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最後の審判

引き続き魔王様の住処。

現在クマル説教中。

「どうされました魔王様? それではまるで…… 」

まさかあのクマルに正体がバレそうになるとは。

「ううん? 意見があるのなら言ってみろ! 」

情けないことに脅かして黙らせてしまう。

魔王様としてはこれくらいでいいがクマル相手にここまで追い込まれるとはな。


「いえ…… 魔王様のお好きなように」

クマルはどうやらアーノ姫のお世話を再度引き受けるらしい。

大変名誉なことだと思い出したか? 

当然だよな。そもそも魔王様の命令は絶対。断れる立場にない。


「ちょっといいか? 」

「ハイ魔王様」

もう一度誰も周りにいないのを確かめ声を潜める。

「いいか。お前には感謝している。だが他の者の手前もある。

だからこれからも精進して尽くして欲しい。

それと我が愛しの姫君をどうか守って欲しい」

一応は感謝の言葉を述べる。今まで本当にこちらの思い通りに動いてくれた。

失敗もあるがそれもすべて思惑通り。

とても稀有な存在。そして憎めない存在。


「ですからその姫君のお世話が超絶大変でありまして。やってられないんですよ」

愚痴を言う。まさか本人の前でふざけた奴だ。

それでも感謝を込めクマルの日頃の功績を称える。

奴もまんざらでもない様子。ただ姫の扱いが気に入らない。

これは魔王様に対する宣戦布告?


クマルか…… 本当によくやってくれている。

奴が居ると居ないでは大違い。カンペ―キもいいがやはりクマルだよな。

今になってその存在の大きさを痛感する。


こうして間もなく始まる最後の審判に向けそれぞれが動きだす。



再びの始まりの地。

「あーよく寝たな。またここ? 疲れてるんだけどな」

一人三役はもう限界に近い。それもすべて自分が引き起こした身から出た錆。

自業自得でしかない。とは言えもう少しゆっくりしていたい。

「ほら早く起きなさいよ! 忙しいって言ってるでしょう? 」

機嫌が悪い妖精。いつも人のせいにして反省しないからトラブルになるんだよ。


「何か分かったのか? 」

「正解! 重要な発見があった。きちんと聞くのよ。どうぞ女神様」

どうやら仲は改善されたのだろう。

妖精と女神の関係は愚か者騒動以来悪化していた。

お互いが罪の擦りつけ合いをする醜い展開。

あのちっこくて可愛らしい妖精と慈悲深い女神様。

例の騒動で関係がギクシャクするなんてとても信じられない。

それほどとんでもないことが起きている証拠。

想定外の出来事。焦りと混乱で自分を守ることに精一杯なのだろう。


<彷徨える子羊よ。女神様である>

冷静さを取り戻した女神様。これで一安心。

「それで女神様。一体何が…… 」

<あなたの活躍で異世界に放たれた異分子を排除できました>

それはたまたま魔王様を狙ってたところをクマルの活躍で捕まえた。

そして人の寄りつかない離れ小島に閉じ込めるよう命じた。

今も脱走しないように手下に監視させている。

だからもう大丈夫だと思ったが……

だが二体に分かれたもう一方が消息不明になっていた。

当然強制的に召喚もできない。だから呼び戻せない。


<その片割れはロイデン村で普通の村人として暮らしています。

彼をすぐに見つけ万が一にもおかしな行動を取らないように注意してください>

「ロイデン村? どこですかそこは? 」

<宮殿から南に約百キロ地点にある小さな村です>

おおそれは新発見だ。でもそいつを捕まえてどうすればいい?

<分かってるとは思いますがくれぐれも手荒な真似は控えてください>

女神様は暗殺はまずいと。しかしそれは女神様だからであって実際は……

もしもの時はためらいなく実行すべきだろうな。


ただそれができるのはやはり奴ぐらいか。

アーノ姫。あの虫も殺せない美少女の姫が覚醒して仕留める…… 無理か。

勇者・ノア。魔王討伐隊のリーダーとしてそれぐらい…… やれたら苦労ないか。

やっぱりここは魔王様しかないよな。

非情な魔王様によってターゲットを抹殺する。


<ロイデン村です。それ以外は分かりません。

できるだけ早くそれでいて慎重にお願いします>

女神様は注文をつけるが今動けるのは姫ぐらい。

または魔王様ならもしかしたら命令すればすぐにでも。

ただ正体がバレる恐れがある。でも時間がないのも事実。

さあとにかく消滅する前に何としても取り除かなければ。

「分かりました女神様。この身を犠牲にしても世界を守り抜きます! 」

新たに決意を述べる。

これで何回目かな?


<よろしい。では頼みましたよ>

こうして新たな目標に向かって羽ばたくことに。

どうにか消滅までには少なくても。



その頃アーノ姫は魔女と南進。

「どうしたのもう疲れたかい? 」

魔女のスパルタ教育でもう足が痛い。体も限界。

ああちっとも楽しくない。ただの苦行じゃない。

「はあはあ…… ねえそろそろステッキで飛びましょう」

歩くのはもう嫌だ。だから快適な空の旅がしてみたい。

「それは無理だよ。腰にくるから十分だって持たないさ」

魔女はただの飾りだと魔法のステッキを信じようとしない。

「でもその魔法のステッキなら何とかなるでしょう? 」

「無理です。花を降らす程度で意味がない」

「だったら何でもいいから発明しなさいよ! 」

「無理を言われても…… もう困った我がまま娘だね。

こっちだって足が痛いんだよ」

言い辛いことを堂々と言う魔女。

文句の言い合いしても勝てそうにない。

「ねえ大魔女様。お願い…… 」

本来はクマルを丸め込む時に使う手。

国王様にも有効かもしれません。今度使ってみようかな。


                 続く


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