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洞窟見学

魔王様の洞窟見学。

カンペ―キの案内を受け洞窟を見て回ることに。

入るとすぐにコウモリが集団で襲ってくる。

さっそくの派手な歓迎。これは応えてやらねばな。


「ボグ―! 」

ダメだ。魔王様の威嚇が通用しない。これは困った。

「お下がりください」

何を血迷ったか火を放つカンペ―キ。無駄に格好をつけて。そんな場合でないぞ。

爆発すれば最悪崩落する恐れだって。

しかもモンスターは火に弱いはず。自滅する気か?

それではクマルと変わらない。

ああカンペ―キお前もか!


洞窟内では酸素がただでさえ薄いのに…… 何てことをしやがる。

無敵の魔王様でも無謀なのにカンペ―キめ血迷いやがって。頭が痛い。


必死に止めるが一旦スイッチが入るとどうにもこうにも。

まあいいか。ここは任せて見守るとしよう。

ただ…… ここが隠れ家になるとしてコウモリは追い出しておけよな。


「申し訳ありません魔王様! まだ改善段階でして…… 」

「構わん! これくらい派手でないと。移る時までに処分しておけよ」

これ以上ファイヤーされてたまるか。

「ですが…… 人が近づかないためにもこのままがよろしいかと」

カンペ―キはあえてコウモリを残す決断をする。大丈夫なのか?

今度魔王様に絡んだらどうなるか分かってるのか?


「よかろう。しかしきちんと管理するんだぞ。次はないからな」

「はは! それではこちらに。頭気をつけて。低くなってる箇所がありますので」

ダンジョンの奥深くまで足を運ぶ。

うん思った通り悪くない。

「深くなるにつれ光が届かず完全な闇へ。狭くなってもいきます」

「おお…… それは居心地がよさそうだ」

ごつごつした岩の天井も低くなっていく。

足元もぬかるんでじめじめしていて光も僅か。

これ以上先に進むのは難しい。はっきり言ってこの体形ではこれが限界だろう。

魔王様は決して太ってるのではない。全体的に大きいだけ。

身長も優に三メートルを超える。


もうここまででいいだろう。視察もお終い。

カンペ―キの案内を受け見て回ったが環境や場所に問題はない。

ここを第二の住処とするとしよう。

そろそろ戻るかな。



その頃アーノ姫はクマルに連れられて……

「ほら大人しくしてろ! さっきまで静かだったのに今更ジタバタするなって」

生意気なクマル。もう扱いが雑で困ってしまう。

一応は名のある国の姫なんですよ? 実際のところはよく知らないですが。


「それで俺はあの馬車を襲撃すればいいのか? 」

何をどう勘違いしたら追跡ではなく襲撃する訳?

頭が悪いだけでなく何も考えてないなこれは。

「いいから大人しく追うの! 」

「へいへい。まったく嫌になるぜ。魔王様の命令でなけりゃ食ってるところだぞ」

とんでもないことを言う。まったく本当に困ったクマル。


「もう早くってば! 見失うでしょう? 」

「大丈夫だって。消えやしないさ。うん…… 馬車が動かなくなったぞ」

どうやら目的地に着いたらしい。

魔女の話では北上するようなことを言っていたっけ。

うわ…… 寒い。急に冷えてきた。

ここはまさか…… まさかあり得ない。そんなことあるはずが……


魔女は馬車を降りると山を登る。どうやら今度の依頼主は山奥の住民?

誰であれここはまずい。ノアが滞在している山。

まるで二人は引き寄せられるように出会うことになる。

でも二人が出会ってしまえば世界は終わる。

そんな状況を避けるために充分に距離を取ってたのに。

油断していた。魔女の後を追いかけたばかりに……

でも早くに気づけてよかった。これで回避できる。


「おらもういいだろう? 降ろすからな。

俺は魔王様に報告しなければならないんだからよ」

そう言うと振り落とす。本当に乱暴なんだから。

「じゃあな」

「ちょっと待って! もう戻るから…… 」

話を一切聞かずに南の空へ。


まったく何なのよ? 勝手に先に行くってあり?

これだからクマルは……

クマルのコントロールを誤ったらしい。

もうどうすればいいのでしょう? ここは危険だと言うのに。

そうだ…… 何もボクが頑張らなくたっていい。


トントン

トントン

結局眠れずに目を覚ます。

せっかくなので主人の話を聞くことに。

「あの山は毎年のように事故があってな。それは危険な山なんだよ。

遭難やがけ崩れに雪崩だけでなく激しい雨が行く者を阻み強い風で視界を奪う。

だから死の山となる。充分に気をつけるんだぞ。

温泉や景色に気を取られてると迷って遭難することだってあり得る。

そんな人々を見かねて雪女が出るとか出ないとか。

雪女は慈悲深い女神だと言われている。しかも山の神だ。

嫉妬深い山の神は女性を受け付けないと言われてるがどうもただの作り話のようだ」


作り話と言うがこれだって充分作り話なはずだが。

都合が悪いと何でも作り話にするんだな。

「さっきからドアを叩く音がするんだけど」

「ははは…… 気のせいだ」

それでも続くから主人が確認する。


「済まんがね。一泊いいかい? できれば二泊でも…… 」

フードを深くし防寒着で武装した図々しい老女が現れた。

どうやら雪女ではないらしい。

疲れたとおかしな杖を振り回す。

あれ…… この人ってやっぱり……


魔女到着。

まずい。俺に気づかれてもまずいし気づかなければ逆に危険な状況に。

さあどうするかな? 接触を図るか? 知らない振り?

ここは最善策で行くとしよう。即ち急いで部屋に戻る。これで最悪は免れた。


北の宿に突如現れた招かざる客の登場で一気に緊張感が高まる。

まさかこの宿で事件が起きるのか? 

てっきりファンタジーだと油断していたがまさかのミステリー?


きゃあああ!

突如女性の悲鳴が館内に響き渡る。


                  続く

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