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カンペ―キ洞窟の秘密

謎の迷い人。

そう言えば見たことがあるような。

どこかで…… どこだったんだ?

「まさかあの時の酔っ払い? 」

確かカンペ―キと散歩した際に偶然通りかかったイカレた酔っ払い。

魔王様の変装だとも気づかずに失礼な態度を取り続けた愚か者。

挙句には怖い顔を何とかしろと絡んで来た。


カンペ―キもいたから堪えたがあの時の恨み決して忘れはしない。

ここで出会ったのも何かの縁…… 話を聞くことに。

「俺はシラフだ」

酔っ払いのくせに自分はシラフだと言い張る。ただの嘘つきじゃないか。

酒癖と往生際の悪い男。恨みを晴らしてやる。

おっと…… これは魔王様の記憶。勇者・ノアとしては被害を受けていない。


「それであなたは何でここに? 」

「ああ。俺はこの辺の洞窟を調査してる洞窟探検家だ。よろしくな」

どうやらただの酔っ払いではないらしい。

はっきり言ってどっちでもいいが貴重な情報が手に入るなら文句はない。


自己紹介を終え本題に入る。

「何でこんなところに? 」

この際この男の事情などどうでもいいが一応聞いてみる。

「実は彷徨ってしまって…… ここには誰も来ないだろ? だからそのままさ」

大した地図もなく超難度のカンペ―キ洞窟を探索しよう何て命知らずな探検家だ。

私も似たようなものだけど地図を持ってるからな。


「ちょうどいい。このカンペ―キ洞窟の秘密を教えてあげよう」

ようやく会えた人間に興奮しいろいろしてくれるのはありがたいが余計なこと。

どう断ろうか迷っていると勝手に長話を始めてしまう。


「元々この洞窟は異国に繋がっているらしいのだ。

異国がどこを指すのかは今のところ不明。

ただのよその国と言う訳ではないらしい。もっとこう超時空的な話。

詳しくは研究してみないと分からない。ただ一つ言えるのは常識は通用しないと。

とにかくこの洞窟をクリアすれば新たな世界が開けるのは間違いない。

それには情熱を傾け続けるしかない。どうだ二人で一緒に? 」


一緒にだと? 冗談じゃない!

間もなく崩壊しようかと言う時にのんびり洞窟の研究などしてられるかよ。

「ぜひとも。この世界が消滅の危機から回避できたら喜んで」

このおかしな爺さんにぐらいすべてを告白しても問題ないだろう。

偏屈で洞窟に生涯を捧げるような変人ならいくら言ってもパニックにならないさ。


「それでだ…… 昔ここにカンデとウミンチュの…… 」

またしても余計な話。どうでもいい話を延々と勘弁してくれよ。

こっちは時間がないんだ。

「そんなことよりどうして危ないと? 」

「ああそれか。実は仕掛けがあるんだよ」


第二ゾーン入り口の鉄の扉に触れると電流が流れる仕組み。

何も知らない奴が勝手に入らないようにそうなってるのだとか。

では実際に鉄の扉に触れてみる。


ビリビリ

ビリビリ

一瞬意識を失った気がした。

すぐに手を放し事なきを得る。

「どうすればよろしいのですか仙人様? 」

煽てて気持ちよくしてから話を聞く。

「フォフォフォ…… それは簡単なことよ。これをよく見るがいい」

そう言ってゴム手袋を手渡される。


これは一体?

「そのゴム手袋を嵌めればいいのだ。この手袋は電流を通さない」

洞窟探検隊を名乗る風変わりな男の言う通りにして急いで鍵を回す。

「ここを教えてくれた気のいいモンスターは私を嵌めようとした? 」

酔っ払いに聞いたところで分かるはずないのだがどうしても意見が欲しい。

「知らんな! 単にモンスターには効果がないから気にも留めなかったのでは」

そうこの仕組みは対人間用にできてる。


「ありがとう酔っ払い博士! 」

礼を述べて第二ゾーンへ通じる扉を開閉する。

さあ期待を胸に第二ゾーンへ。


「あの…… 一緒に行きませんか? 」

ここまでしてくれた者を放っておく訳には行かない。

「いやいい。俺は確かに洞窟探検家だがこれ以上進むのは違うと思ってる。

できればこの辺りの地図があると助かるんだけどな。ついでに酒も」

迷い人はもう不要となった地図をもらい受けて大喜び。

これで恩を返せただろうか?


第二ゾーン。

さあここからが本番。

しかし女神様も粋な演出してくれるぜ。

いくら出会えなかった二人だからって最後の最後まで会わせないんだから。

てっきり国王との再会を終えたらすぐにでもと思ったのに。

でもきっとすぐに会ったら後悔したんだろうな。

だってタイムリミットの深夜零時まで何時間あると思ってるんだ?

その間中葛藤し続けることになる。それは決して耐えられはしない。

だから私にとってはこれで正しかったんだろうな。


うん…… 待てよ? そうだった。姫を手にかけるだけではダメなんだ。

辛い現実から目を背けていた。

しかしよく考えれば姫だけでなく当然魔王様も倒さなければならない。

そのための剣はきちんと背中に。

秘剣である魔剣を魔王様に突き立てれば奴はあっけなく消滅するだろう。


この剣は国王の言うところの伝説の剣って奴だ。

魔剣を使い魔王城に乗り込んだ伝説の勇者が魔王城と共に魔王を消滅させた。

しかし魔剣は何者かの手によって復活。魔王城も新しく立った。

それを知った現国王の当時まだ王子。

父の国王と共に魔王城を攻め入り封印した魔剣を手に入れた。

魔王様が手が出せずに今に至る理由だ。

                 続く

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