表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/205

姫を狙う者

魔女の家。

「ちょっと悪ふざけが過ぎましたかね姫様。

わたしゃ魔女のクク。ククミンって呼んでくださいな」

おどける魔女。

「あなたがあの性格が悪くて遅刻魔の妖精の使い魔? 」

妖精とはとことん相性が悪く対立するばかり。

もし仮に妖精の使い魔なら彼女も一筋縄では行きそうにない。


「姫様はお姉様をご存じなんですね? 」

「お姉様って? 」

「はい。尊敬を込めてそう呼んでるんです」

「そう…… 」

どちらかと言えば魔女の方が年上に見えるけれど。

まさかあの妖精見た目に反してお年なのでしょうか?


「ははは…… 姫様も大変だね」

「そうこっちは本当に苦労してるんだから」

「お姉様からはエッチなお兄さんって聞いてましたが…… なんだか印象が違う」

ククミンは鋭い。

「ボクはどうも乗り移った体に影響を受けるよう。だから問題なく姫を演じれる。

それにボクはエッチなお兄さんじゃないし」

「そうですか? でしたら私の助けは不要ですよね? 」

ククミンは痛いところを突いてくる。

それでもサポートするのが彼女の役目だと思うんだけど。


「ククミンお願い! ボクを守って! 」

どう頑張っても魔女である彼女の助けなしではやって行けない。

それに三体を忙しなく移動してるものだからどうしても考える時間が必要になる。

勇者として仲間と一緒にいても難しいし魔王様だと精神的に余裕がない。

やっぱりここで優雅にのんびり過ごしたい。

「そうそう。初めからそう言えばいいんです」

生意気なククミン。姉が姉なら妹も妹。


「ねえあなたって本当にお婆…… 女の子? 」

自己紹介も終え魔女への興味が増す。

「魔女ですからね。女と言いますか…… 厳密にはメスが正しいかと」

この世界では妖精にしろ魔女にしろ存在するもそれは決して人間な訳ではない。

分かり易く魔女としているので誤解されるのだとか。

ククミンは魔女としての誇りから簡単な話を難しく語ってしまう癖がある。

この際深いことは考えずにただ言われたままを聞き入れることにしよう。


「それでククミン。ここは安全? 」

「どうでしょう? 魔王の手下がいつ狙って来るか分かりません。

ほぼ居場所を知られてしまったようなものだからね。逃げるに越したことないさ」

ククミンは心配するがあのクマルなら問題ない。

失敗に失敗を重ねることはあっても万が一成功することはない。

それほど貴重である意味優秀な男。

問題があるとすれば他に姫の存在を疎ましく思う者ぐらい。

とりあえずここでじっとしてるに越したことはない。

ではゆっくりするとしましょう。


「あの姫様。よろしいでしょうか? 」

お付きが戻ってきた。何か発見したのだろうか。

「あああ! またあの化け物が! 」

大慌てでもう何を言ってるのか分からない。

「早く奥に! 」

急いで避難させようとするお付き。魔女も加勢に回る。

一人で隠れることになり疲れからか急激に眠くなる。

ひと眠りしましょうか。


その頃……

「魔王様報告があります」

すべてを取り仕切る魔王様の忠実なしもべで腹心。

信用のおける奴だと考えている。もちろん確証はないが?

「ボグー! 」

「それはおやめください。心臓に悪い」

どうやらこの魔王様がお怒りになってると思ってるのだろう。

我を失った魔王様は手に負えず何が起きるか分からないからな。

心配にもなるさ。だがそれは無用な心配というもの。

魔王様は至って冷静で沈着だ。


「それで調べたか? 」

敵と言うか我が姫のことはどんなことでも知りたい。

それは姫自身が知らない秘密のことまですべて。

やはり姫に惚れてるらしい。

当然だが後で役に立てるためでもある。


「それがどうもアーノ姫は我々以外からも狙われてるようです」

姫と言っていたがどうやらアーノ姫が正しいらしい。

ある意味自分のことを知る絶好のチャンス。

「ほうそれは興味深いな」

確かにあれほどの器量なら我が姫にしたいと思う者は多かろう。

それを実行するかは別として。


「ベルべナード王国が密かに姫の誘拐を企てているとの情報を得ました。

それが何でも国王を思い通りに操って領土争いを有利に運ぼうとの狙いから。

まったく何てゲスな野郎でしょうか? 」

「ははは! 姫強奪しようとしてる我々が言えるのか? 」

「何をおっしゃいます魔王様! 魔王様はいつでも常に正しい。

魔王様こそがこの世界そのものなのです! 」

煽てられていい気分だがさすがに魔王様はそれほど間抜けではない。


「よしベルべナード王国の動向を逐一知らせるように。分ったな? 」

「はいもちろん心得ております」

「それで姫はどうしてる? 」

「それは魔王様がクマルに指揮を引き続き任せたと伺っていますが」

「だからそのクマルはどうしたと聞いているのだ! 」

怒って見せる。少しは怖い魔王様見せておかないと疑われる可能性もあるからな。

「いいか? 起きたことは漏らすことなく何度も報告するように伝えろ! 」

これで多少面倒でもすべての情報を得られる。


                  続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ