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カンペ―キ説得

勇者・ノアは王命により伝説の剣探しの旅に出た。

道中で盗賊団に目を付けられる絶体絶命の状況に。

危機一髪のところを国王所有のプラチナソードで見事討ち倒す。

五人いた盗賊団も壊滅状態。

こうしてどうにか馬車の旅を再開することに。


魔王の住処。

「どうされました魔王様? 」

ここは? どうやら眠りから覚めたらしい。

「ボグ―! 」

「いきなり暴れ回らないでください。皆が驚きます」

モンスターのくせにこれくらいのことで驚くなよな。

さっきまでプラチナソードを振り回し五人もの敵を相手にしていたからつい……

実際切り刻むとその快感が忘れられない。

興奮も冷め止まらない中での魔王様だからな。

アドレナリン全開と言ったところ。


「それで何の用だ? 」

「はい。カンペ―キが魔王様に申し上げたいことがあるそうです」

うわ…… 面倒だな。こっちはそれどころじゃないんだけどな。

真面目な奴だから冗談も通じないし。

どうにか説得するしかないんだがどうしよう?

「まさかクマルの奴が余計なことを口走ったのか? 」

これだからクマルには任せておけないんだよな。

自慢などせず自分の任務に集中しろよな。


「なぜ魔王様はクマルを寵愛するのですか? 

今回の襲撃計画もクマルに任せたそうではありませんか」

呆れた様子の魔王様の忠実なしもべ。不満があるそうだ。

できればそれ以上怖い顔を近づけないでくれないかな?

「ああそうだが。何か不満でもあるのか? 」

「いえ…… カンペ―キの方がよいのかと…… 」

機嫌がよくないと察知して抑えたようだ。

それは正しい判断だが不満を抱えたままではお互いのためによくない。

我慢するのも不満をため込むのもやはりよくない。すべてを吐き出すべき。

だが魔王様がそう言ったところで本気にはしないだろう。

「まあいい。ならば呼ぶがいい。文句があるなら聞いてやる」

こうしてカンペ―キを説得することに。


「魔王様お呼びですか? 」

「クマルについて意見があるそうだな? 」

「なぜクマルなどに? 奴はただ運がいいだけで実績もなく失敗ばかり」

失望の色を隠せないカンペ―キ。クマルなど眼中にもないんだろうな。

魔王様だって辛いんだ。魔王軍のためにはカンペ―キを選びたかったさ。

でもそれでは成功してしまうだろう? 万一にも成功されては困る。

絶対に成功してはならない。そんな戦いがある。勝たれたら困るんだよ。

この世界が消滅する前に壊滅させられる訳にも行かない。


強い思いでカンペ―キに対峙する。

「ライバルでも何でもないと言いたいんだな? 」

「恐れながら…… 正直に答えればそう言うことになりますね」

堂々と魔王様の前でも意見が言える。生意気だが優秀な証拠。

それに比べてクマルは魔王様の前では震えてばかり。

ここまで違ってきてしまったか? 優劣がはっきりしてきた。

強運とハッタリではもうどうにもならないか。


「うーん。しかしお前には任務を与えてるだろう? 不満か? 」

魔王様との日課の散歩。お供は大変名誉なことのはず。

「それはそうですが…… 」

そこで濁す。まだ納得いってないようだ。

「分かった! 次の襲撃計画ではお前に指揮を執ってもらう。それでいいな? 」

「はい…… 」

「いいかカンペ―キ。よく聞け! 今更変更できない。それくらい分かるだろう?

お前の頭なら理解しているはずだ」

「ですが魔王様…… それでは…… 」

「いいな? いいんだな? 」

後で文句が出ないように念を押す。

「ありがたき幸せ! 」


「それとは別にお前にはダンジョン探索を頼む」

新たに魔王軍の隠れ家を建設しておきたい。

ここも手狭になりつつあるからな。もしもの時のためでもある。

「ははあ! お任せください! 」

カンペ―キも分かってくれたようだ。


優秀な奴は今回の作戦には不要だ。

クマルほど魔王様の思いに応えた奴はいない。

こうしてどうにか抑え込んだ。



廃屋にて。

暇…… 暇過ぎて眠い。

何か面白いことはないでしょうか?

何でもいいんです。ほんのちょっとのことでいい。

そうすれば暇つぶしなる。


「ねえこんな天気がいいんですからハイキングにでも行きましょうよ」

無理を承知でお願いしている。

「またなの? それが危険だって分からないのかい? 」

薬の調合に忙しいらしくこっちを見もせずに適当に答える魔女。


「でも…… 」

気付かれないように背後に回る。

「でもも何もあなたの決めたことでしょう? 私はただの監視役」

そう言いながら難しい本に目を通しお説教を続ける横着な魔女。

ボクは姫様なんですよ? その態度は何なの? 許せない! 


緑色の液体にその辺で取ってきた木の実を混ぜ最後にお酒を少々。

美味しくはなさそうですが興味はある。

「違いますか姫様? 」

そう言って前に視線を送るとボクはどこにも。


「ちょっとどこに…… 」

焦る魔女にいたずらを仕掛ける。

「わああ! 」

下品にも叫んで驚かす。

「きゃああ! 」

かわいらしい声が出る。

これで充分満足で目的も果たせたのですが…… 

驚いた魔女は態勢を崩し緑色の液体をぶちまける。

急いで顔を上げたその顔は緑の液体に塗れ服にまで。

少々やり過ぎたでしょうか? でも暇ですからこれくらい構わない?


「この馬鹿女! 」

魔女の格好をした老女がキレる。本性を現したらしい。

お助けキャラの魔女を怒らせて何の得があるのでしょう? 

でもやっぱり暇だからこれでいいんです。


                 続く

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