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十二日目 まさかのアーノ姫のターン

最後の三日間。第二日目。アーノ姫編。


まさかまさかの十二日目。アーノ姫のターン。

勇者・ノアから託されたバトンを受け取ったアーノ姫。


ううう…… ここはどこ? 

ついにアーノ姫目覚める。


どうやら廃屋に戻されたみたい。

この後お父様…… 国王と感動の再会が待っている。

うーん。面倒臭いな。スキップできない?

どうやら変更不可らしい。

こんな大事な時にそんな余計なことに構ってられないのですが。

でも仕方ないか。これも試練だと思ってこなしましょう。


時刻は五時を過ぎたところ。

タイムリミットまで十九時間を切った。

さあまずは魔女を探さないと。どこかにいるはず。

「行って来るよ! 今日も遅くなるからね…… そうか姫様は聞いてないか」

目の前に! まるで悪口のように独り言を呟く困った魔女。

まずい。出掛ける寸前。ここで捕まえないとノアとの約束を果たせない。


「待って! 」

ドアを勢いよく開け魔女を吹っ飛ばす。

「ちょっと何だい? 老人を何だと思ってるんだい? あいたたた…… 」

オーバーに驚いて苦しんで見せる。

「まったく何をしてるんだい…… 」

魔女の説教が始まる。今はそれどころじゃないのに。本当に困った人。

こんな時ばかり老人ぶって痛がるから始末に負えない。


「終わった? 」

「何を! 聞いてなかったのかい? 呆れるね」

もう一度説明しようとするのでストップさせる。

私も当然魔女だって忙しいはず。

こんな朝の忙しい時に無駄な時間を過ごさせないでよね。

ただでさえ時間がないと言うのに。

今日はいつもみたいにのんびり読書してお留守番していられない。


「それで急いでどうしたんだい? 」

気になったから聞いてやると真剣なまなざしの魔女。何だかんだで頼りになる。

「あなただって妖精から聞いてるんでしょう? 

さあふざけてないでいい加減協力してよね」

「ああ。だからこそのんびりはしてられないよ」

「お願い頼みを聞いて! もうあなたしか頼れないの! 」

泣き落としで魔女を本気にさせる。

「もう分かったよ。初めからそのつもりさ」

心強い味方。でも初めからそのつもりならふざけてないで黙って協力してよね。

こうして姿が見えなくなる魔法を伝授してもらうことに。


「バニッシュさえ使えばできなくはないが…… 」

「一日じゃダメなの。この世界が消滅しないようにずっとお願いできない? 」

図々しい頼みごとだと理解してるつもり。でも私にはもう頼れるのは魔女だけ。

聞いてくれるまで離さない。しつこく頼み込む。

もう今は姫だとか女だとかに拘っていない。

どんな手を使ってでも消滅を回避して見せる。


「うわ…… 面倒な姫様だね。分かったよ。ならば覚悟はできてるんだろうね?」

魔女は試すような物言い。

「覚悟…… どのみち明日ですべてが終わり。消滅するかどうかが決まるの。

もう覚悟はできてるつもり。迷うつもりはありません」

強い意志を伝える。もう戻れないと理解してる。だからこその賭け。

「分かった。だったら協力しましょうかね」

魔女は己に掛けた封印を解く。

大魔法を使うためにはその儀式がどうしても必要になる。


「では三十分ほど時間をもらうよ。それで大魔法が使えるようになるから」

お父様を待たせるのは忍びないですがここは魔女を優先させましょう。

「それでどうするつもり? バニッシュでは長くやれないんでしょう? 」

「ふふふ…… この魔女を舐めてもらっては困る。私は誇り高き魔女だよ。

さああんたは精神統一でもしてな」


こうして三十分が経過した。魔女のあの自信なら問題ないはず。

「ではぼちぼち始めようかね」

大魔法を解放した魔女は光り輝く。

そして一気に老け込む。

「ふう大魔法を使うと三歳は年を取るからね。大変なんだよ」

魔女のとっておき。大魔法の解放の準備が整ったらしい。


「では始めようか。そこに立ちな」

動くなと警告して手をぐるぐる回転させる。

そうするとあら不思議。風が吹いてきたではありませんか。


バタバタ

バタバタ

風を感じるとすぐに目が開けられないほどの強風へ。

「バーニッシュエターナル! 」

いきなり呪文を唱える。

それから五分間同じ態勢で呪文を叫び続けようやく完成する。

纏った光が消え元の魔女に戻る。

なぜか光がこちらへと移動した。


「ほら成功だ。これで光り輝く。

この光が消えた時に本当に消えてしまうから気をつけるんだよ」

「ちょっと待って? 私の存在が消える? 」

「大丈夫。月の光によってその姿は輝く」

どうやら完全に消える訳ではないらしい。


「後は姫次第さ」

「どう言うこと? 」

「伝説の剣で魔王を倒すのはあんたさ。あるいは勇者を倒してもいいよ」

魔女はすべてを理解してこのバーニッシュエターナルを授けてくれたらしい。

確かにこれなら魔王さえ倒してしまえばいい。

二人の姿が消え一人が残るので消滅は回避されるはず。

ただそれは計算上のこと。その上すべてこの魔女を信用したとして。不安が残る。


バーニッシュエターナルはそれほど素晴らしいものらしい。

あれ待って? だったらなぜもっと前に提案してくれなかったの?

当然女神様も妖精も魔女の能力を知ってるはず。


               続く

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