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おかしな関係

引き続き宮殿。

つい国王を説得するために禁じ手を使ってしまう。

魔王軍が襲撃の準備をしてると言えば慎重になると思ったが。

下手すれば受けて立つとなる恐れもある危険な賭け。

だがさすがに一国の国王だけあって冷静だ。

これで姫様を連れ戻す件は一旦保留に。


「しかし隊長…… ねえ国王様? 」

「急いで確認するんだ! 」

「仰せの通りに! 」

国王の右腕でありサポート役でもある爺さんが慌てて出て行ってしまった。

国王と二人きりで残される気まずい展開。なんだかドキドキする。

これで邪魔者もいなくなりようやく国王の本音が聞ける訳だが。

ボクはどう思われてるのかな? 不安で不安で仕方がない。


「では国王様」

一応は退出する形をとる。ゆっくりなるべく国王の目に留まるように大げさに。

「うむ。急ぐがいい! いや待て待て! 」

うまく誘導できたらしい。これで国王はボクの思い通り。

 

「どうされました国王様? 」

「一度でいい! 一度でいいから娘に! アーノ姫に会わせてはくれんか? 」

心配性な国王。やはり本心では国や城のことよりも娘が大事らしい。

「もちろん構いませんが…… 相当な危険が伴いますよ? 」

何と言っても宮殿を抜け出す必要がある。それから道中だって決して安全でない。

それだけではない。協力者は裏切りや謀反の罪で追われることになる。

国王を脅威にさらすのだから当然だろう。


秘密裏に国王を宮殿から連れ出し姫のいる廃屋まで。そして再び宮殿へ。

こんなことさすがに一人では不可能。

「それでよい。手配を頼むぞ隊長」

こうして無茶な要求を受け入れ国王と姫を会わせることにした。

うんうん。感動的な親子の感動シーン。これはいい絵になりそうだぞ。


でも待てよ…… 一つ問題がある。

口約束とは言え国王の頼みを反故には絶対できない。それが前提。

だがどうやって気づかれずに国王を連れ出せと言うんだ?

それだけではない。どうやって姫のところへ連れて行けと言うんだ?

ボクと姫が出会えないからこんな面倒なことになってるんだからさ。

うーん。ダメだ。ちっともいい案が浮かばない。

やっぱり断るしかないのかな? 国王には悪いがそれが一番無難だろうな。


とりあえず今は伝説の剣を探すとしよう。



廃屋にて。

あれ…… 

いつの間にかお付きの者が姿を消していた。

「ああ彼女なら買い物に行くとさ」

確かにお腹も空いてきたことですしちょうどいいか。

「まあいいわ。のんびりしましょうか」

「そうだよ姫様。ゆっくり楽しもう! 」

そう言って押し倒そうとする強引な魔女。

「ちょっと…… あなた何を? 」

いきなりの超展開で訳がわからない。

まさか彼女はボクが信頼を置いているあの魔女でなく悪い魔女?

入れ替わった? そんなはずないですよね?


「だって姫がとってもかわいいから」

嫌がるのになおも迫る魔女。

「ちょっとふざけないで! 女同士でしょう? 」

それがどうしたと言われたら困りますが姫として操は守らなくてはいけません。

「体はな。だが心は違うだろ? イヒヒ…… 」

「やっぱりいつもの魔女じゃないの! いい加減に悪ふざけはよしなさい! 」

「ははは! 気づかれましたか? 」

ボクの大切な相談役ですべてを知る魔女。


「そんなことよりなぜ彼女を行かせたんです? 今何をしてるか分かってるの?」

危うくキスされそうになった。まったく冗談じゃない。

この体を守るのもボクの立派な役目なんだから。

「はい。今頃は連絡でも取り合ってるかと」

「そう。もうここも安全じゃないみたいね。どうすれば…… 」


王命を伝える。

「それでどうやってここに国王を連れて行くかで悩んでるんだね? 」

大体のことは把握してるでしょうが念のために詳しく伝えておく。

「どうしたらいいと思う? 」

「私に聞かれても…… 大体それはあのだらしない勇者が考えればいいことさ。

私どもはただ大人しく見守ってればいいんじゃないかい」

余計なことを考えるなと言うことらしい。

「とにかく私らがやれることはこれと言って…… 」

「そんな…… あなただけが頼りなのに! 」

「あったよ! この家を掃除することさ。徹底的にきれいにしようじゃないかい。

そうして国王様を気持ちよく迎え入れようではないか! 」

ダメだ。普通の発想。それくらい私だって。

大体ここに連れてこられた時に掃除をしましたから。クマルを使ってだけど。

これ以上どうしろと言うのでしょう?


「ボク掃除苦手なんだけどな。今まで一度だって掃除などしたことない」

そもそも周りが汚れていたりしたことはなかったはず。

きっとこの魔女には分からないでしょうね。

「それは姫様がだろう? あんたは違う。ただの一般人」

どうやら姫に扮しても掃除の免除は認められないそう。

貴重な清掃要員にされた。


「もう知らない! 」

「ははは…… 不機嫌な振りをして掃除をサボる気かい?

何て悪知恵が働くのかね」

関心される。何だかとても不愉快。でもこの人には通じないですからね。

「では姫様。お食事を終えてから本格的にお掃除しようね」

「はーい! 」


こうしていつの間にか変な方向に話が進んでいく。

問題が解決された訳でもない。

これからどうしましょう?


             続く

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