表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

122/205

ミッションコンプリート

ミッションコンプリート。


おおお!

いきなり始まりの場所に戻される。

<よくぞ見つけましたね>

大喜びの女神様が華麗に舞う。

妖精も目障りなほど飛び回り絡む。

「やった! さすがは私が見込んだだけのことある」

バン!

「痛…… ちょっと何をするのよ? 」

「悪い。つい鬱陶しく飛び回るから反射的に手が出てしまった。悪気はないんだ」

下手な言い訳をするが機嫌がいいのか笑って許してくれた。


<よくぞやってくれました。これで間に合います。すべてを犠牲にすれば…… >

女神様はとんでもないことを言いだす。

すべてを犠牲に? やはり運命は逃れられないのか?

「それであの子はどうすれば? 」

もう女神様に頼るしかない。魔王がもう一人を閉じ込めたように方法があるはず。

今までは見つけ出すことに尽力していた。でもこれからはあの子の処遇に移った。

これが我々の今の課題。そして女神様は解決策を授けてくださるはずだ。

きっとそうだ。そうに違いない。

確か複数の体に乗り移っても二人ならどうにでもなったはず。

稀ではあるがないこともなかった。


<そうですね…… >

そこで止まってしまった。意識を失ったのではと思うほどの長考を終え口を開く。

<どうするかはこの女神様にもさっぱり>

自信喪失の女神様は頭を抱えてしまう。

「もうあんたも人任せにしないで自分で考えなさいよ! 」

女神様に代わってアドバイスをする妖精。しかし何の役にも立たない。

それどころか場の空気が悪くなっていくばかり。


<申し訳ありません。こんなこと稀ですぐにどうすればいいか判断つきかねます>

女神様は自信がないようだ。前代未聞のことに参ってしまっている。

「あの魔王様が捕まえた島に送ると言うのはどう? 」

「それは難しいって。どうやって連れて行くかは魔王軍に任せるしかない」

大変デリケートで扱いは難しいらしい。それを魔王軍にやらせればどうなるか。

二人を同じ場所に閉じ込める手も。要するにすぐに一人の体になってもらう。

それには相当な労力が必要。


二度と出会えないように世界の端と端にそれぞれを閉じ込める方法も。

常に監視する必要があってリスクが高い。

または残念ながら二人を抹殺するか。

そのどれかを選択するのが自分の役目だと。

安全策なら二人を抹殺するのがいい。当然一人でもいい。ただその場合危険も。

後でトラブルにならないようにするためには残念ですが二人を。

彼らを傷つけもくっつけもしない方法選ぶなら二人が動かないと信じ遠くに離す。

大体三つの方法がある。それをボクが選ぶしかない。


これが三体以上だともっと難しくなる。

要するに我々の場合だ。

合体は不可能。端と端に分けるのも不可能。

だから残ったのは二体を抹殺して一体を残す。

それも順番や制限があるから恐らくやり合うしかない。

これが異世界消滅から逃れる方法。

現世でどうにかする方法もあるが現世も消滅危機はまだ逃れたものの混乱中。

とてもではないが頼れる状況にあらず。


<女神様としてどうするかは述べられません。ただこれはあなたの未来でも。

彼らの行く末を見守ってあげてください>

女神様から温かいお言葉を頂く。


「いい? これが二体ならいくらでも世界の消滅を免れる方法があるの。

離したりくっつけたり抹殺したり。でも三体ではそうはいかない。

三体でも一見できそうに見えるでしょう?

でも二体を南と北に離してももう一体の存在が邪魔をして世界は消滅する。

間違いなく消滅する。それを回避する方法は今のところない。

くっつけたりもそう。仮に二体をくっつけてももう一体をくっつけられない。

それはできないではなくやってもどうしようと消滅するだけ。消滅が早まるだけ。

だから三体となっては二体を抹殺するしかない。

何度も言うようにそれしか望みはない。

もっと前例があれば他の方法もあるかもしれない。

でも他の方法が仮にあってももう探す時間はない」


妖精が残酷な真実を告げる。

それくらい自覚してる。

ボクが眠気に負けて勇者だけでなく姫にも魔王様にもなったのがすべての元凶。

「分かりました。何とかしてみます」

<お願いします。この世界はやはりあなたに掛かっているのです>

こうして再び異世界に戻る。


ロイデン村。

魔王様消滅の危機回避。

「魔王様。なぜ戻るのですか? 」

どうやら誰一人納得してないようだ。

それはそうか。あと少しのところで引き返した訳だからな。

文句も出るのは仕方ないこと。

でもこれ以上近づけば消滅してしまう。これは致し方ない。


「もう一度例の少年の家に行って見ましょう魔王様」

「待て! その前に腹が減った。お前も何か食べるだろう? 」

一旦中止して食事に。これが最善策。うまくかわせたかな?


食堂でお食事をとる。

これでいい。この間にどうにか逃げてもらわないと困る。

姫と鉢合わせたら世界が消滅してしまう。

このおかしな異世界を守らなければ。


まったくどうなってるんだか。

魔王様だぞ? 畏怖の対象である魔王様がなぜ……

破壊と恐怖を楽しむはずの魔王様がまるで人助けのようなことをしようとしてる。


                続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ