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攻防

魔王様の隠れ家。洞窟周辺。

現在魔王討伐隊が一直線に向かっているところ。

間もなく反戦態勢。魔王軍が迎え撃つ。


カンペ―キは先日発見した洞窟で新たな隠れ家づくりに熱中。

クマルはクマルで命令通りアーノ姫のお世話。

国王招集の魔王討伐隊は姫奪還部隊に名を変えて継続中。

ターゲットは変えずにただ目的が変化。

第一にアーノ姫を奪還することがこの部隊の大きな目的。

魔王打倒は後回しにされることに。


「いいかお前たち! 我々の目的は魔王を打倒することなどではない。

行方不明中のアーノ姫を救出するのがこの部隊の真の目的だ」

アーノ姫の安全が第一。魔王を倒しても無事に姫を救出しなければ意味がない。

安全な場所に避難しているとの言を信じられずに暴走する娘思いの国王。


痺れを切らした国王による厳命が下った。

それはあまりに無謀なこと。

戦力も整わず戦略も不十分だと言うのに闇雲に魔王軍に攻め入ろうとしている。

本来隊長は国王に見直しを進言すべき立場。

いくら新隊長に任命されたばかりだとしても遠慮してはならない。

国王が暴走したらそれを諫めるのが忠臣だろう。

ただ従っていては国が滅びてしまう。


「よし行くぞ! 」

「おう! 」

こうして部隊はなおも前進を続ける。

「隊長! どうやら奴らも察知した模様」

さすがに部隊もただ前進してるのではない。

斥候部隊に様子を探らせて隊長は一番後ろでデンと構える。

「よし恐れるな! これは王命だ! 」

撤退は許されないとのこと。


「隊長! おかしなモンスターがこちらへ。

「怯むな! 敵は動揺している。今こそ人間様の凄いところを見せてやる」

気合のみで前進する部隊に悪魔が舞い降りた。

「忠告! これ以上の前進は魔王様への反逆と見なして厳しく取り締まる。

直ちに立ち去るがいい! 」

魔王軍はどうやら戦いを望んでおらず交渉の用意があるよう。

果たして新隊長にその辺の駆け引きができるかと言うと疑問。


「直ちに立ち去らねば攻撃を開始する! 」

これが最後通告らしい。

魔王様はお怒りになってるそう。

「隊長どうします? 」

「怯むな! モンスター一匹ぐらいで何を慌てる必要がある」

「しかし隊長…… 」

「お前ら! もうこれ以上進めば命はないものと思え! 」

交渉役はクマル兄弟。それだけに不安しかない。


「ボグ―! 」

魔王様の真似をして戦意を削ぐ作戦だが効果は限定的だろう。

「進め! 」

隊長の一言でモンスターを本気にさせてしまう。

クマル兄弟は容赦なく排除へ。


「うわあ! 逃げろ! 」

「バカな! 怯むなと言ったろ? 戻るんだ! 」

一目散に逃げ帰る情けない魔王討伐隊。

つい十日前に集められた勇者。とは言え選りすぐりの戦士などではない。

ただ数を集めただけの寄せ集め部隊だから当然役には立たない。

隊長に少しでもカリスマがあればどうにかなったのだろう。

ただの代理に過ぎないからな。

クマル兄弟は愚か者どもを蹴散らせて役目を果たす。

これで少しはレベルが違うと分かっただろう。



「魔王様! クマル兄弟が国王軍を蹴散らせたとのこと。

すぐに尻尾を巻いて逃げたそうです」

「ボグ―」

これで一安心だ。

「魔王様! クマルが戻って参りました」

姫に張りつかせてたクマルの帰還。どうやら姫は再び魔女の元に戻ったのだろう。

これで危険はない。もう監視を緩めてもいい頃だろう。

拍手で出迎える。


「魔王様? 」

「ああクマル兄弟が蹴散らせた。よく働いたとお前から伝えておいてくれ」

「ははあ! 大変光栄であります」

こうしてクマルは初めてに近い成功を収めたのだった。


「おっと忘れるところだった。どうだ姫の様子は? 」

クマルからどう見えるかも大事。

「ハイとても活発でかわいらしいのですが生意気なところもあって。

どうしてもつき合いきれません」

散々な評価を突きつけられる。

自分で自分のことが分からない。客観視ができない。

やはり姫ははしゃぎ過ぎたかな?

「とにかくお前にはいろいろ聞きたいことがある。後でまた来てくれ」

クマルからもっと詳しい話を聞くことに。



その頃。アーノ姫は魔女を出迎えていた。

「今帰ったよ。大人しくしていたかい? 」

魔女はお土産だと山の天然水を寄越す。

大変ありがたいですがもっとお菓子とかそう言うものを期待していたので何とも。

それならボクだって嫌と言うほど飲んだ。

山をハイキング中に精霊にお勧めされた水をたらふく。


「ああそうだ。そろそろ移動しよと思うだがね。明日からついて来るかい? 」

まさかあの魔女が旅の誘いをするなんて。

今までは隠れてついて行きましたがもう後ろからコソコソせずに済む。

それだけでも気が楽。堂々とできる。

ではせっかくですのでお供を。おっと姫なのですから当然お供は魔女の方。


魔女の指示に従うことに。元々はただのお助けキャラで相談役。

魔女だって見た目と勝手にそう自分で言ってるだけ。

魔女の格好してたのでそのまま魔女として見ていたが実際はどうだか。


「それでどこに行くの? 」

「不老不死の実を探しに行くのさ」

どうやら魔女は新たな薬作りのためにアイテム探しの旅に出かけるらしい。

「本当にボクも連れて行ってくれるの? 」

「さすがにこれ以上放っておけないからね。今回は付き合ってもらうよ」

魔女は不老不死の実を使って何かとんでもないことを企んでいるらしい。

正直あまり協力はしたくない。

でも何もせずに大人しくしてるのも飽きた。

そろそろ旅に出掛けたくなっていたところ。

と言う本来留守番ばかりさせられた姫の気持ちになってみる。


「どうします姫? 」

「いいんじゃない。それでどれくらい? 」

さすがに一週間以上はまずい。だってその間に世界が消滅してしまう。

「分かりません。二日でも三日でもそれこそ一か月かかるかもしれない。

その時次第です」

どうやらそこまでして得られる何かがあるのだろう。

「分かった。支度するね」

「では明日四時に」


まだ日が昇らない明け方に出発の予定。


                続く

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