無理だろう。とりあえずセシリアを売り飛ばして魔王討伐はあきらめるか。でもそうしたら王様から指名手配とかされそうな気もするし、とかいろいろ考えていたら、急に後ろから声が聞こえる。


「おい、そこのお前!!」


 なんか偉そうにしゃべるやつがいる。うっとうしいから無視しよう。


「おい、そこのお前!!」


 聞こえていないと思ったのか、また声をかけてくる。知らない人に話しかけてくるやべぇやつにはかかわるなって親父から教わったからな。無視だ無視。


「頼むからまってくれよぉ~!!」


 声の主が堪えきれずに前に回ってきた。


「おい、人を無視しちゃだめだって教わらなかったのか!」


 あちゃー。これはもう無視できねぇな。というかこいつ、どこかで見たことある気が・・・。


「おい、久しぶりだな!!魔王討伐に行くって聞いたが本当か!?」


 あー、やっぱ知り合いなんだ。でも誰だっけ。思い出せねぇ。


「お前、俺の事を忘れたのか!?」


「あんた知り合いなの?やたら話しかけてくるわよ」


 セシリアもさすがに反応しだした。


「えーと、うん、たぶん知らない人かな」


「おい、ふざけるな!このジン様を忘れやがったのか?」


 ジン・・・えーと、なんだっけ。覚えてるような覚えてないような・・・。そうだ!!


「あれだ、昔井戸で一緒に遊んだよな!いやぁ、あれは楽しかったなぁ」


「何が楽しかっただ!井戸の中に落とされてそのまま帰りやがって!あの後半日人が通らなかったんだぞ!!」


「それ、全然あそびじゃないじゃない」


 セシリアが人じゃない物を見る目で俺の事を見てくる。まあそんな事は今更気にしないが。


「ふん、まあいい。お前にこれが必要だと思ってな。持ってきてやったんだ」


 ジンがそういうと、一振りの剣を取り出した。あれ、なんでこいつが聖剣持ってやがるんだ?


「お、それは俺の聖剣じゃねぇか。届けてくれたのか。ありがてぇな」


「誰があげると言った」


 ん?こいつ聖剣届けてくれたんじゃないのか?


「金貨5万枚」


 おい、ふざけるな。なんだ金貨5万枚って。持ってるわけねぇだろ。


「おいおい、そんな大金もってるわけねぇだろ」


「ふざけんな、俺はただのスリだぞ!こんな大金、どこにあるんだよ!」と、つい声を荒げてしまった。


ジンはにやりと笑って、聖剣を振りかざすように掲げた。


「なぁに、心配するな。お前が金を持ってないのは知ってる。だが、この聖剣、俺から買うならその金で買わなきゃな。そんだけの価値があるってもんだろ?」


「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ!」と、俺は思わず叫んだ。 「もともとそれは俺のもんだ!それを金で売るだと?」


セシリアが驚きの声をあげる。「えぇぇぇ、聖剣を売るって!?」


「お前も黙ってろ!」と、俺は怒鳴ったが、ジンはそれを気にした様子もなく、手にした聖剣をさらに高く掲げて言った。


「お前、魔王討伐に行くんだろ?そんなの、聖剣があれば楽勝だ。だからこそ、この聖剣を手に入れるには金がいる。金を持ってこい、さもなくば俺から聖剣を受け取ることはできん!」


俺は言葉を失って立ち尽くした。まさか、こんな形で聖剣を取り戻す羽目になるとは…。しかもジンがこんな値段をふっかけるとは、全く予想外だ。


「金もない、魔王討伐もわけがわからない…。でも、魔王を倒すためには、やっぱり聖剣が必要だろうな。どうにかしてこの場を乗り越えなきゃ…。」


それが、どこか納得いかない気がしたが、現実として受け入れざるを得ない。ジンはニヤリと笑いながら俺の反応を見ている。


「どうだ、お前、俺が言ってることわかってるよな?五万枚が無理でも、せめて半分でも持ってこい。それができないなら、俺から聖剣は買えないぞ。」


セシリアが後ろで、小さな声でつぶやいた。「でも、どうするの…?」


それを聞いて、俺は思わず頭を抱えた。 どうやって金を作るんだよ…。俺にそんなことができるわけないだろ。


「ま、考えてるうちに逃げられると思うなよ。」ジンが警戒心を強めるように言った。


「おい、これからどうするか、よく考えろよ。金も無けりゃ魔王討伐も無理だろうからな。」


俺は少し目を伏せて、心の中で舌打ちをした。


その瞬間、聖剣が突如として光りだした。眩しい光が周囲を照らし、ジンが持つ聖剣の刃から放たれる光線が、まるで何かの合図のように僕を貫いた。


「な、なんだ!?この光!」


ジンは驚き、聖剣を手から落としそうになった。だが、それだけでは終わらなかった。聖剣が空中でひときわ強く輝き、まるで自分の意志で動いているかのように、ふわりと俺の方へと引き寄せられた。


だが、それだけで終わらなかった。聖剣が俺の手に収まった瞬間、まるで何かが起こるのを予感したかのように、俺の体が熱くなり始めた。最初はただの異常な感覚だったが、それはどんどん強くなり、次第に全身が光を帯びていった。


「な、なんだこれ!?」


俺の体が光り輝くその中で、両手が次第に聖剣の刃のような形に変わり始めた。最初はただの熱を感じるだけだったが、手が徐々に、まるで金属のように硬くなり、光り輝く刃を持つように変形していった。


「嘘だろ…これ、俺の手か!?」


目の前に広がる光景に、信じられない思いが込み上げる。手元を見ると、確かに俺の両手は、今や聖剣そのもののように、光を放ちながら鋭い刃を持っていた。それはただの剣ではなく、まるで聖剣そのものが、俺の体と一体化したかのようだった。


 ・・・なんか出来損ないのバ〇タン星人みたいじゃねーか!どうすんだよ、これ!これじゃ箸も持てねーじゃねーか!トイレとかもどうすんだよ!!バカな俺でもメリットとデメリットが釣り合ってないことくらいわかるぞ!!


 「おい、聖剣!!どうしてくれるんだ、これ!!」


 「ちょっとあんた、なににしゃべってるの?」


 セシリアが不審そうにしゃべってくる。うるせぇ、今は黙ってろ。


その瞬間、聖剣からじわじわと冷たい響きが伝わってきた。まるで、俺の叫びに応えるように、剣の刃が少しだけ震えた気がした。その振動は、ただの物理的なものではなく、何かが俺に語りかけているような感じだった。


「おい、聖剣!!どうしてくれるんだ、これ!!」


思わずもう一度叫ぶと、その刃から静かな声が響いてきた。


「お前が選んだ道だろ。」


今度はちゃんと返事が来た。だがもう遅い。聖剣の中に、確かに意思が宿っている。どこか冷徹で、だが確かに俺を導こうとしているような、不思議な感覚が体を貫いた。


「な、なんだよそれ…」


俺はもう一度手元を見た。手のひらにしっかりと聖剣の刃が固まっている。金属のように硬く、しかしどこか温かみも感じる。まるで自分の一部のように思えるその感覚が、異常なものだと理解しつつも、なぜか怖くはなかった。


「…選んだ道か。」つぶやくように呟くと、ふと、あのとき、俺が魔王討伐を請け負った時のことが頭に浮かんだ。


いや、これじゃ魔王討伐できても老後とかだめだろう!怒りながら手に握られた聖剣を少し力強く握り直した。


「ほら、これじゃ…日常生活がどうにもならないだろ!」思わず愚痴をこぼす。


聖剣は静かに、でも確実にその答えを返してくる。


「必要なときに使え。道を選んだお前の覚悟が試されるときだ。」


「必要じゃねぇ時の方が多いから困ってんだよ!戦闘中だけとかにならねぇのかよ!」


「ちなみにもう一本増やすこともできるぞ」


「もう一本てなんだよ!二本でもう手に余ってんだよ!いや、ちょうどだよ!!なんだよ、三本目は性剣エクスカリバーとかいうのかよ!」


しかし聖剣からはもう何の反応もなく、下ネタを言ったおれに俺の事をセシリアとジンがかわいそうな目で見てきている。ちょっとそういうのやめてください、ほんとに。


「これが、俺の選んだ道か。」半泣きになりながら深く息をつくと、ふと前に進みたくなるような、何か得体の知れない力が俺を後押しした。


ジンがその姿を見てただ黙っているだけだったが、セシリアは少し驚きの表情で俺を見ていた。


「さて、これでどうするかだな。」俺はしばらく無言で立ち尽くし、そして一歩を踏み出す。その瞬間、聖剣が微かに震えた。


「もう後戻りはできないかもしれないな。」そう自分に言い聞かせるように呟き、意を決してその一歩を踏み出した。


これ、俺大丈夫なのか?

お疲れ様でした!読んでくれてありがとう!いや、ホント、最後まで読んでくれるなんて、もはや奇跡だろって感じですけど、それでもありがとう!何も考えずに書いたらこんな感じになっちゃいましたが、あまり深く考えないでくださいね。だって、俺だってこれを書いてるとき、全然頭使ってないんですから!


さて、結局魔王倒しても、主人公にはなんかこう、明るい未来が待ってるわけじゃないんだよね。だって、勇者って肩書き、重いだけだし。でもまぁ、聖剣が何とかしてくれるんじゃないの?ほら、あのキラキラ光ってるアレ、正直使い方がよくわからないけど、なんとなく勝手に動きそうじゃん?絶対なんかするよ、あれ。


それにしても、今後どうなるんだろうね?魔王倒しても、次は別の問題が出てくるんじゃないかな~。そもそも、俺、ちゃんと魔王を倒せるのかどうかも分からないし!でも、まぁ、それが面白いってもんじゃないですか!


ってことで、続きはまた次回!多分。次回、あるかな?いや、あるだろ。ってか、続き書けよ、俺!ってことで、どこかでまたお会いしましょう!


それでは、元気でな!


P.S. 聖剣、どうしてくれんだよ…。

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