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女神様対真犯人?

現世・サイハテシティー。

愚か者一号の勤め先であり転落現場。

オマワリサンに連れられて女神様ついに仲町へ。


すでに辺りは封鎖されている。

マンホールの周りには多くの花が供されているのがここからも確認できる。

それだけ関心の高い事件。報道陣の数も増え続けているよう。

確かにここ。ここで間違いない。


開けっぱなしのマンホールに吸い込まれるように落下。

事故当時は夜で暗かったので気づきようがなかった。

ふたは今は閉じられてますがこここそが愚か者の最期の場所。

ここでお亡くなりになったのです。即死ではなく水死。

マンホールの地下にたまった泥水に浸かってそのまま。

想像するだけでも涙が溢れそうな凄惨な現場。


ただ正確にはまだ亡くなっていない。

医者が死亡診断書にサインして正式にお亡くなりになる。

まだ仮死状態。ただ現代の医学では手の施しようがない。

後は医師の判断で遺族との最後の別れをするために残された時間。

遺族が遠くから駆けつけた場合最後の挨拶は多少遅れることも。


ここまでが一般的な流れ。人間にはもはやどうすることもできない。

しかし女神様の力を持ってすれば瀕死の者を復活させることも可能。


「どうやら現場検証は終わったようだな」

「それで彼はどこに? 」

「さあ…… そこまでは…… ううん? 」

オマワリサンに連れられてるからかすぐに囲まれてしまう。

「あの…… 関係者ですか? 」

取材カメラが突撃してくる。

「おい! 勝手に撮るのはよせ! この方は一般人だぞ! 」

声を荒げて制止するオマワリサン。守ってくれているようで心強い。

ただ女神様ですからどう考えても一般人ではありません。

それこそどこの誰よりも有名で偉いのが女神様。

だからと言ってどうと言うことではありませんが。


うーん。当然事故現場には愚か者はいない。

まだ収容されてなければ関係者全員愚か者だろう。

だとすれば病院。

病院と言っても近くにはいくらだってある。手がかりがなくては探しようがない。

そんな時は聞けばいい。手っ取り早いのは聞くこと。


「彼が入院してる病院を教えて頂けないでしょうか? 」

「それはちょっと…… 」

オマワリサンは困惑する。


「あーん! 何だお前たち? 」

不審者を見る目でこちらを窺うのは仲間?  

「失礼しました! 実はこの子が…… 」

「ああん? 今忙しいんだよ。見て分かんねえか? 」

現場を荒し怒り心頭。小さな男のプライドが傷ついたらしい。

と言うことはこの人はケイジさん?


オマワリサンが事情を説明してくれる。

「バカかお前は? 身分を証明できない奴をこの神聖な現場に連れてきやがって。

いいから早く追い返せ! 」

オマワリサンは立場が弱いのかただ従うのみ。


「ちょっと! 関係者だって言ってるでしょう? 迷惑が掛かってるんですよ」

「何だお前? 借金取りか? 女か? 」

「いえ女神様です。急いで彼に会わなければならない事情が…… 」

「おいお前! このイカレタ姉ちゃんの戯言を真に受けたって言わないよな?

とんでもない女神様だぜ。ははは! 」

「話を聞きなさい! 今は一刻を争う時なのですよ! 」

つい叱りつけてしまう。


「うるせいな! こっちは忙しいってんだよ。おーい早く! 」

大声を上げるとカメラに追いかけられ彼の仲間と思しき人物が二人が姿を見せる。

その後ろを魂を抜かれたような男が続く。


「ねえどこに? 」

「知らねえよ。仮に知っていても得体の知れねえ女に情報を漏らせるかよ。

せめて名を名乗れ! 」

拒否し続けるケイジ。まさかこの女神様を疑うつもりですか?

「ですから天から参りました。女神様です」

簡単に自己紹介をする。ここでの記憶は恐らく後で消せるでしょうから正直に。

もう時間がない。急がなくてはなりません。


「ふわー女神様と来たか。冗談じゃないとすれば重症だ。

あんたクスリでもやってるのかい? 」

ニタニタ笑いながらバカにしてるのが見てとれる。

「失礼ですよ! 彼に会わせてください! 

彼を急いで生き返らせないと異世界が大変なことに」

もうすべてを告白してしまう。

時間がない焦りからタブーとしてる女神様まで名乗ってしまった。

もう後には引けない。


大丈夫。絶対に忘れてくれます。恐らく忘れるでしょう。

もし無理だったら記憶の抹消をする。

それでも無理だったこの世界を。現世をどうにかすればいい。

ここは住みやすい理想郷などでは決してない。

この女神様が導いてあげなくてはなりません。


「うるせい! どこに入院してるかは個人情報だ。どうしても会いたければ探せ!

もしお前が本気ならぶち当たるはず。俺は忙しい。お暇させてもらうぜ」

そう言って後ろに行く暗い男の話を聞く。

「ほら用件は済んだろ? 早く行った! 邪魔なんだよお前たちはよ! 」


「ねえあなたは入院先知らない? 」

「済みません! 済みません! 」

びくびくおどおどしてる暗く落ち込んだ男。

何を語りかけようとも帰って来るのは謝罪の言葉。

一体どうしたのでしょう?


「ああ? こいつらか? 関係者だとよ」

「ねえあなたはなぜここに? 」

「おい勝手に質問するな! 話を聞くのは俺たちの役目だ」

どうやらこの人は今回のマンホール落下事故の犯人。


「俺が悪かったんだ。つい閉じ忘れて確認も怠った。うわーもうお終いだ! 」

未来を悲観する犯人。

「悲観してないで入院先を教えなさい! 女神様の力で復活させてあげる」

もうこの男に頼るしかない。


「どこ? どこなんですか? 」

「分からない。分らないんだ! 」

そう言って泣き崩れる。

「おいおい女神様が泣かすんじゃねえよ! 」

ケイジはちっとも進まない苛立ちから強く当たる。


「教えて! 今どこにいるんです? 復活させなければいけない」

目的を伝えた。それでもまったく協力しない男を諦めて違う手を考えるしかない。


                 続く

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