表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/205

アーノ姫奪還作戦

魔女の好意に甘えて匿ってもらうことに。

「なりません姫様! 」

どこまでも粘るお付きの者。でもここで絶対に折れてはいけない。

もし勇者と会えば…… もう一人の自分と会えば何が起きることか。

いえ分かっています。この世界が消滅するのです。

それだけはどうしても避けなければならない。


怪我が治癒するまで滞在する旨を書き男に託す。

「ではお願いします。これを国王様の元へ」

「分かりました。姫様の強い意志だと伝えましょう」

男はどうやら納得したらしい。

これはネガティブなものではなくポジティブなもの。

決して運命から逃げる訳ではない。


揉めに揉めたがどうにか決着。

「もう知りませんからね姫。私は最後の最後まで反対したんですから。

それだけはお間違いのない様に。まったく誰に似たんだか? 頑固なんだから」

立場を弁えないで嫌味を言う。本来姫様には絶対服従なのでは?

それとも甘やかすなと日頃から言われている?


「ええ…… ボクっぽいの? 誰に似たってそれは…… 」

「いえ失礼しました。姫は優しく気品のある情熱に溢れたお方かと」

冷静さを取り戻しどうにか取り繕う。

まあいいか。これくらいどうと言うことはない。


「それでどうします? あなたもお話なさいますか? 」

「いえ姫様だけでお願いします。私は周りを見て参りますので」

緊急事態に備えるとのこと。頼りになる存在。

どうやら魔女への警戒心も解けたらしい。

でも本当に信じていいものか少々不安になる。


「どうしたんだい? お話しようじゃないか姫様」

そう言うと豹変して口を塞ぐ。

「ううう…… 助けて…… 」

ちょっと何でこんなことを…… 魔女違い?


 

勇者・ノアのターン。

宮殿内は大慌て。

「どうしたんだ? 騒々しいぞ! 少しはのんびりしようぜ」

「それが何でも姫様がモンスターに襲われたらしいんだ」

仲間はそれ以上の情報を持ってない。

当然だろうな。まだ男が戻って来てないのだから。

馬車を飛ばせばもう着いてもおかしくない頃合い。

とは言え歩きだからな。まだまだ時間はかかる。


それにしても姫は大丈夫か? いきなり魔女の婆さんに襲われるとは。

そこで意識を失った。姫の安否が気がかりだ。

おっと俺にはどうすることもできないんだよな。


もう一つ気になることが。

今までは順番に変化していった。女神様のところは無視しても次は魔王様のはず。

一体どうして勇者に戻ったんだ?

順番ではなくランダムなのか? それとも何らかの法則があるのか?

今のところまだ何一つ分かってない状況。

 

「なあ何か変わったことはなかったか? 」

「ああそれならお前が動じなかったのが意外だったさ。

いつからそんなに度胸が? 村ではあんなに臆病だったくせに」

どうやらこの男とは同郷らしく昔から交流があるらしい。

しかもこの言い方からすると舐められてるな。

この世界を救うはずの勇者がそんな弱虫で情けないとは意外。

だがそうだとしてもごまかせただろう。抵抗しなかったからな。


これ以上追及されると厄介なので話を変える。

「おいおい。勇者だろ俺たち? それにここは宮殿。考えれば分かること。

そんなことより国王様はどこに…… 」


ざわざわ

ざわざわ

どうも騒がしいな。何か様子がおかしいぞ。

姫が襲われたからってどうってことないのにな。

「どうした? 」

事情を知ってそうな男を捕まえる。

「ああ。今姫様救出作戦を話し合っていたところだ」

どうやらもう全員に伝わったらしい。しかも囚われたと思ってるから始末が悪い。

真実を伝えるべきか? でもそうしたら作戦が台無しに。

姫が連れ戻されたら終わりだ。


それに俺が知ってるのはどう考えてもおかしいよな。

留まらせるにはどうしたらいい?

「もう少し待った方がよいかと」

宮殿に集結した戦士。元々魔王討伐に来た訳だから何の迷いもない。

仮に国王命令がなくても勝手に動く場合もあるだろう。


でもここで派手に動かれて戦士が減るのが一番痛い。

姫が囚われたと作戦も立てず闇雲に突っ込んでは戦士がいくらあっても足りない。

それに俺が魔王に遭遇する恐れも。ほぼ確実。

隊長が行けと言ったら進むしかない。それが戦士であり勇者。

俺は国王のためにこの身を捧げるつもり。だが身を捧げるにも限界がある。

できることとできないことがある。それを正直に伝えるべきだろう。


「怖気づいたか臆病者め! 」

慎重を要すると言うのに人を貶すだけで頭を使わない。

俺もそっちの方がどれだけ楽か。でもそれでは国王様は喜びはしない。

俺は国王様に認めてもらい立派な戦士になるのが恐らく夢。

それはこの辺りの者なら誰でもそうだろう。だから繰り返す。

「気持ちは分かるが慎重に。もう少し状況を見てからでも。待とう」

これで疑われずに済む。下手に疑われると後で何かと面倒。

今は皆と足並みを揃えることに集中すべきだ。


この世界の真実を知り得るのは妖精と俺だけ。妖精か……


混乱する中で一人中庭へ。


                 続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ