エピローグ後編 ノア対魔王様最後の戦い!
【エピローグ後編】
異世界・ザンチペンスタン。
愚か者の乱入でおかしくなった世界に平和が戻った。
しかしその平和も長くは続かず脅かす者が。
「隊長! ノア隊長! 」
勇者・ノアはついに魔王討伐隊の隊長に任命される。
「ありがたき幸せ! ではこのノアが命に代えても姫様をお助けします! 」
「うむ。期待してるぞ」
何と魔王軍によって捕らえられたアーノ姫。
急襲作戦で魔王軍を翻弄しアーノ姫を救出する計画。
もちろん一筋縄では行かないだろう。
魔王軍対国王軍。最後の戦いが始まろうとしている。
「大丈夫なのノア? ついて行こうか? 」
見送りに姿を見せたブシュ―。
「おいおいそんな恥ずかしい真似ができるか! 心配性なんだからブシュ―は。
俺がやられるはずがないだろう? 」
「でも…… 私心配で! 心配で! 」
「ははは…… 大丈夫。きっとうまく行くさ」
「もう! あなたがアーノ姫にメロメロにならないか心配してるの! 」
「済まないブシュ―! 諦めてくれ! 」
「もう知らない! 」
怒り狂うブシュ―を宥めてどうにか出発の準備を整える。
「行くがいい勇者・ノア。アーノ姫を頼んだぞ! 」
「ははあ! ありがたき幸せ! 」
こうして謁見を終えたのも束の間国王から再び声が掛かる。
「待て! これを持って行くがいい! 」
何と鋭く光る聖剣。魔王を倒せると噂の必殺剣・魔剣を授かる。
「よいか。モンスターには無効だ。これは魔王を仕留めるためにあるもの。
決して間違った使い方をするでないぞ! 」
「ははあ! ありがたき幸せ! 」
こうして国王から聖剣を授かり魔王軍のいるカンペ―キ洞窟へ向かう準備が整う。
「行くぞお前たち! 出発だ! 」
「オウ! 」
ノア率いる国王軍の魔王討伐部隊が旅立った。
その頃魔王様は……
「姫はどうしている? まだ騒いでおるのか? 」
「いえ…… 大人しくしております」
「そうかそうか。では予定通り式を挙げるとしよう」
カンペ―キ洞窟の最深部にて魔王様主催の晩餐会が開かれる。
出席者は近くの有力者たち。
彼らの承認があってようやくアーノ姫を妃にできる。
準備が整いアーノ姫着席。
「お召し物を変えずともよろしいのですか? 本当にそのよう貧相な格好で? 」
「放っておいて! どうせ私は契りをかわす気はありませんから」
我がままなアーノ姫。ここまで来ればさすがにもう従うべきだろう。
「ふふふ…… 姫はご機嫌斜めか。まあよい始めるとしよう」
「待ってください魔王様! クマルの姿が見えません」
「クマル? そんな奴は放っておけ! 飯が不味くなる」
「しかしクマルには国王軍の動きを探ってもらっております」
五分だけ待つことにした。その間に姫にはお色直しをしてもらう。
「魔王様! クマルが到着しました」
戻ってきたクマル。その後ろにはノア率いる国王軍の姿が。
「何をしているクマル? 」
「申し訳ありません! 捕まってしまいました! 」
クマルの失態でカンペ―キ洞窟へ国王軍がなだれ込む。
魔王軍対国王軍の戦いが始まる。
モンスターの弱点である火を手にノア隊長が突っ込む。
こうして逃げ出した魔王軍の後始末に掛かる。
敗色濃厚の魔王軍。撤退を余儀なくされる
「魔王様お逃げください! 早く! 」
「しかし…… 」
「早く!
魔王様逃走。
「おい魔王はどこへ行った? 正直に言うんだ! 」
「あっちです」
クマルがついつい教えてしまう。情けない奴だが役には立つ。
「よし。雑魚はそこで大人しくしていろ! 」
「隊長? どうします? 」
「最後の決戦の時だ。お前たちは撤退の準備を頼む! 」
「しかし…… 」
「大丈夫だ! きっとアーノ姫を連れ戻す」
クマルを信じ魔王の元へ。
はあはあ
はあはあ
「魔王覚悟! 」
ついに追い詰めた。この先はもう行き止まり。たとえ魔王でもどうにもならない。
「ふふふ…… こちらには姫が。アーノ姫がいる。さあ大人しくしろ! 」
「汚い野郎だ! まさか俺が怖いのか? 」
「冗談を抜かせ! もしもの為だ。
お前ら人間など魔王様の前では足も手も出んだろう?
何と言っても魔王様は無敵なのだからな。ははは! 」
それでも人質を解放しようとしない。
「魔王勝負だ! このプラチナソードを受けてみろ! 」
「ははは! 馬鹿め! 無敵の魔王様にそんな剣が効くものか!
よかろう。望み通り人質を解放してやる」
そう言うとあっけなくアーノ姫を解放。意外にも紳士的な魔王様。
アーノ姫が安全なところまで避難したところで魔王に向き合う。
「では勝負! 」
「雑魚が! かかってこい! 」
「おっと…… プラチナソードが欠けたようだ。剣を変えていいか? 」
「ふん。好きにしろ! 」
「ではさっそく」
後ろに隠し持っていた魔剣を取り出す。
「待て…… それは魔剣では…… 」
「魔王覚悟! 」
「やめろ! やめてくれ! 」
魔王の頼みを無視して魔剣を振り下ろす。
「貫け! 」
「うおおお! 」
魔剣が見事に魔王を切り裂く。
「助けて…… 」
命乞いをする魔王。もはや威厳など失くしてしまったようだ。
切り刻むとすぐに白い煙が充満。
いつの間にか姿を消すのだった。
こうして魔王消滅により魔王軍はばらばらに。
国王軍が勝利を収める。
「ありがとう。あなたは? 」
「ノアです。アーノ姫」
ノアとアーノついに運命的な出会いを果たす。
もはや二人を遮るものなど何もない。
それから一か月もせずに二人は結ばれるのだった。
こうして異世界・ザンチペンスタンには再び平和が。
<完>
この物語はフィクションです。
後記。
当初のタイトルは『33』で誰が生き残るかだった。
確率は三十三パーセント。ノア・アーノ姫・魔王様の三名。
彼らによる一風変わった生き残りを賭けた戦い。
互いが絡み合うようなり影響し合うとどうやって消滅させないかに変化。
ノアには妖精が。アーノ姫には魔女が。魔王様にはクマルたちが。
目標もなく狭い世界でどうにか遭遇しないように逃げ回った。
鬼のいない鬼ごっこを果てしなく続けている感じ。
だからなのか相手に合わせて動くものだから待機。待ちの時間が多かった。
特にアーノ姫は動きもなく退屈な世界だったので魔女で変化をつけた。
お助けキャラ。
やはりクマルが一番楽しかったかな。お助けキャラと言うより妨害キャラ。
クマルが最後の最後まで関わった最重要キャラ。
トラブル発生。
去年の年末ぐらいから書き出して四月に投稿開始。
二月に世間でも話題になった事故が起き変更も考えた。
しかしマンホールに落ちて亡くなる設定を変えるとおかしくなるのでそのまま。
残業続きで急いで帰ろうとして近道をし気づかずに空いたマンホールから落下。
そのまま寝不足が解消せずに始まりの地で寝てしまい消滅の危機に陥る。
これは変えられない。だから代わりに特別編を用意。
本来はノア失敗でアーノ姫力及ばずで魔王様のターンとなる。
そのまま二人で抱き合って最期を迎える。
ここで終わっていたんだけど諸事情を考慮して女神様降臨へ。
この影響もあって姉妹作である『紅心中』も特別編を作ることに。
そもそも『33』も三十三作目を記念し作られた。だから順番的に『紅心中』が先。
三人(ノア・アーノ姫・魔王様)の誰が生き残るのかがこの物語は始まり。
三十三パーセントの確率。
ただ最終的には一パーセントの愚か者(主人公)が勝つ訳だけど。
他作品。
『紅心中』のファンタジーバージョンと言うぐらい両作品は密接に関わっている。
その一つとしてカンペ―キ洞窟。
参考。
『君の名を。』
お馴染みのアニメ映画。
二人の男女が入れ替わる作品。
こっちは三人が入れ替わる作品。
9月30日現在。
グミさん




