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女神様降臨! (逆)羽衣伝説

始まりの地ではひと騒動あったものの留守役の妖精の活躍で侵入者を撃退。

こうして一応の平和を取り戻す。


現世。

偉大で慈悲深い女神様はその頃東の果てへ。

そろそろ着陸していい頃合い。


東の果てまでやって来た。これからは人伝に彼の元へと。

なるべく急がなくてはなりません。それもこれも彼の失態によるもの。

それを女神様が直々に尻拭いをする。何だかおかしな展開。

彼とは妖精に愚か者と称されたあの方。

異世界・ザンチペンスタンを消滅の危機に陥れた張本人。


彼の住んでいた東の果てサイハテシティーを目指している。

どうもこの格好では目立って仕方がありません。

パニックになられても困るので何か着るものがあるといいのですが。

そうだ。怪しまれることのないようにこの土地の衣服を身に着けるとしましょう。


裸で降臨。

さあまずは着物探しから。

なるべく人の少ない山奥に降り立つ。

「おい姉ちゃんまだ昼だっての。へへへ…… 」

昼間から酔っぱらいのおじさんに注意を受ける。

「申し訳ありません。私急いでおりますので。それでは」

この際適当にあしらってもいいでしょう。

一刻も早くあの方を見つけ出さなければいけない。

タイムリミットも迫る中で余計なことはしていられません。


一つ大事なことが。ここに降り立って臭いが。鼻まで利かなくなってしまった。

緊急事態。どうしたらよいのか? 

「だからって穿かないのは反則だぜ。ひひひ…… 俺は一向に構わんけどよ」

ダメ。嫌らしい目つきで舌なめずり。もうどうしようもない人?

やはりこの格好が刺激的過ぎたのでしょう? 

「あの…… 東の果てのサイハテシティーまで行きたいんですが」

「ああん? どこだって? 」

困った。ここではないようです。急がないと間に合わないのに。


「おーいそこの者! 何をやってるんだ? 」

警棒を持って走って来る目つきの悪い方。

「まずいよ姉ちゃん。あいつに目を付けられたら捕まっちまうよ」

酔っ払いのおじさんのアドバイスを受け逃げる。

最悪空に逃げれば追って来れないでしょう。


「おお頑張れ姉ちゃん! あり…… 消えた? 幻だったのかな? 

これはタヌキかキツネにでも化かされた? 違いねえ違いねえ。さあもう一杯と」

酔っ払いは気分よく消える。村に戻っても誰も相手にされない。


「おい! そこに素っ裸な女がいてよ…… それが凄い美人なんだ」

「いやそれはあんたの妄想だって。誰も信じないさ」

「それもそうだな。では今日も平和で退屈な日々だな」

こうして危うく捕まるところを酔っ払いの勘違いで回避。

大騒ぎになることはなかった。


さあ急ぎましょう。

私は構わないのですがこのままだと大騒ぎになる。

仕方ない。ここは思い切って着物を調達するとしましょうか。

一人の女性に目が留まる。

こんな人の少ない寂しそうなところで一人で何をしてるのでしょうか?

怪しげな女性の後を追いかけることに。


眩しい?

大きな湖が見えた。

太陽が反射してキラキラして神秘的な世界。

うん? 女性は歩みを止めると辺りを見回す。何かあるのでしょうか?

私としてはその衣を頂けたらなと考えている。


ダメ。どう言い訳しても無理そう。交渉するのを戸惑っていると好転。

いきなり衣を脱ぎ捨てて湖に入って行く。

こちらから見えなくなるまで歩きついには姿を消す。

さあどうしましょう? ここは心を鬼にしてその衣を奪い去るとしましょう。

躊躇せずに置いてある衣を奪い去る。

うん大き過ぎず小さ過ぎず。

ちょうどいい大きさの服が手に入りました。

これでこの世界でも違和感なく安心して過ごせる。

うん悪くはありませんね。さあ急ぎましょうか?


しかし運の悪いことに沐浴の彼女がかけて来た。

「ごめんなさい」

その言葉を最後に旅立つ。

罪悪感がある。

でもこれも彼の為にやったこと。ある程度は仕方ないと割り切るしかない。

すべてはザンチペンスタンの為。多少の無茶と危険は仕方ない。

「待って! その衣を返して! 」

気づかれたらしい。これはちょっとした出来心。

服がなかったので調達したに過ぎません。


追い駆ける女性。堪らずに大声を出したことで大ごとに。

さあどうしましょう?

その時だった。思いもしないところから助けが入る。

「おいこっちだ! 急げ! 追い付かれるぞ! 」

手を取り共に走る。まさか女神様だと感づかれた?

もしそうであるならば危険極まりない展開となる。

どうしましょう? 逃げなければ捕まる。

逃げてもこの方が信用に足る人物とは限らない。


「あの私…… 」

「ほら静かにしてろ! 」

言われるまま見知らぬ男と逃避行の旅。

きゃああ! もうダメ……

女神様は歩かない。ましてや走りはしない。

いつも意識すれば勝手に体が動いてくれるからそれに慣れてしまった。

まさか走るだなんて何年ぶりでしょう?


「大丈夫か? 」

「いえ息がもう苦しくて苦しくて」

女神様はもう限界。

「仕方ないな。もうすぐ俺の家だ。急げ! 」

ああ…… 足が……

きゃああ!

つい女神様らしからぬ情けない声を出し地面に倒れる。足がもつれたらしい。


うおおおお!

後ろを振り返ると男たちが鬼の形相で何か喚いている。

まさか女神様に癒しを求めている? それならば応えなければいけませんね。

「あの皆さん…… 」

「おい何をやってる? こっちだって! 」

親切な男に引っ張られるまま家に。


ここが男の家。そして彼がここの村の者だとすれば彼の立場がない。

私を助けたばかりに危険に巻き込まれるでしょう。

それは女神様としては不本意なこと。

ですが土地勘も女神としての能力をほぼ失った今頼るしかありません。


                 続く

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