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魔王様危うし

散歩中に突如襲われた魔王様。果たして無敵の魔王様の運命は如何に?


魔王様対賞金稼ぎ。第二ラウンド開始。

「そろそろくたばってくれや魔王様。ははは! 」

「いや最後に一つだけ。女神様を知っているか? 」

この質問は本来こんな奴にするべきではないが一応は念のため。

「ああん? まったく往生際の悪い魔王様だな。いいぜ答えてやるよ。

女神様なら知ってるさ。何と言っても一昨日話したばかりだからな」

どうやら彼が女神様が言うところの愚か者。

でもこっちまで愚か者扱いされるから迷惑なんだよな。


「もしかしてあんたも転生組? なら可哀想に。もう一度転生しなくちゃな」

この世界では魔王様は恐怖の象徴。そして伝説にまでなっている。

魔王様を倒すには伝説の剣である魔剣が必要。

そんな常識を知らない愚か者の賞金稼ぎ。

この世界で魔王様を狙う者はいない。恐怖のあまり近づこうとさえしないのだ。

だがこの世界を知らないビギナーほど近づこうとする。

大体は身のほど知らず。弱いくせに吠えてばかり。

彼らは自分が強い。最強だと疑わない。


これらのことは毎日のように聞かされていた。

口が酸っぱくなるまで何度も言うものだから覚えてしまった。


危険人物ビギナーの賞金稼ぎ。

どう考えても彼は名もなき村人A。

そんな彼がこの魔王様を倒せるはずがない。

ではそろそろ驚いてもらいますか。


「おいどうした魔王様? 早く倒れてくれよ。その首ないと賞金が貰えないんだ」

恐れ知らずの賞金稼ぎ。この魔王様に舐めた口を叩く。

「ボグ―! ボグ―! 」

怒りのボグ―で相手を威圧する。これで少しは己の至らなさを悟るか?

でもどうせ無理なんだろうな。

「どうした? 今更ジタバタするなよな。痛くても我慢しな」

まだそんなこと言ってやがる。仕方がない魔王様の実力を見せつけるとするか。


ううう……

力を入れ痛みに耐える。そして血しぶきを纏って一気に引く。

こうして突き刺さった剣を無理やり引き抜き遠くに投げ捨てる。

「無茶苦茶するな…… やせ我慢はもういいって言ってるだろう? 」

まだ理解してないらしい。これはクマルレベルか?

傷は徐々に塞がっていく。ただ血だって僅かとは言え出るし痛みだって感じる。

チクチクしてかゆい。


「おいやせ我慢するなって言ってるだろう魔王様よ…… 」

まだ言ってるよ。顔面蒼白なところを見るとようやく理解してきたらしい。

間抜けにもほどがあるぞ。ターゲットを調べずにただ闇雲に襲撃する奴があるか?

今度のことは独り歩きした魔王様にも責任がある。

とは言えもちろんタダで済ますものか。

こんな愚かしい奴を放ってはおけない。

ではそろそろお仕置きするかな。


バサバサ

バサバサ

その時クマルが降り立つ。

「大丈夫ですか魔王様? ああ? お前魔王様に何をしてる! 」

いち早く異変に気づいたクマル。有能だがたぶん服と靴を取りに来たんだろうな。

「こいつの処分を任せたぞクマル」

「へい魔王様! このクマルにお任せください」

目が輝く。これはストレス発散にやっちまいかねない。


「待てクマル。こいつが悪さしないように離れ小島にでも連れて行け。

いるだけで迷惑な存在だ。隔離するのがよかろう」

「やっちまわないんですか? もったいねえ…… 」

残念がるクマル。これは危ない危ない。

「指示があるまで監視を怠るな。処分はこちらで下す」

「さすがは魔王様。やり方がえげつない」

こいつ褒めてるのか?

 

「しかし魔王様。迷惑なのも隔離すべきなのも魔王様の方なのでは? 」

「うん? 何か言ったか? 代わりに処分されたいか? 」

「いえ滅相もございません」

調子に乗るクマル。誰が迷惑で隔離すべき存在だよ? 

それならモンスター全般がそうだろうが?

クマルのくせに生意気言いやがって。誰が庇ってやってると思ってるんだ。

「いいから早くしろ! 忙しければ兄弟にでも代わればいい」

「へい! 承知しました」

こうして賞金稼ぎは連れ去られた。彼の運命は如何に?



その頃ダンジョンでは。

「いやー助かったな」

肌身離さずに持っていたのが役に立った。

魔剣のように魔王を倒せはしないがこれだって相当なものだ。

プラチナソードが光を纏っている。

遠くまでは照らせないものの少なくても足元は問題ない。


「大丈夫? きつくない? 」

そう言って気遣うブシュ―。すごく重いんですけど。

腕に巻きつくものだから動きが制限されてしまう。

幼馴染のブシュ―は怖がってしまい一歩だって離れようとしない。

「どいてくれ! もしもの時に危険だ! 」

後ろにつくように命じる。

今はふざけてる時ではない。

急いでこのダンジョンから脱出しなければならない。

ただもし石碑に刻まれた通りならばこのまま行けば宝にたどり着けるかも。

微かな望みを胸に前へ進む。


へへへ…… 宝って何だろう? 想像もつかないや。

この土地に伝わる秘宝と言うぐらいだから相当なものだろうな。

せっかくここまで来たんだから拝んで行くか。

ついでにちょっとだけ頂いちゃおうかな。


「早く! もう嫌! 」

我慢しきれずに騒ぎ出す彼女。

真っ暗闇なダンジョンで僅かな光で平静を保つのは難しい。

今はとにかく前に進むしかない。


ぎゃああ!

目の前をコウモリの集団が横切る。

あまりに突然のことで動けずにその場に立ち尽くす。

もし敵だったらやられていただろう。

「大丈夫か? そんな声出すなよ。ただのコウモリじゃないか」

「だって初めてだから…… 」

コウモリはさすがに敵ではない。

仕方ない。ここは彼女のためにも急いで出口を探すか。

お宝はそれからでも遅くない。


うん…… 待てよ? ボクはここに何をしに来たんだっけ?


               続く

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