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ついに最終決戦?

引き続き魔王様の隠れ家。

隠れ家と言っても決してひっそり暮らしてるのではない。

寝静まった時間に宴会を開くことも。

迷惑にならない程度に騒いでいる。


人間との共存を目指して独自に境界を立てる。

これは仕方ないこと。

無敵の魔王様を討つと言われる魔剣が奴らの手の中。

それでは手出しなどできはしない。

だから表立ってどうこうすることはない。

もちろんアーノ姫を襲撃したように裏ではいくらでも。


それもすべて転生失敗するまでのお話。

今はできるだけ争いを避けて三体が接触しないように努めている。

ここはいわゆる洞窟で人間の手の届かないところ。

たまに迷い人がフラフラとやって来ることも。それでも気づかれることはない。

だから安泰ではあるのだが国王軍に察知されつつある。

そのため先手を打って現在カンペ―キに新たな隠れ家を探してもらっている。


モンスターは狭くてジメジメした薄暗いところを好む。

もちろん魔王様も同様でこの洞窟もまだ何十年と持つだろう。

だが国王に知られてしまってはそうは行かない。

間もなくカンペ―キ洞窟に移ることになる。

そしてそこが最終決戦の場となるだろう。国王軍をそこに誘い込む。

恐らく三人の最期の地ともなるだろうな。

カンペ―キにはフィナーレを飾るに相応しい場を提供してもらいたい。


「魔王様! 」

大慌ての手下が息を切らし駆けて来た。

「どうした? 奴らに動きがあったか? 」

動きを逐一知らせるように指示をしていた。

報告が入ると言うことはほぼ間違いない。

うーん。誰か国王を説得しろよな。


「恐れながら宮殿に集結していた部隊が動き出しました。

こちらに向かっています。どうやら魔剣を所持しているかと思われます。

魔王様におかれましては充分お気をつけるようお願い申し上げます」

跪き畏まる。

完璧だ。これは厳しくした甲斐があったと言うもの。

そうこれだ。魔王様は誰からも恐れられる畏怖の対象であるべきだ。

もう優しさも甘さも捨て去るべきだろう。

「うむ。充分に気をつけるとしよう」

それにしても奴らどこまで間抜けなんだ? 

勝てるはずのない戦いを挑むなど無謀にもほどがある。

せめて隊長がいれば少しは何とかなっただろうが当然いないからな。

その隊長はカンペ―キのところで運悪く囚われている訳だし。


「よし各自配置につけ! 奴らを叩きのめし魔王軍の実力を思い知らせるのだ!」

「ははあ! 」

これでいい。後はいつ姫を戻すか。それだけだ。

どうも国王が誤解してる上にしつこいんだよな。

アーノ姫はクマル監視の元で魔女と楽しくやってるだけ。

それをどう勘違いしたのか向かって来る。


国王部隊は魔王様の住処に一直線。

モンスターにしろ魔王様にしろ動きを悟られずにしていたのに。

活発化したことで居場所を特定されたのだろう。

その例としてあの名もなき賞金稼ぎの名が挙がる。

彼は魔王様が日課の散歩に出たところを襲い掛かった。

その情報をどこから仕入れたかと言えばたぶん近くの村人。

彼らにはコミュニティーがあり魔王様の動向を把握してる者も珍しくない。

こうして国王部隊が住処に向かう。


目的は魔王様打倒ではなくあくまで姫奪還。

だが当然姫は住処にはいない。勝手気ままに動き回っている。

クマルの監視下にあるとは言えほぼ自由だ。

そして肝心の隊長不在で部隊は士気が下がっている。

隊長はカンペ―キのところ。

果たしてこの不毛な戦いはどこまで続くのか?

何人の犠牲者が出ることやら。



「行くぞお前ら! 」

前隊長が指揮を執る。

三度目の正直で隊長職に復帰した。

国王からの直々に任命され鼻息は荒い。

もしかしたら魔王軍を全滅させ魔王様をも打ちのめすかもしれない。

そうなればこの世界にも平和が訪れるであろう。

その魔王様退治に欠かせない魔剣を手に隊長は宮殿を発った。

目指すは魔王の住処となっている洞窟。



その頃本物の隊長は……

「おい聞いてるのか? 後悔するぞ。魔王様の命令を無視するのか? 」

囚われの身とは言え大人しくしてるつもりはない。

「早くここから出せ! これは魔王様の命令だ! 」

ダンジョン内はほぼ光が届かずに今が昼なのか夜なのかさえ分からない。

まだ眠くないところから夜にはなってないようだが。

ただ旅の疲れもあっていつぶっ倒れてもおかしくない。


ドンドン

ドンドン

粗末な牢屋みたいなところに放り込まれ苦労してる。

せめて光でもあれば動けるがプラチナソードの光だけではどうにもならない。

「きゃああ! 何かいる? 」

一緒に捕まった幼馴染のブシュ―。

「そんなに驚くなよ。ただのネズミだろ? 」

こんなジメジメしたところを住処にしてるのか?

うわ…… 目が光った。間違いなくネズミだ。


「おいそこのお二人さん。仲がいいね」

モンスターがからかう。

「うるさい! それよりカンペ―キを呼んで来い! 話をつけてやる」

キレていつもの調子でカンペ―キを連れてくるよう命じてしまう。

これはまずいかな。リーダーの指示で動いている。

呼び捨てどころか呼んで来いと言えば慕ってる者はいい気がしない。

ははは…… 冷静になれば分かりそうだが。

それでもこっちだって引く気はない。

そもそもここでの生活が長引けば時間切れとなる。

何としも突破口を見つけ出さなければ。


                 続く

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