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再びの始まりの地

引き続き始まりの場所。

女神様から貴重な情報とアドバイスを受ける。


「女神様! もう一度だけ」

<あなたふざけてませんか? 」

怒っていたのはこっちなのになぜか追及を受ける。


「俺は別に…… 」

<だったらなぜ余計なことをするのです? >

「そんなこと…… 」

まずい。すべて見られていたんだった。でも俺何か失態を犯したかな?


<勇者では幼馴染と仲良く楽しく旅行に。姫では何度も勝手な行動ばかり。

魔女の後をつけ遊んでいる。暇つぶしのつもりでしょうがいただけません。

余計なことばかりして。いい加減になさい! 

魔王様の時以外ではなぜ気が抜けたように余計な行動を取るのです?

これではどんどん時間が無くなっていくだけ。あり得ない愚行だと自覚なさい!>


女神様から突然の叱責に戸惑うばかり。

まさかこんなことで叱られるとは思いもしなかった。

確かに少々やり過ぎた部分はあったかと。でもそれがこの世界の醍醐味だと思う。

姫様のままお家に閉じこもっていては意味がない。

反省はもちろんするけどこれくらい許してもいいのでは?

そんなちょっとした甘さから隙ができていた。

女神様はそれを指摘しているのだろう。


<そろそろお行きなさい>

女神様に送り出される。

「待って女神様。ああ女神様もう少しだけ! 」

うわ…… またやってしまった。これはさすがにふざけ過ぎ?

<質問は受け付けません。早く行くのです! >

あれほど優しく微笑みかけた女神様がこうも変わるなんて。

まるで悪夢を見ているかのよう。


「一つだけ! 一つだけでいいんです! 」

<仕方ありませんね。迷える子羊よ。あなたに幸あれ>

適当な女神様。本当に大丈夫かな? こっちが心配になってくる。

「二人が出会うと本当に世界が崩壊するんですか? 」

決して女神様を疑う訳ではないが確かめずにはいられない。


<一瞬ならばどうにか。または両者が認識してない場合でもどうにか。

ただ気づいたら一時間もせずに世界は消滅することでしょう>

随分と大げさな女神様。どうもこの感じだと何とかなりそうな気がするんだよな。

ニアミスも大丈夫。ただ認識したらお終い。

実際にそうなってみないと分からない。ただ試すにはあまりに犠牲が大き過ぎる。

できるなら選択せずに済むことが望ましい。


「そうですか分かりました。女神様を信じます」

これでまた新たな気持ちで異世界に臨める。

<最後にこちらからも一つ。回避する方法が存在するかもしれません>

女神様は不確かな情報は決して口にしない。

それでも心の支えになるならと教えてくれた。

「まさか回避する方法があると? 本当ですか? 」

消滅回避方法はないものだとばかり思っていた。

盲点だったかもしれないな。


<期待せずに聞いてください。まずなぜ世界が滅ぶのか分かりますか? >

今更な質問とは言え満足に答えられない。だって何となくしか理解してないから。

「それは俺と言う存在が複数いるからですかね? 」

<正解です。はっきり言ってしまえばあなたが退場すれば世界は滅びない。

あなたこそが異物で取り除くべきもの。それはご理解できますね>

女神様はそれはそれは分かり易く丁寧に侮辱…… ではなく説明する。


「はい。それで? 」

<続けます。あなたが元の世界に戻れば消滅は免れます。

ですがもし世界から消えればどうでしょう? >

「はい? 」

「分かりづらいのでもう少し具体的に。

何らかの外部的要因であなたの存在が消えれば助かります>

「それは…… 無理があるのでは? 」

<はいその通り。ですからこれはただの可能性の話。

ただ可能があるならもしかしたら救われるかもしれない。

世界はですが。その場合あなたがどうなるかは不確か>

女神様は続けるがほぼあり得ない妄想の世界。聞くだけ無駄な気がしてきた。


「俺…… 」

<その外部的要因が起こり得ると考えてます。期待せずにその時を待ちましょう>

そう言って励ましてくれた。でも万に一つもない奇跡でしかない。

あーあ期待して損したぜ。

「へいへい。ではまた」

こうしてまたおかしな世界へ旅立つ。


あーあどうしてこんなことになったのだろう?

自分の運命を呪うしかない。しかも第二の人生でのこと。

転生した先でここまで苦しめられるとは思ってもみなかった。

異世界・ザンチペンスタンは楽園と化した理想郷ではないらしい。

それでもどうにかしなければ。諦めて堪るか。

ああ女神様どうぞお守りください。


こうして再び異世界に戻るはずだった。

目を閉じれば魔王の住処か魔女の家か宮殿か。

今は行ったり来たりで皆出払ってる異常事態ではあるがそれでもどうにか。



再び始まりの場所。

目の前には申し訳なさそうな女神様と怒りを通り越してキレている妖精が一匹。

これはどうしたのだろうか?

できるならあまり関わりたくない。それが本音。

でもたぶん無理なんだろうな。俺が原因みたいだから。


<少々訳があってもう一度戻ってもらいました>

「はああ? 何で? 嫌がらせですか? あの妖精は何です? 」

女神様が多少怒ってもどうにでもなる。でも妖精は怒りだすと止まらないからな。


あれ…… 俺また何かやってしまったのか? 何一つ心当たりがない。

ただ無自覚に何かをやってしまう自分を認識してはいる。

だからそれだけに怖い。


心当たりはまったくないが呼び戻されたとなれば言い訳は一切通用しない。


                続く

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