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奥の手 急接近する二人

引き続きアーノ姫のターン。

現在魔女を追いかけて北へ。

ただこのままではいつたどりつけることか。

消滅までもう時間がありません。これ以上のロスは許されない。

あらあらネガティブ過ぎましたね。もっと旅を楽しまなければ。 

ここは切り替えてポジティブに行きましょう。

今度はどんな旅が待ってるのかな? 何だかワクワクする。


魔女の目の前に馬車が。

もう疲れたので魔法を使って呼び寄せた?

これだと最悪腰の痛みをおして飛ぶこともあるかもしれない。

馬車にしろ飛ぶにしろボクではどうすることも。

それでも今までの旅の経験をいかせば乗り切れるかも。


現在地不明。

魔女の後を追ってきたので今ここがどこなのか。

初めての場所で現在地を見失っている。

あれこの人どこかで見たような……


馬車は魔女を乗せすぐに出発してしまった。

さすがに急ぎ過ぎでは? これは困った…… どうしましょう?

もうこれでは追い駆ける術がない。 仕方ない。ここは奥の手と行きますか。


手を叩き笛を吹く。

この笛はモンスター笛と言ってクマルから貰ったもの。

犬笛と違って人間の耳でも聞こえるからたまに他の動物を呼び寄せる場合がある。

先ほど失敗してクマを呼び寄せてしまった。今その処理をクマルに任せている。

さあ来なさいクマル。見失う前に早く!


クマの世話を終えたクマルが姿を見せる。

「何だよ? 用もないの気軽に呼びつけるんじゃねえ! 」

「ごめんなさい」

らしくない正論を聞き流して反省してる振り。あらあら悪い姫様だこと。

世話係についてくれるのはありがたいですがもう少し言葉遣いを何とかしないと。

とは言えここはせっかくですから役に立ってもらおうかな。

それがクマルのためにもなるし。


「ボクを乗せてあの馬車を追いかけて」

クマルに頼むことにした。他に手もないですからね。

「嫌だね。面倒臭い! 」

嫌がるが拒否する立場にない。

「魔王様が……  」

脅しをかける。これで従うのがクマルの情けないところでありいいところ。

「クソ! 分かったって。どこまでも連れて行ってやるよ。早くしろ! 」

諦めたクマルは早く乗るように促す。

こう言う素直なところが魅力的。他は特段ないですが。

こうして一度諦めた追跡を再開することに。


うん。これでいい。これでいいんです。

姫様はのんびり優雅に追跡する。庶民のように歩くのはバカバカしい。

それがこれまでの追跡旅で得た教訓。

馬車はまっすぐ北上。

さあ今回の依頼は何かしら?



その頃幼馴染との旅行中のノア。

天然温泉にて疲れを癒す。

「気持ちいい。ねえ気持ちいい? 」

「ああ…… 」

いつの間にか浸かっていた。

てっきりスキップして宿に戻ってる頃だと思ってたのに。

あれ? ボクって見たの? それとも見られただけ?

まあいいか。つまらないことに拘ることはないさ。ボクはアーノ姫一筋だから。

今回の旅だって彼女が無理やりついて来ただけだし。

そもそも名前だってあやふや。たぶんブスでいいんだよね? 自信ないけど。


「うーん気持ちいいな。何て気持ちいいんだろう」

「もう本当に正直な人…… そろそろ上がろっか」

いい雰囲気。温泉は二人の関係を高めてくれる最高のもの。疲れも取れて最高だ。

それにしても正直ってどう言う意味だろう?

 

「また明日も来ようね」

そう言うと後ろ姿を晒し出て行く。

うん何て大胆な方なんでしょう。

つい視線がくぎ付けになってしまう。

まずいまずい。勇者たるものこの程度のことで己を失ってどうする?

それで正直ってどう言う意味? 気持ちいいと関係あるのかな?

そのことで頭がいっぱい。もう寒いとか気持ちいいとかよく分からなくなってく。

このままだと湯冷めして風邪を引くだろうな。

そうなると声は枯れて魔王様みたいになるのかな?


「ホラ早く! 」

「ははは…… 待ってくれよ」

この後どうなるのかな? お風呂の後は当然…… ご飯かな? そして寝るだけ。

急いで服を着て宿へ向かおうとした時だった。

きゃああ!

いきなり騒ぎ出す困った彼女。

「おいおいどうしたんだよ? 」

「あそこ…… あそこ…… 」

この状況でそんなこと言ったら想像してしまうじゃないか。

別に何をってわけじゃないけど。それは構わないが…… どれだけ大胆なんだよ?


「ははは…… どうしたんだよ? 仕方ないなブスは」

「ああん何か言った? 」

睨みつける彼女。冷静じゃないか。もうパニックは収まったのかな?

現在幼馴染の名前がどうしても思いせずに苦労してるところ。


「きゃああ! 」

改めて叫ぶ律儀な彼女。ではこちらもしっかり応えますか。

「落ち着け! 一体何があるって? 」

「あそこに人影が! 幽霊…… 」

そう言ってその場に座り込む。

幽霊などいるはずがないのに困った奴だな。

「きっと気のせいだよ。さあ戻ろう」

「でもそこに」

気のせいだと言っても納得してくれない。

「どこにいるんだって? 」

「ほらあそこに…… 」

彼女曰くいつの間にか姿を消したのだとか。本当かな?

まったく人騒がせな。


「よしもう戻ろうぜ。どうせ何もないんだからさ。

ははは…… 見間違い! 見間違い! 」

彼女を信用せずに笑ってしまう。

だがよく考えれば魔女も魔王様もクマルだっている異世界。

仮にお化けが出ようが雪女が追い駆けてこようが何の違和感もない。

実際追いかけられたらそれはびっくりするだろうけど。

でもこの場合は目撃しただけだからな。どうってことない。


手をがっちり繋ぐ。少しぐらい心細くてもこれで安心さ。

「ねえ信じてよ? 本当に見たんだってば」

「いいから。いいから」

まさかの幽霊騒動。

果たしてその正体とは?


                続く

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