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魔王様お怒りモード

魔王様一行洞窟視察へ。

「どうされましたか魔王様? 魔王様? 」

「ボグ―! 」

「おやめください魔王様! 何をなさいますか? 」

「ボグググ…… 」

つい寝ぼけて服を脱いでしまった。あれ…… 服なんか着てたっけ?

「魔王様? 」

「ははは! 冗談だ冗談。暑くてな」

変温動物らしい魔王様は温度調整がうまく行かない場合がある。

手下のモンスターたちも驚きを隠せない。


「本当かよ? 最近の魔王様はさあ…… 」

「そうそうおかしいよな。どこか悪いんじゃないか」

「怖くなったと思ったら優しいし。どっちかにしろよって話」

「これがクマルには甘いんだよな。あいつだけ優遇されてさ」

地獄耳の魔王様にはヒソヒソ話は丸聞こえ。罰は受けてもらう。

「消えるがいい! 」

無礼な二人組を消し去った。恐らくどこかへ飛んだのだろう。

まあ済んだことはどうでもいいか。


「いいかお前ら。魔王様に逆らうなら容赦しないぞ。分ったな! 」

「へい魔王様! 」

「ううん? 声が小さい! 」

「ハイ魔王様! 」

モンスターたちを縮こまらせる。恐怖で支配してこそ魔王様だ。

もちろんそれだけではついてこないが…… 教育も大変。


「おい今日は機嫌が悪いのか? 」

正直なところを聞いてみる。

「いえ滅相もございません! 魔王様は常に一定です」

「そうか。そうだよな。ははは! 」


こうして歩くこと二時間。

うん? と言うか魔王様を歩かせるとはどう言う神経してるんだ?

また飛ばすぞ! あるいは飛ぶぞ!

ふふふ…… だがこんなことしてれば手下がいなくなってしまう。

だから少々気に喰わない程度で消し去ったりしない。

その基準だとクマルなど一瞬でやられてしまう。


「おい歩くのか? 」

「それはもちろん。視察でございますから」

「歩くんだな? ああん? 」

「申し訳ありません! こればかりは歩くしかないのであります」


モンスターは翼があるのでいつでもどこにでも飛んでいける。

しかし魔王様にはない。退化したとの説もある。

魔王様にはそのようなものなくても困らない。動く必要なくただ命令すればいい。

モンスターを手先に使えばいいのだ。

ただそれでも困った時は赤く青いモンスターエナジードリンク飲めば翼が生える。

もしもの時には用意しておこうかなと。


魔王様が魔王様であるために……

魔王様は決して疲れてはいけない。もっと優雅でなくてはならない。

どっかの勇者よりも姫よりもデリケートな存在。

それが魔王様なのだ。どうも皆勘違いしてるような気がする。

何でも食って何でも噛みつく凶暴な魔王様のイメージは幻想でしかない。


「ここでございます魔王様」

カンペ―キが見つけたと言う洞窟。

人間から発見されにくい断崖絶壁にある。

今そこに小鳥が一羽。どうやら中に巣を作っているのだろう。

確かにここなら子育てには持って来いだな。

忌々しい人間どもが寄りつかなければそれだけ自然のままと言う訳だ。

うむ。これなら第二の住処として申し分ない。

そんな風に目論んでいたがその考えも吹っ飛ぶ事態に。


人の姿が? そんなバカな。あり得るのか?

「ちわ! 今日こそは払ってくれよ! 」

おかしなのが絡んでくる。もはや人間とモンスターの区別がついてないらしい。

「魔王様下がっていてください」

「うむ。よかろう」

いくら絶好のチャンスを逃しイライラしていても消せばトラブルになる。

今は自重しよう。任せておけばいいさ。

「見てないって。それにモンスターだ! 」

「へへへ…… 冗談ばかり。また来るからその時には用意してよね。

こっちは天下御免の…… おっと何でもない。いいかお前ら逃げれないからな!」

モンスターに脅しを掛けるこの男は一体?


カンペ―キの配下の者だな。人間に余計なことをしゃべりやがって。

「おい。分かってるな? 」

今日は不機嫌だと理解してるので当然言われなくても責任者を処分する。

こいつももう近づかないように処分するかな。

ふふふ…… 魔王様になるとどうも性格が変わると言うか抑えられないと言うか。

まあ仕方ないよな。これくらいしないと威厳は保たれない。

魔王様は魔王様。そう簡単には変われないのさ。


ではそろそろ視察するとしよう。



廃屋にて。

暇で暇で仕方がない。もうどうしたらいいの?

魔女はこもったきり。ちっとも相手にしてくれない。

どうせまた怪しげな調合してるんでしょうね。

誰かボクを連れ去って欲しい…… 何てね。

昨夜の疲れもあってゆっくりするのもいいですがそれにも飽きてきた頃。

今日は何かとてつもないことが起こりそうな予感。何だろう? 


ドンドン

ドンドン

「ハイどちら様ですか? 」

「お届けものです」

そう言われると確認もせずについ開けてしまう。

「あれあなたは…… 」

醜い姿の間抜けで怖い顔のモンスター。クマルであった。

何だクマルか……

「間に合ってます」

「いや待ってくれよ…… 追加の食糧だって」

クマルは魔王様の命令通り姫の監視を続けている。


「それでクマル最近調子はどう? 」

「いや…… ぼちぼちって何を言わすんだよ! 」

「だって暇なんだもん。何か面白いことない? 」

「うわ…… これだから姫様は嫌なんだよな。おっとそうだ忘れるところだった。

お前が魔王様ってのはまったくのでたらめじゃないか! 」

まだそんな細かいこと覚えていたの? 

「いいえ。魔王様ですよ。まさか疑ってるの? 証明して見せましょうか? 」

「ホラまたそんないい加減なことを言いやがって。魔王様を騙るんじゃない! 」

「黙りなさい! この力で二匹ほど葬ったから。帰って聞いてみなさい。

そうしたらこのボクの言うことが真実だって分かるから」

ふふふ…… クマルをからかって遊ぶのはいい暇つぶしになる。


                  続く

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