表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

141/205

魔剣と魔王様

カンペ―キ洞窟第二エリアへ。

私はアーノ姫だけでなく魔王様も倒さなければならない。

逆に言えば魔王様を倒さなかったらアーノ姫は無駄死になってしまう。

ただそれだけでなくこの世界は消滅するのだが。

それは今までのすべてが失敗に終わると言うこと。

十日間がまったくの無駄になってしまう。

それだけはそれだけは絶対に阻止しなければならない!

魔王様はこの私が倒す! 


魔剣は確かに有能だ。だがそれは魔王様にとってのみ。モンスターには効かない。

まあモンスターなら自分の力でどうにでもなる。弱点が火なのも理解している。

そう魔王様とモンスターでは倒し方がまったく異なるのだ。

不死身の魔王様を消滅させるにはどうしても魔剣の力が必要になる。これが鍵。

だから魔王様自らが国王討伐には向かわない。

手下のモンスターに任せ国を乗っ取らせてからゆっくりと。


そのための第一手段がアーノ姫と言う訳だ。アーノ姫を利用し国王を操る。

弱点である忌々しい魔剣を手に入れ無敵となった魔王様は世界を。

そしてこの世界ごと我がものにしようとする恐ろしい計画を実行。


国王としても魔王様が攻めて来なければただ少し強いモンスターに苦戦するだけ。

それは数さえあればどうにでもなる。

しかし年々兵士の数が減っていきついにはまともに戦えないほどの差にまで。

問題は国王側としては魔王軍だけが敵ではないと言うこと。

本来なら人間が共闘してモンスターをぶっ潰すべきなのにそれができない。


人間同士がいがみ合ってる隙に魔王軍は徐々に力を蓄え悲願達成に動き出した。

それがこの世界に転生する前までのお話。

村々から集めた役立たずも数の論理ではプラスに働くからな。

おっと考えごとしていたらモンスターのお出ましだ。

では一つお相手してやるとするか。


「お前は人間か? 珍しいなこんなところで」

一体のモンスターが話しかけて来た。

こいつも前回の奴ら同様親切なモンスターなのかな?

そんな風に幻想を抱いてると唾が飛んできた。

どうやら好戦的らしいな。残念だよ。ではさっそく反撃するとしますか。


ファイヤーをお見舞い。

「うおおお! 何をしやがる…… 」

断末魔を残して燃えカスとなったかと思ったら何と分裂を始めた。

あれ…… 話が違うじゃないか。モンスターは火に弱いんだろう?

分裂するなんて聞いてないぞ。

一匹が二匹に四匹にと増えて行き最終的には八匹にまで。


「お前は魔王軍だろ? なぜファイヤーにやられない」

決して話が通じるような相手ではないが私にはクマルたちを手懐けた実績がある。

この化け物だってどうにかなるさ。いや…… して見せる。

「何を言ってるんだ? 魔王軍など知らない。

ただここを訪れる生き物を餌にしていただけだ! 」

どうやらこいつは魔王軍などではなくここのフロアのラスボス的存在。

あるいはよくいるこのダンジョンのマスター。洞窟の主ってところか。


「なあお前を倒したら最深部まで行けるのか? 」

「おいおい俺を倒す気か? 仮にできても兄ちゃんがいる。

結局は食われる運命なんだ。諦めて大人しくしてろ! 」

とんでもないことにこいつの上にももっとすごいのがいるらしい。

ハッタリじゃないとしたら骨が折れるぞ。


「ちなみに聞くけど。魔王様とはどっちが強いんだ? 」

「魔王様? 何だそいつは? 食っちまうぞ! 」

ダメだ。話にならない。分裂して喋るものだから聞き取り辛くて仕方がない。

「ほらもういいだろう? 諦めなっての。大人しく食べられなって」

こうしてムシャムシャ食べられ悲惨な運命を遂げるのであった。


お終い。


あれ…… これはいくら何でも酷過ぎるな。

私は化け物に食われるために転生してきたのではない。

ムシャムシャ食われたと思ったらどうやら幻覚のようだった。


「なぜだ? 確かに食ったはず」

私も化け物もまるで憑りつかれたかのようにお互いを見回す。

食っても食ってもそれは幻覚で目の前の餌はそのまま。お預けを喰らっている。

腹が空いて涎だって垂らしてるはずなのにそれでも食われることはない。

こちらとしても食いたくもないが食われたくもない。


「参った! 俺にはどうすることもできない。行ってくれ! 」

こうしてダンジョンマスターだか洞窟の主だかは戦意を喪失した。

まあいいか。私にもこいつを倒す力はない。

お互いどうすることもできない。引き分けだろうか?


「それでついでだから最深部の行き方を教えてくれ」

勝ったわけではないので頼みにくいがしつこくされるのが面倒だと教えてくれた。

「いいか。俺の後ろの道はお前の言う最深部に繋がってる。

だがその最深部には兄ちゃんがいる。残念だが倒さないとそこの扉は開かない」

要するにこのダンジョンのラスボス的存在で本当の意味で番人。


「無敵の番人を倒す術はないからおすすめしない。

当然これ以外にも最深部への行き方がある。今からでも遅くない。引き返せ! 

西ルートの他に東ルートがあるし直接外から繋がってるからそこからでも。

ただ外からだと選ばれた者以外は入れないらしいぞ」

ペラペラと秘密を喋ってくれるからありがたい。

クマル程度には使える。


「ちなみにどれくらい? 」

「ああここから戻って迷わずに東ルートで行けたとしても半日はかかる。

明日の朝までには着けるだろうさ。急げば夜明け前に着ける」

太鼓判を押す化け物。有り難いがそれでは遅い。遅すぎる!

深夜零時には絶対無理ではないか。これでは戻っていられない。

だったら選ばれしルートを使うか? それも不確かだ。

実際ボクはそこからいけなかったっポイからな。


                 続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ