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幼馴染に連れられて

宮殿。勇者・ノアのターン。

現在魔王様の宣戦布告により交戦状態。

国王軍は王命により魔王軍せん滅へと動き出した。


早朝に動きが。

「監視部隊によると魔王が手下を伴い旅立ったそうです」

「それは本当か? 」

「はい。間違いありません隊長! 我々も向かうべきです! 」

魔王逃亡。止めを刺すチャンスだと聞かない。

どうやって? 魔王様は不死身なんだぞ? 

伝説の魔剣さえあれば倒せるがそもそもどうやって近づくかが問題。

魔王様がその辺をテクテク一人で歩いてる場合のみ可能で現実的ではない。

それだって剣に慣れた者がいてこそ。かわされては意味がない。

現実的にはモンスターに守られていて近づくのは不可能。


「待て! 戦いは始まったばかり。さすがに魔王が逃亡したとは考えづらい」

大体魔王様は伝説の実を求め旅立っただけ。

放っておけばいいのに余計なことばかり…… 

いや彼らはしっかりやっている。騒ぎ立てるのも無理ないこと。

隊長のボクが信頼してやらないでどうする?

しかしこれでは魔王様の計画が逆効果に。

考えられないことではなかったがまさかここまでとは。


魔王様には二つの思惑があった。

まず一つとして国王軍を引きつけている間にロイデン村へ。

魔王様を追って我々が向かえば最悪な事態を引き起こしかねない。

二つ目として最期の決戦の舞台であるカンペ―キ洞窟へのご招待。

運命の日を盛り上げる演出だ。

これらはすべて隊長であるボクの協力が不可欠。

すべてはこの世界を消滅させないため。


「隊長! 国王様に追跡するよう進言しましょう。

姫様もそこに囚われているかもしれませんよ」

慕って目を輝かせる隊員。ふう…… 何も知らずに困った奴だ。

ボクがどれだけ大変な思いでこの微妙なバランスを保っているか。

もちろん分かってもらおうとは思わないが。ただもう少し役に立つ者が欲しい。


魔王様の元にはカンペ―キら優れた手下が。

アーノ姫には相談役の魔女が。

こっちには幼馴染のブシュ―ぐらい。後は余計なことばかりする国王。

現状を理解してる優秀な隊員がいてくれたらな。ボクだって楽ができる。

お助けキャラの妖精は女神様のところに張りついていてそれどころではないし。

できるなら早いところ妖精の代わりを寄越してもらえたらな。

おっと愚痴や無いものねだりもしてる時ではない。


姫は魔女の家に避難。そして現在伝説の実を求めてロイデン村へ。

居所を知ってるのは国王含めて数名のみ。

奴らが明後日の方向に話を持って行ってしまう。

知らないのは恐ろしいこと。説得するのも難しい。

今姫は確かに魔王様が向かった先にいる。

ロイデン村の例の村人を探し出す任務を遂行中。

気づかれないように慎重に動いている。

この状況でボクまで村に行けばそれだけ危険が増す。

二人なら接触は避けられるが三人ではそうはいかない。偶然ばったりと。

危険が伴う。だから今回はここで大人しく待機。


「取りあえず今聞いたことを国王様に報告する。それでいいな? 」

「はい。皆も従えよ? 」

「へい! 」

こうして説得して別れる。

でもどうしようかな。国王は数少ない内情を知る者。

とりあえずもう一度国王とじっくり話をしてみるかな。


「ああ…… あなたったらそこに居たの? 」

幼馴染が村にも帰らずに居座る。

「早く村に帰れと言ったろ? 今は忙しいんだ」

「済みません…… 」

うわいつものパターン。傷ついたふりして大人しくなる。

これで帰ってくれると思ったら大間違い。


「済まん…… 言い過ぎた。謝るよ」

「いいの。それよりどこかに出掛けましょう? 」

物凄いマイペースな彼女。付き合いきれない。

「いや俺は隊長としてやることが…… 」

「いいから早く! 」

そう言って無理やり連れて行かれる。


「うわ待ってくれ…… 」

こうして彼女の暇つぶしにつき合わされることに。

もうやってれないよ本当に。

「国王様に報告が…… 」

「さあ今は私にだけ集中しなさい! 」


今日も平和な一日となるでしょう。



魔女と姫様一行。

宿から十キロも行けば到着。

ロイド山と言って地図にはあるもののその存在が知られることはあまりない。

だからこそ伝説の実の噂がまことしやかに語られる。


早朝。

今日は登山。十キロはあると。でも馬車さえ乗ればすぐ。

「ああん馬車だって? 」

魔女は寝起きが悪い。早起きなくせになぜか機嫌が悪いまま。

「そう。馬車はどこに? 見当たらなかったら昨日の魔法で」

煙がもくっと上がって消えると馬車が姿を見せるトリック。

「それは無理だよ。あそこには馬車が行けないのさ。だから歩くしかない」

魔女は素っ気ない。

「ウソでしょう? 」

「だから本当だって! 」

どうやら魔女は本気らしい。

「ボクはお嬢様なのですよ? しかもただのお嬢様ではなく名の知れた国の姫」

魔女が理解してないかもしれないので一応補足する。

「ああんだから何? 」

こうなっては魔女は何も受けつけない。

辛いですが歩いて行くしかない。


「ほらここからは靴を履き替えな。そんな脆い靴ではすぐに破けるよ。

実験してみるかい? 」

どんどん人間性が出てくる。極限状態では仕方ないことでしょうね。

でも彼女は魔女で実際はお助けキャラのはず。

どうしてこうなったのか? 暇だからと単独行動を許したのが間違いだった。


「では参りましょか姫様」

そう言ってふざける。

「でもこれって例のガラスの靴でしょう? どうやって…… 」

うわ…… まずい。これは秘密だった。

ボクがツンデーラに代わっていたずらしていたのがバレてしまう。

「物知りですね。さすがは一国の姫」

なぜか追及されずにただ関心される。それはそれで心配になる。


               続く

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