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カウントファイブ 女神の隠しごと

始まりの地。

女神様からの召集を受ける。


<実はあなたにお伝えしたいことがあります>

女神様の真剣な表情。何かを恐れている? そんな女神様などあり得ない。

微笑みを絶やさないのが女神様なのだから。

「その前に教えてください。現世から迷い込んだ男はどこにも」

ロイデン村にはいないのではと疑いたくなる。


「女神様? 」

<それは…… >

「女神様! ダメですよ。これは彼にとっての試練でもあるのですから」

せっかく教えてもらえるかと思ったのに妖精にストップを掛けられる。

まったく正論ばっかり言いやがって。少しはお助けキャラとして役に立てよな。


<言われずとも分かっております。ですがお困りになっておられる>

「それがいけないと危険だとそう述べてるのです。

どこの世界に愚か者を救う女神様がいるのですか? 」

随分な言われよう。ただそれを救うのが本来の女神様じゃないか。

それを助けるのが妖精だろうが。なぜこの魔王様の邪魔をする。ボグ―!

おっとつい魔王様が出てしまった。まずいまずい。


<迷える子羊よ頑張るのです。諦めてはいけません>

声援を送られても具体的にどこか示してくれないと探しようがない。

もう時間がないって分かってるのかな?

女神様にしろ妖精にしろ何を考えてるんだ?


「それで女神様。どのような御用でしょうか? 」

仕方ないので用件を先に聞く。済んだらもう一度教えてもらえばいい。

ただそれを悟られないようにするのが難しい。女神様だからな。妖精もいる。


<よく聞いてください愚か者よ。あと三日後に決まりました>

「三日後? それは随分と急な気も」

<ですから落ち着いて聞いてください>

そう言う女神様の方が慌てた様子。

<いいですか三日後です。それまでに一か所に集めてもらいたいのです>

 三日後…… あと七十二時間後にすべてが決するそう。

それが正しいことなのか間違っていることなのか。


<ただこれもまだ不確かなものです。

我が力を使えばもしかしたら一日延ばせるかもしれません>

要するに消滅までの時間の猶予があるかもと言うことらしい。

「分かりました。期待しないで待ってます」

<とにかく三日後までには一か所に集結させるようにしてください>

「はい。それで一か所と言うのは? 」

<いいですか。三日後には勇者として残りの二人を倒すことになります>

「二人って? 魔王と…… 」

まさか本気なのか?


<姫と魔王を倒さなければ…… 消滅させなければ異世界は消滅してしまいます>

とんでもないことを言いだした女神様。

そう言えば前にそんな話をしていたような気もする。

現実に迫った今となっては他に選択肢がない。

恐らく女神様は最後の最後まで粘ったのだろう。


「現世の件はどうなりました? 」

<申し訳ありません。期待させたようですが難しいと判断しました。

恐らく消滅までには間に合わないかと。力及ばずに本当に申し訳ありません>

そう言って頭を下げる女神様。まさかそこまでするか?

何だか様子がおかしい。どうも隠しごとをしてるような気がしてならない。

 

<もう一度。あなたは勇者として魔王と姫を手にかけることになります>

念を押す女神様。要するにその時には迷うなとそう言いたいのだろう。

<あなたにとって残念なのは分かります。しかし本来人は一人。

転生時にいくらでも違う者になることはありません。

それを解消するにはこうするしかないのです>

残念だと嘆くが分かり切っていたこと。今更怖気づいてどうする?

この異世界を消滅から守るためには仕方ないこと。

でもだからってすぐに割り切れないし覚悟もいる。


「どうも実感が湧かなくて。今相当悩んでいるところです」

それが当たり前なのに女神様は決して迷うなと無茶を言う。

<その三日後までに二人と決して会ってはなりません。それは前と変わりません。

もう時間がありません。諦めずにさあ行くのです! >

女神様はどうやら迷える子羊に希望を与えようとしているらしい。

だがそれが果たして本当の希望なのか?


ボクが眠気に負け寝てしまったから。夢を見てしまったからこんな事態に。

こんな事態を引き起こしたのは紛れもない自分。

女神様が悪い訳でも妖精が悪いのでもない。ただ運が悪かっただけ。

そう自分に言い聞かせるしかない。

これが運命。抵抗など無意味に等しい。


「女神様…… ボクはどうしたら? ああ女神様! 」

もう泣きつくこともできない。

ただあと三日で起こる事実を淡々と受け入れるしかない。

それがどれだけ苦しく耐えがたいとしても受け入れる。

やはり異世界に三人が同時に存在するのは間違っている。

初めから分かっていたことなのにな……


始まりの地から退場。再び異世界へ。


<行ってしまいましたね>

「よろしいのですか? 現世の件について本当に伝えずともよろしいのですか?」

<はい。今更伝えて何になると言うのでしょうか? >

「そうですね。ははは…… まさか現世まで消滅することになるとは」

<まだ不確かです。キャピタルの動向を注視し見守るしかありません。

後はもはや祈るしかないのです>


消滅までカウントダウン!


                続く

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