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フーツと協力

廃屋にて。アーノ姫のターン。

手掛かり一つない。現世からの迷い人である愚か者はどこに?

難航する人探しに光は見えない。

女神様の言うその愚か者が存在することは間違いないはず。

村中の者に手当たり次第聞いて回れば必ず見つかる。

とは言えそれができれば苦労してないか。


ウヨウヨいるモンスターを避け魔王様と会わないようにするには相当骨が折れる。

だから大人しく廃屋で魔王様の活躍を見守っていた。ただもう限界。

いつまで経っても同じ。もう自分の手でターゲットを捕まえるしかない。

とにかく捕まえればそれでいい。

後の処理は女神様たちが何とかしてくれる。

この愚か者はボクたちの過去でありごく近い未来でもある。


「ではそろそろボクも探しに」

どうせ暇だし家に籠っていてもつまらないので。

早くクマルを呼んで来て部屋をきれいにさせなければ。

何と言ってもボクも魔女もその手のことは苦手ですから。

あの杖だかホウキだかを使えばいいのでしょうがごねるから。

「充分気をつけるんだよ? 」

魔女と手分けして例の人物を探すことに。

名前も不明。手がかりもない。どうしたらたどり着くのでしょうか?


「いいかい? 危ないと思ったら逃げるんだよ。絶対だからね! 」

念を押すが危険なことなどそうそうない。

魔王様に遭遇するぐらい。それだってあちらが避けるでしょう。

あれだけ放っておいたのに意外にも過保護だから困ってしまう。

見た目はか弱い姫様ですが何度も魔女の後について行き経験を積んだ。

もう恐れることは何もない。


「分かってますって! 大丈夫心配しないで」

「この杖が使えたら…… 」

「ほらのんびりしてない。急ぎましょうもう三日しかない」

最近何かと勝手な行動を取る魔女。

いまいち信用できませんが一応はお助けキャラですから。

女神様の話を伝え協力を仰ぐ。


「さあ参りましょうか」

急いで支度にかかりもう出掛けようと言う時にお客が。


ドンドン

ドンドン

「はーい。どのような用件だい? 」

念のために魔女に応対してもらう。

いきなり捕まるとは思えないですが慎重にもなる。

今はそれくらいでなければ危険だ。

何と言っても同じ村に魔王様が滞在してるのだから。

ちょっとの油断がこの世界の消滅へと繋がる。

何としてもそれだけは避けなければならない。


「うるさい! お前一人か? 」

「あんた誰だい? おかしな格好して…… 」

また魔女がまずいことを言ったかな? あそこまで横柄な態度だと刺激して危険。

「俺は魔王軍司令隊長だ。いいからそこをどけ! 」

フーツは焦っている様子。

「嫌だね。人の家に勝手に上がり込んだくせに」

ただの廃屋ではその言い訳は通用しない?


「怪しい婆さんだ! そこをどけ! 」

フーツと押し問答する魔女。若造に負けるものかと意地になっている。

もしかして婆さんと言われたのを怒ってる?

「ほら二人とも落ち着いて」

さすがにこれ以上は限界。間に入ることに」

「お嬢様…… 」

気づかれないようにと姫ではなくお嬢様ととっさに。さすがは年の功。

それにしてもこの魔女はおいくつなのでしょうか?

ボクにも教えてくれない。元々聞いてもいないですがね。


「お嬢様? お前たちの他に誰もいないか? 」

そう言って無理やり中を確認する。

「ちょっと触らないでよ! 」

「うるさい! 一大事なんだ」

そう言って荒らし回る困ったモンスター。これが標準?

五分も荒らし回れば誰もおらず何もないことが分かる。


「よしこれくらいで許してやる。それでお前は旅行者か? 」

「ああん? あんたには関係ないさ。そもそも名を名乗れってんだい! 」

怒り心頭の魔女。気持ちは分かりますがこの男に敵うはずがない。

気をつけないと彼が何をしてくることか。

「済まなったな。俺は魔王軍司令隊長だ」

「だから役職ではなく名前を言えって言ってんだろうが! 」

「そうよフーツ。あなたの名前を述べなさい! 」

魔女につられてつい一言。あれ? ボク何かまずいこと言った?


「おいお前! なぜこの俺様の名を知っている? 」

訝しがるフーツ。答えるまで許してくれそうにない。

ですがどんな言い訳をしたところでたかがモンスターを知っているのは不自然。

もし姫様が知り得るとしたらそれは何らかの形で関わってることになる。

さあどう言い訳すればいいか。クマルぐらい扱いが楽だといいのですが。

「それくらい知ってるわよ! フーツ隊長は村の者にも人気が高くて…… 」

適当なことを言ってみる。褒めたからいいよね?

「済まなかった。それは確かに…… 」

満更でもない様子。まあいいでしょう。勘違いしたままでも。

彼のやる気に火が着くだけでなくもっと丁寧に対応するはず。


「本当に済まなかったな。ここで失礼するよお嬢さん」

そう言うと笑いながら出て行く。

さすがはモンスター。クマルほど扱い易くはないですがそれでも想定の範囲内。

この後村人から手当たり次第聞いて回るはず。


「ちょっと待ってフーツ隊長! 」

「どうされましたかお嬢様? 」

フーツに同行することにした。

「おおお嬢さん。手伝ってくれるんですね? 」

勝手に勘違いしてくれるから助かる。でも大きく言えば間違ってない。

フーツは魔王様の命令で捜索に。ボクはボクで謎の男探し。


今魔王は手下を連れて集会所に乗り込んでいるはず。


                続く

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