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極秘情報暴露

再びの宮殿。

昨夜のことがバレてやしないかとヒヤヒヤ。

問題の男はまだ眠そうに欠伸を繰り返す。

こっちだって眠いんですけど? ただ現世に比べたら大したことはない。

「そこ欠伸するでない! 国王様のお話の最中だぞ! 」

国王の右腕の爺さんが注意するが一向に収まる気配がない。

ラッキー! どうやら悪事はまだバレていないらしい。


国王は作戦遂行に消極的なボクの態度を改めさせようとしている。

「隊長…… まさかまだ待てと申すのか? 」

イライラ気味に嘆く。失望感が見てとれる。

「いえ…… 明日には魔王の住処を探し出し急襲したいと思っております。

それまではどうぞお待ちください」

慎重さが求められる作戦。それは国王も理解してるはずなんだけどな。

焦って行動すればたちまち相手の術中に嵌るだろう。ここは慎重にも慎重に。

国王だからな強く言えないところがある。

もはや本人に自覚してもらう他ない。


「しかしなあ…… 」

「そうですな国王様。皆もそう思うであろう? 」

そう言われたら誰も首を縦に振るしかない。ただ総意ともとれる。

どうやら国王以下限界のようだ。

このままでは隊長の任まで解かれかねない。

そうなれば手に負えない事態になるのは目に見えている。


この国のためにこの世界のためにやってることなのに……

理解されるはずもないか。仕方ないさ。誰も事態を把握してないのだから。

やはりここは国王だけにでもすべてお話すべきだろうか?

一瞬そのような考えが浮かんだがすぐに振り払う。

無理だ。誰が信じてくれると言うんだ?

国王に話せばおかしくなったと任を解かれるだけでなく投獄されてしまうだろう。

その後いくら言い訳を繰り返しても聞きやしない。

それは分かり切っていること。でもどうしても告白せずにはいられない。


いっそのこと幼馴染のブシュ―にでも……

ああ無理だ。やはり無理だ。

おかしなモノに憑りつかれたと騒ぎ出すに決まってる。

だからたとえこの世界を憂う者であろうと幼馴染であろうと誰にも言えないのだ。

最期の最期まで秘密にしておく必要がある。


「どうした隊長? それだけか? 続けるがよい」

「ははあ! 現在総力を挙げ魔王の住処を突き止めているところです。

もう間もなく辛抱ください。明日にはきっと。遅くても三日後には! 」

こうしてどうにか引き延ばす。

これでもし催促されてもどうにでも言い訳が立つ。


「よろしい。それでは姫についてはどうだ? 」

懇願する国王。姫様…… 要するにボクは愛されてるんだな。

この際魔王などどうでもいいらしい。姫さえ戻ってくれば。

「はい。それはもちろん信頼の置ける者に任せております」

「しかし連れ去られたと言う報告が入っているがどうだ? 」

残念だがどうやらまだ完全には国王に信頼されてないらしい。

報せたのはたぶんお付きの者。隙を見て文を届けたのだろう。


しかしまずいことになったな。

現在の隠れ家からまた移動するのは危険な気がする。

「現在確認作業中です。ですが姫の安全は確保されていますのでご心配なく」

強く断定する。これで国王を心配させずに済む。

「それで国王様。姫様をそのままにしておきたいのですが」

もう国王にも居場所は知られているが迎えに行くと言われたら面倒だ。

とは言えそれはクマルに捕まる前での話。今の場所は特定されてないはず。

ここは考えを示す時だろう。


「ならん! 姫をそんな危険なところにいつまでも置いておけるか! 」

国王との話し合いは続く。

意外にも頑固でいらっしゃるから困ったもの。

いくら国王とは言えこれでは部下がついて行かなくなるぞ。


「どうかお許しください! 」

「ならん! ならんと言ったらならん! 」

「しかしここも危険であります」

仕方がない。ここは極秘情報を伝えるとしよう。


「危険だと? それはどういう意味だ? 」

簡単に国王を丸め込めると思ったのに違ったらしい。

予想外の粘り。ここまでとは想定外だ。

「ですからこの宮殿は狙われていると」

「ああそれならマック王であろう? それについては張り付いてるから心配ない。

動きがあれば知らせるさ。だから姫を連れ帰る」


「お待ちください国王様! それは古い情報。

最新情報では魔王がこの宮殿に向け進軍するとのこと。

まだ不確かですがどうやらこれは痺れを切らした魔王の暴走とも取れますので。

ことの推移を見守るとともに我々も守りを固めるべきかと」

本当は話したくなった。だってボクの提案だったから。

嘘か本当かで行けば本当で。紛れもない事実。


「うう…… 」

国王は衝撃を受けている様子。

確かに今の兵力では敵わないのは目に見えている。

魔王の住処を急襲する分にはどうにかなるが向かって来る敵を追い返す力はない。

それほど魔王軍との力の差が開いている。

先手必勝の奇襲攻撃以外通用しない。

だがだとすればなぜ魔王軍は今まで手を出さなかったのか?

不思議で仕方がない。それとも再三やり合った結果なのだろうか?


「愚かな魔王め。よし魔王城にて手に入れた伝説の剣を持ってくるがよい! 」

ついに王命が下る。

一気にきな臭くなってきたぞ。

「ははあ! 早急に! 」

「うん。それでこそ私の見込んだ男。お前には大切な役割を任せることにする」

「ははあ! ありがたき幸せ! 」


なんだかよく分からないが伝説の剣を持ってくればいいんだよな。


                続く

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