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決着!

決着の時。

カンペ―キ洞窟の最深部。

魔王の策略により眠ってしまうも魔女に叩き起こされ事なきを得る。

これで当初の予定通りノアと魔王を手に掛ければ消滅回避できる。


残り百を切った。もう三分もない。二分あるかないか。

「さあもうフィナーレよ。これ以上無駄な抵抗は止しなさい! 」

「よかろう。その心意気に惚れたぞ。では大人しくやられるとしよう」

そう言うと覚悟を決めたのかじっとして動かない魔王。

これが魔王からの慈悲なのかただの嫌がらせなのか?


「それでいいの。大人しくね。ノアもいい? 」

「ああ。問題は凶器だろうな」

そう。ノアが指摘したように魔剣はあってもノアを倒す武器がない。

これではいくら二人が受け入れようとどうにもならない。

「仕方ない。これをやろう」

毒薬・デスフラワーを手渡す魔王。

なぜか協力的な魔王。気持ち悪いぐらい協力的。


「本当にいいの? 」

「ははは! タダと言う訳には行かないな。頬にキスをするんだ」

余裕の魔王は卑劣にも交換条件を出す。時間がない以上受け入れるしかない。

さすがは魔王だけあって抜け目がない。人の弱みに付け込む嫌らしい男。

「分かった。キスでも何でもすればいいんでしょう? 」

こうしてまんまと魔王の策略に乗りキスをしデス・フラワーを淹れてもらう。

あーあ何と言う屈辱でしょう? 好きでも親しくもないのにキスする。

こんなふしだらな姫をどうかお許しください。

さあこれで準備万端。後はノアに飲んでもらうか無理やり飲ませるか?


六十秒。残り一分を切った。

「急いでノア! 早く飲んで! 大丈夫。何も心配することはないから」

悪いとは思うがこれも仕方ないこと。

できるなら自分の手で何とかしてあげたかった。

でも武器がない以上これしか方法がない。


「俺には無理だ…… 」

この期に及んでまだ逃げようとする勇者・ノア。通用するはずがありません。

もしそうならばなぜこんなところに来たのか? 

今更怖気づいて拒否されてもどうにもならない。ただただ困るだけ。

「ふふふ…… もう五十秒を切ったぞ。もうそろそろタイムアップか? 」


魔王のターンではどうにもならない。分かっていながら進まない。

進んで行かないもどかしさがある。

「ごめんねノア…… 」

ノアの口を無理やり開けて飲ませに掛かる。

これが正しいのか間違ってるのかはどうでもいい。今はとにかく毒殺するしかない。


「ほら抑えなさいよ! 」

魔王に動きを封じてもらう。

なぜ私はこんなことをしてるのでしょう?

魔王に魂を売って世界を救おうと思ったのにそれさえもうまく行かない。

どうしてこうなってしまったのだろう? 後悔の念が押し寄せて来る。


カウント四十秒。

ゴホゴホ

ゴホゴホ

強引にデス・フラワーを飲ませようとしたが吐き出してしまう。

嘘…… そこまで抵抗することないでしょう?

「待ってくれ! 」

「待てるはずない! もう時間がないの。我がまま言わないで! 」

必死に説得。でもノアは拒み続ける。

これが勇者なの? 主人公なの? あまりにも情けない。

「待ってくれ! 私の話を聞いてくれ! 」

そう言うとノアはようやく真剣な表情になった。


「アーノ姫は女神様の言いつけでこんなことしたんだろう?

でも信用していいの? もしかしたら殺し合いをさせるためにやったかもしれない」

とんでもないことを言いだす。

「馬鹿じゃないの? この期に及んでまだそんなことを言う訳? 見損なった! 」

「そうだな。この魔王様も弁解できないな」

「うるさい! よく聞いてくれアーノ姫! 

魔女にしろ妖精にしろ女神様だってどこに信用が置けるんだ? 」

この異世界のルールを疑いだすノア。彼も必死。


カウントはついに三十秒を切ってしまった。

「うるさい文句言わない! 急ぐわよ! 」

「もう諦めよう! 無理だって! 」

「ははは…… 面白い。面白い」

「約束しろ魔王! 次のターンになったら最後まで時間を与えると」

ノアは情けないことを言い出す。今から命乞い? 

「いいだろう。楽しませてもらったお礼だ。約束しよう! 」

こうしてノアが勝手に約束を取り付けてしまう。

「もう時間がない! さあ早く飲みなさいったら! 」

ノアに命令するも動く気配なし。


残り二十秒になって急展開。

「済まないね。時間切れらしい」

そう言って申し訳なさそうにやって来たのは魔女。一体どういうこと?

「時計が一分遅れてもうタイムアップなのさ」

「ウソでしょう? こんな大事な時に遅れる? 」

「今気づいたんだよ。悪かったね。

でもギリギリまで渋ったからこんな事態になったんだからね」

魔女は言い訳をする。


「そう言えば時計は十二時になってますね。間もなく一分だ」

ノアが時計を確認。

いつの間にそんなお洒落な時計を?

「これ…… 実は幼馴染のブシュ―から。大切な宝物さ」

ノアは命拾いをした。

「待って。だったらギリギリで処分しようとしても…… 」

「ああ恐らくタイムアップだっただろうね。いわゆるやられ損って奴だね」

「そんな! 」

こうして世界は三日目へと突入する。


「今は意識があるように見えるがこれはもう夢の世界だからね。

さあ頑張って! 最後まで諦めないでね二人とも」

魔女はそれだけ言うと姿を消す。

いつの間にか魔王も役割を終えたのかいなくなっていた。


さあ三日目に行こう。地獄の十三日目に突入だ。

「済まないアーノ姫…… 俺にはどうすることもできなかった」

「ううん。ノアのせいじゃない! すべてギリギリで済まそうとした私のミス」

「ありがとう。そう言ってくれると助かる。俺もこれで行くね」

こうしてノアも姿を消す。


もうダメ…… 私もここで。


                 続く


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