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再びのクマル

勇者・ノアは転生一日目を無事に終える。

ただ多少の時差があるためまだアーノ姫は苦戦中。

再びのクマルの登場。


魔女の家。

トントン

トントン

クマルが性懲りもなく襲ってきたと思ったらどうやら違うらしい。

力づくでどうにかしようとせずに紳士な行動を心掛けてるよう。

クマルは意外にもきちんと言いつけを守る律儀なところが。

モンスターには珍しいタイプ。


「ああん? 何の用だい? 」

魔女が不機嫌に尋ねる。本来なら居留守を使う手も。

ただ単純で単細胞だから興奮して家を壊される恐れがあるので嫌々対応。

「物凄く当たると噂の魔女がいると聞いてここに…… 」

クマルは丁寧で腰が低い。ここまでできるなら有能かもしれない。

「ああ? あんた占ってもらいたいのかい? 」

「お願いします! 」

こうしてクマルの侵入を許す。


「でもタダって訳にもいかないよ。あんた払えるのかい? 」

ボクは気づかれないように奥の部屋から様子を窺う。

まあどうせ後で詳しい報告を受けるんですけど。臨場感がある。

ここで耳を傾けるのも悪くない。

何だかワクワクドキドキが止まらない。

「金はないが人間なら一匹さらってこれるぜ。それでどうだ? 」

とんでもないことを言うクマル。クマルの名に恥じない行動。

まだ彼には慣れが必要らしい。時間が掛かるかな?


「いやそれは遠慮するよ。それよりも魔王の居場所を教えてくれんか」

大胆な要求。これではいくらクマルでも通用しない。

「おい! まさか俺が魔王様の使いだと分かった上でのことか? 」

鋭い。ただのバカではないから魔女の口車には乗らない。

「では何も占ってやらんぞ。それではあんたがまずいんじゃないのかい? 」

交渉を続ける魔女。意外にも大胆でこちらがヒヤヒヤする。

クマルの操作を誤ればどうなるか。

ただこれくらいの方がクマルにとってはやり易い? 

年の功? 魔女の杖?


「くそ…… でも俺は魔王様を裏切れない! 」

以外にも忠臣なクマル。立派な態度に心動かされる。

さすがはボクが見込んだだけの男。

「でもいいのかい? それとも金を払うかい? 」

クマルを追い込む。ちょっとかわいそうな気もするが。

「それは…… 」

「だったらどの方角かだけでも」

「魔王城ならここから北西方向に」

「おいおい今の隠れ家の話だろう? 分かってるくせに惚けちゃって」

クマルは粘るが魔女には敵わない。


「その…… ちょうど真横かな」

「東? 西? 」

「東! あの山を越えた辺りが俺たちのアジトだ」

詳しく解説するクマル。いくら粘っても詳しい場所を教えたら何にもならない。

後で厳しく躾けるとしましょう。


「まあいいさね。では占ってやるよ。さあ言ってごらん」

こうしてクマルの人探しが始まる。

「姫の居場所を探して欲しいんだ」

「姫とは? 」

「今日居た姫だよ。覚えてないのか? 」

「ああその子なら…… 新たな隠れ家に身を隠したよ。残念遅かったね」

魔女はボクを守るために適当な作り話をする。

「おい本当か? それでどこに? 教えてくれ。教えてくれって! 」

興奮するクマルを宥めるが冷静さを失ったまま。


「落ち着きなって。恐らく三つの隠れ家のどこかにあんたの探し人はいる」

三つの候補を上げる魔女。


「親戚の家に身を寄せてる。恐らくここから遠くないどこかで姿を変えてるはず。

または南のはずれの荒廃した村のどこかに隠れ住んでるか。

天空にそびえ立つ山のどこか。手当たり次第探せばきっと見つかるさ」


「おおそれはありがたい。さっそく行ってみるぜ。邪魔したな婆さん」

疑うこともせずに外へ飛び出していった。

「婆さん? ふざけるんじゃないよ! 」

せっかく教えたのに恩を仇で返すクマルに怒り爆発。

追い駆けて行くが……


クマルは遠くの空に飛び出していった。


「ふう…… 疲れた。ああ肝心なことを言うの忘れた。

そうだ悪い! まだアーノ姫はここにいるよ! 

隠す前にあんたが来ちゃうからさ」

明らかにわざとやっているのか? 

クマルは予定を教えてもらっただけで現在どこにいるかは聞きそびれる。

それを信じたらしい。本当に単純なんだから。

ボクがそんなところにいる訳ないでしょう?

クマルをうまくあしらったところで眠くなってきた。

でもどうせ彼のことだからまた……


ドンドン

ドンドン

思いっきり叩く非常識なクマルによって目が覚めてしまう。

「ああん? どうしたんだい? 」

「覚えきれねえよ! もう一度頼むわ」

「分かった。分った。今書いてやるから大人しく待ってな」

そう言って三つの候補を書き記す。


これがボクの居場所らしい。早く訂正すればいいのに。ここにいるんですけど。

「助かったぜ! これで魔王様に顔向けができる」

こうしてクマルは去って行った。


もう本当に限界。おやすみなさい。


               続く

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