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雪女の正体

山小屋にてアーノ姫お目覚め。

あーよく寝た。もうお昼? うーんお腹が空いたな。

「クマル! クマル! 早くお食事の用意を」

あれ…… どうしたんだろう?

そうだ。ここは山小屋でクマルはボクを置いて行ってしまった。

 

どうも昨日のことがよく思い出せない。 

魔女の後をつけて一度諦めるも運よくクマルがいたから送ってもらった。

クマルのおかげで怪しまれずに済んだ。

何だかんだ文句を言ってもきちんと役割を果たすんだから。

やっぱり持つべきは翼の生えたモンスター。

後はもう少し愛想がよくて上品で頭の回転が速いといいんだけどな。

まず無理でしょうね。クマルですから。

そのクマルに山頂で降ろしてもらって山小屋で一泊。

これで正しいはず。でも一つ問題が…… と言うよりも一人問題が……


「あなた誰ですか? 」

山小屋には先客が。山小屋なので決して珍しくもおかしくもないのですが。

女の子が一人。しかもボクのようにかわいらしい女の子。

一人で登って一人で泊まって。荷物だって見当たらない。

それだけでもかなり怪しい。

そもそも登山客など見かけなかった。

と言うことはこの山小屋に住み着いてることになる。


「ねえ聞いてる? 」

「それはこちらのセリフでは? 」

そうか。彼女からしてみればボクが怪しいのか。

でもボクは姫様だから…… オーラを感じ取って欲しい。


「ボクは魔女の使いの者でして…… ひょっとしてあなたが依頼人? 」

自己紹介。さすがに一国の姫はまずいし窮屈。

変な目で見られたり疑いの目を向けられたら困りますからね。

彼女以上にこんなところにいてはならない存在。逆に怪しまれても当然か。

「そうですか。では魔女の代わりに? 」

「はい。今魔女は宿で温泉に浸りのんびりしてるところかと」


暇だったから魔女について回っているところ。

今回も依頼があって魔女はこんな北の果ての極寒の山奥まで。

まだ雪が降る季節ではないのでどうにか凌げますが。

標高も高く息苦しい場所。最悪のところに来てしまったみたい。

でもこれもすべて暇なのが悪い。暇過ぎてつい大胆な行動を取ってしまう。


これでもう何度目だろうか?

反省もせずに魔女の後をつける。そして引っ掻き回す。

それが最近のボクの遊び…… は言い過ぎだから趣味になってる。

できるだけ迷惑をかけないように知られないように。

魔女に絶対に見つからないようにと心がけている。


今この子の依頼を受けようとしている。一体彼女は何者なのか?

その正体に迫ろうとしている。

「私はトーカー。この山の精霊です」

どうやらふざけてるらしい。いい度胸してるわ。

「はあ…… 面白い設定ですね」

まずい。変なのに当たっちゃった。

魔女に依頼する子だからそう言うおかしな考えを持ってても不思議じゃないか。

「ふざけないでしっかり聞いてよ! 」

怒らせてしまう。ですがふざけてるのはたぶんそっちのような気が。

「いえふざけてません。この世界はおかしな人ばかりですから問題ありません」

どのような方であろうと引き受ける。色好みしない。

何と言ってもボクは物凄く暇ですからね。


「だったらお友だちになりましょう? 」

いきなりそんなこと言われても…… どう断ればいいか悩む。

「いえ精霊とはお友だちにはなれません」

依頼には関係ないこと。自分からおかしな肩書持ちだしたので利用させてもらう。

「そんな意地悪言わずに。すごく寂しいの」

山の妖精は寂しがり屋らしい。まるでウサギのようで愛おしくなる。


「それでどのようなご相談で? 」

はっきり返事をせずに悩みごとに移る。

ボクはそこまで深く関わりたくないし関わってもいけない気がする。

「実は…… 私精霊なんです」

それはさっき聞いた。もっとまじめに答えて欲しい。

「でも多くの人はこの山の神だと恐れているんです」

「山の精霊なら神に違いないでしょう? 」

「そんな恐ろしい神聖な存在として扱われても困ってしまう。

私はただの山の精霊だから自由気ままに山々を歩き回りたいの」

意外にも複雑な精霊さん。見た目もかわいいのに恐れられる存在って何?


「実は…… 」

詳しい話を聞くことに。

どうやら季節外れの雪女の正体はこの精霊。

数々の伝説は彼女の仕業らしい。

本当に人騒がせな。でも雪女なんてそんなもの。


「ねえその格好で出歩いてるの? 」

魔女の使いとしてそれなりにアドバイスを。

「いえ…… いつも全身白の着物で」

うわ…… それが誤解を招く原因。

「だったらもう少し派手な服を着ることをお勧めします」

これくらい言われなくても自分の力で改善してよね。

「でもこれしかない」

替えは一着だと言い張る。ならば今の服で即解決。


「分かった。ボクが何とかするから。他に怖がられるようなことをしてない? 」

魔王やモンスターに魔女のいる世界。

かわいらしい精霊ぐらいボクの手で。魔女の手を煩わすこともないでしょう?


「靴は? 」

「そんなものない。素足で歩き回る」

「分かった。それもこっちで手配するから」

「ありがとう。私のためにこんなことまで…… 」

弱気の精霊さんに感謝される。もう少し堂々としてくれると助かるんだけどな。

「気にしないで。こっちも好きでやってるだけだから」

事実そうなのにすごく感謝されるから逆にやりづらい。


では精霊さんのためにアーノ姫が直々に一肌脱ぎますか。

用意するものはこれくらいでいいかな?


それでは最終確認を。


                続く

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